1JZ-GTE
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1JZ-GTEとは、トヨタ自動車が生産していた自動車のターボチャージャー付きガソリンエンジンである。通称「1J(ワンジェー)」。
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[編集] 初代
JZX81系マークII3兄弟やJZA70系スープラに初搭載され、その後は3代目ソアラにも搭載された。2500cc直列6気筒エンジンに日立製セラミックタービンターボチャージャーを2機搭載し、2004年まで存在した業界自主規制枠の最大出力である280馬力を発揮したハイパワーエンジンの代表格である。このエンジンの製作にはヤマハ発動機が関わっている。このエンジンには軽量なセラミックタービンを使用する事により、非常に良いアクセルレスポンスを持ち、またターボラグの低減がこの時代では最先端と言えるレベルまでなされている。
1980年代中期から後期にかけて、トヨタの主力エンジンであった2000cc直列6気筒エンジン1G-GEUのツインターボ版1G-GTEUの事実上後継エンジンとして開発され、先に業界自主規制枠である最大出力280馬力を達成したフェアレディZ(Z32型)に搭載されていたVG30DETT型エンジンより500cc少ない2500ccという排気量で280馬力を絞り出すハイチューンエンジンであったが、1990年代の最初に搭載されたJZX81系マークIIやJZA70系スープラにはエンジンパワーが車体に勝りすぎており、5ナンバーベースの車体には非常にオーバースペックなエンジンであった。
その後は、3ナンバー専用設計となったJZX90系マークII3兄弟や3代目ソアラに搭載され、車体とエンジンが巧くマッチした車になった。
このエンジンは、車好きの中で「音の良いエンジン」として国産エンジンの中でも、1位2位を争う存在である。
[編集] 第2世代
1996年、マークII3兄弟がX100系へのフルモデルチェンジを期に、開発時から使用していたセラミック製ツインターボから、VVT-iと呼ばれるバルブタイミング機構を備えたセラミック製シングルターボエンジンへと改良され、280馬力の数値は変わらないものの、僅か2400rpmという低回転でスカイラインGT-R(R33型)のRB26DETT型エンジンを上回る38.5Kg・mという最大トルクを発生させるまでに進化する。更にX100系のマイナーチェンジ時に小改良を受け、ネックだった燃料ポンプの吐出量が更に大きな物へ変更され、ブーストアップ時の燃料不足症状が改善され限界が上がっている。
第一世代でもそうであったが、エンジン本体の耐久性はかなり高く、フルカウンタークランクや鍛造ピストン、メタルヘッドガスケットなど、いわゆるチューニング界で使われているパーツがふんだんに奢られている。そのためエンジン内部へ手を加えずともタービンや燃料ポンプ等を高出力の物に変えるだけで強力な出力を絞り出すが(セッティングにもよるが腰下ノーマルで450馬力が十分安全圏である)、A80系スープラやアリストに搭載される3000ccの2JZ-GTEとの共通部分も多いので、更なるトルクアップのために2JZのエンジンブロックと1JZのシリンダーヘッドを組み合わせて(通称1.5J)搭載するチューニングも存在する。
セラミックタービンを使うシングルターボ版は旧モデルのツインターボ版(こちらもセラミックタービンを使用するが)に比べ、レスポンス向上(軽量なセラミック製ブレードを採用するエキゾースト側のブレードによりアクセルに対するツキが良い)や製造コスト減、またはチューニング費用の安さ(ターボチャージャーの個数減、2個から1個でエンジン補器類の部品数低減に寄与)と言ったメリットがあったが、セラミックタービンはメーカー設定値以上のブースト圧を与えた場合の耐久性に問題がある(しかしながら旧モデルのセラミックツインターボは過給圧1.4キロ程度までは耐久性があるとされ、新型のタービンは1.2キロ程度が限度と言われている)。
特に高ブーストをかけるとタービン(エキゾースト側のブレード)へクラックが入ったり、最悪時は粉々に砕けた破片がインタークーラーを経て燃焼室まで傷つけてしまう場合もあり、ノーマルでのブーストアップには故障前の症状を見つける注意とブロー時の割切りが必要である。両方とも日立製のセラミックタービンを使用するのだが、旧型の方がより高いブーストに耐えるので大パワーを発揮しやすい(約420馬力程度が限度とされている)。
ヴェロッサやクラウンアスリートにも搭載されていたが、2006年ツーリングワゴンであるマークIIブリットを最後に消滅した。
[編集] 数値的仕様(参考)
- ボア: 86.0mm(補修用にオーバーサイズが用意されているが、標準仕様の場合)
- ストローク: 71.5mm
- ボアピッチ:(未調査)
エンジン種別 | 1JZ | 2JZ | 7M | 1G | 3S |
ボア(シリンダ内径、mm) | 86.0 | 86.0 | 83.0 | 75.0 | 86.0 |
ストローク(ピストン行程、mm) | 71.5 | 86.0 | 91.0 | 75.0 | 86.0 |
ボアピッチ(mm) | (未調査) | (未調査) | (未調査) | (未調査) | (未調査) |
気筒数 | 6 | 6 | 6 | 6 | 4 |
総排気量(cc) | 2492 | 2997 | 2954 | 1988 | 1998 |