NIPPON
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NIPPON(にっぽん)とは、名取洋之助を中心に1934年に結成された(第二次)日本工房(にっぽんこうぼう。のち、1939年には、国際報道工芸株式会社となる)により、1934年から1944年までに36冊(加えて、特別号『日本の手仕事』)の刊行が確認されている対外宣伝誌。基本的には、英、独、仏などの外国語が混在する海外向け雑誌であるが、これ以外に、日本版も2冊(加えて、年鑑形式の日本語版が2冊)だけ刊行が確認されている。
ドイツ・ウルシュタイン社での勤務経験等を生かして、名取が、構想を取りまとめたもので、写真を駆使した日本を紹介するためのグラフ雑誌として、印刷、造本等も含めて、その質は極めて高い。写真やデザインのみならず、記事も充実しており、日本で初めての「海外にも誇れるグラフ雑誌」といえよう。のちの東方社のFRONTと比較しても、単に視覚のみではなく、記事内容を重視した雑誌だといえる。なお、アメリカのグラフ雑誌「LIFE」は、1936年創刊であることから、創刊の構想の時点で、LIFEをモデルにした、ということはない。
制作にかかわった主な者は、以下のとおり。
美術(グラフィックデザイン)では、山名文夫、河野鷹思、亀倉雄策、熊田五郎、高松甚二郎ら、写真では、土門拳、藤本四八、小柳次一、沼野謙、松田正志、森堯之、相沢敬一、梅本竹馬太、門奈次郎、長井秀雄、松下正夫ら。
なお、日本工房には所属していないが、NIPPONには、中山岩太、野島康三、堀野正雄、渡辺義雄、小石清、岡田紅陽、岡本東洋、紅谷吉之助、福原信三、金丸重嶺、木村伊兵衛、菊池俊吉、安河内治一郎、光墨弘、塚本閤治、大橋青湖、松山虔三、吉田潤、山川益男、濱谷浩、光吉夏弥、杉山吉良らの写真作品も掲載された。
[編集] 参考文献
- 名取洋之助と日本工房[1931-45]/白石眞理・堀宜雄・編/岩波書店/2006年(下記、福島県立美術館で開催された展覧会の展覧会カタログという位置付け)
- 復刻版NIPPON(全3期)/金子隆一監修/国書刊行会/2002年-2005年
- 第1期(1号から12号まで12冊+月報)(復刻版は2002年刊行)
- 第2期(13号から24号まで12冊+月報)(復刻版は2002年刊行)
- 第3期(25号から36号まで、特別号日本の手仕事、日本語版1936、日本語版1937、日本版第1巻第1号・第2号の17冊、別冊+月報)(復刻版は2005年刊行)
[編集] 主要な展覧会
- 名取洋之助と日本工房展/福島県立美術館/2006年(以降、関東などに巡回する予定あり)