非対称戦争
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非対称戦争(ひたいしょうせんそう)とは戦争の形態のひとつで、はるかに戦力(質、量)差がある両者による戦争である。このため、弱者側は通常の戦争とは違う戦術、手段を使うことが多い。
非対称戦争の戦術、手段としては、奇襲、撹乱や山岳、要塞等での防衛、焦土戦術などもあり、必ずしも不正規戦争(Unconventional Warfare)となるわけではないが、近代に入って兵器の進歩が著しく、それに対抗するために、弱者がゲリラ戦、非通常兵器(NBC兵器)、非戦闘員への攻撃(テロリズム)、サイバーテロ等の通常戦力によらない戦術を主に使うことが増えてきた。
ゲリラ戦、パルチザン、反政府勢力、反米勢力等の戦いが含まれ、例としてベトナム戦争、コソボ紛争、チェチェン紛争、パレスチナ紛争などが含まれるが、現在では、イスラム反米勢力と米軍との争いに使われることが多い。
冷戦終了後、アメリカの圧倒的な軍事力に対して各地の反米組織は通常戦力ではまったく太刀打ちできないことから、犯罪として扱われる攻撃を積極的に仕掛けるようになった。そのうち最大規模のものがオサマ・ビンラディンによるアメリカ同時多発テロ事件である。この事件に対しジョージ・W・ブッシュ大統領は宣言の中で「新しい戦争」という発言をし、これが現在の非対称戦争の概念となった。