FM TOWNS マーティー
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FM TOWNS マーティー(Marty)は、1993年2月に富士通が発売したFM TOWNS系のコンシューマ向けマルチメディア機(CD-ROMプレイヤー)。 キャッチコピーは「Martyにチャンネルを合わせろ」。イメージキャラクターはワニの「Mr.T」(郵便局の簡易保険のCMにも登場していた)。
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[編集] 概要
テレビに接続できて小型化されたFM TOWNS。本体色は白。CPUは、80386SX(クロック周波数16MHz)相当品で、性能的には初代FM TOWNS程度。RGB出力には対応しない。
マウスの代わりに、専用のジョイパッドを使って操作することができた。パッドにはZOOMボタンがついており、対応ソフトではハード的に画面の拡大表示が可能。キーボードは別売。トップローディングのCD-ROMと3.5インチ2HDのFDDそれぞれ一基のほか、PCカードスロットがあり、専用のモデムカードを使用できた。背面には蓋がモールドされた拡張バスがある。
当初富士通ではテレビを意識して、対応ソフトを「番組」「チャンネル」と呼んでいた。
[編集] その他
富士通が、RGB31kHz→15kHzにダウンスキャン・コンバートするビデオ信号チップ(「LIST方式」と名づけられた)を開発したことを受けて企画された。
FM TOWNS向けのCD-ROMソフトウェアの多くがそのまま利用できる、という触れ込みだったが、実際にはマーティー発売後のTOWNSタイトルは、ソフトのパッケージに「マーティー対応」という注意書きがないと使用できなかった。
ちなみに、マーティー発売以前に発売されていたTOWNSタイトル約660本のうち、約200本がマーティー対応で、新作ソフトを含めると発売時点で約250本のソフトがマーティー対応とされていた。
ゲーム機に対抗できる簡易なゲーム用パソコンというスタンスであったが、この頃既に(普通の)パソコンが10万円を切る価格で発売されていたにもかかわらず本体価格9万8000円(税込みで10万円)と設定価格が高すぎたこと、搭載メモリの容量が2MB(増設不可)と当時でも小さく、制限を受けるソフトウェアもあったこと、SCSIがなく、背面に拡張バスを一応備えながら(蓋がモールドされていて本体を加工する必要があった)も、ハードディスクなどの拡張機器がまったく出なかったこと(サードパーティーからプリンタポートが発売されたのみ)、そもそもFM TOWNSにゲーム機市場に対抗できるようなキラーソフトがそう多くは出ていなかったことから、売り上げは低迷した。
翌年の1994年、本体価格を6万6000円に下げて色をグレーにした「マーティー モデル2」の投入も行われたが、性能的には何も変わっておらず、不調に終わった。その後マーティーは中古ショップに積まれたが、それでもあまり売れた気配はなかった。
マーティーの突然の発表と失敗は、一時は堅調になってきたかと思われたFM TOWNSの市場に、逆に水をさしてしまった。また、当時流行していた「マーフィーの法則」にひっかけて、(売れる可能性のない物は売れない)「マーティーの法則」とも揶揄された。ただし価格さえ見合えばアダルトゲームには最高の環境、という話も聞かれた。
[編集] カーマーティー
また1993年10月のモーターショーでカーナビゲーション機能を備えたカーマーティーが発表され、1994年に富士通テンから発売されていた。 富士通として初めてカーナビゲーション市場に参入し、当時としては初めて一方通行を考慮したルート検索が可能。 ほかにも別売の2インチFDDでルート情報や地点登録などを保存、交換が可能など現在のカーナビの原点というべき機能がいくつか見受けられた。 余談ではあるが、メニューキーを素早く2回押すと、画面上の自車のキャラクターが、レーシングカーから犬に変わる。
[編集] 関連項目
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