長官

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長官（ちょうかん）とは、一定の国家機関の長の職名又は官名に付して用いられる呼称である（例 : 内閣官房長官、特許庁長官、大阪高等裁判所長官）。

行政機関については、省及び内閣府の外局としての「庁」の長の呼称は、「長官」を用いるのが原則である（国家行政組織法第6条及び内閣府設置法第50条）。ただし、地方海難審判庁は、外局としての「庁」であるが、「庁長」の呼称が用いられる（海難審判法第9条の2）。検察庁の長に相当する官は、「検事総長」（最高検察庁の長）、「検事長」（高等検察庁の長）等であるが、検察庁は「庁」ではあるが外局でなく特別の機関とされている。
これ以外の行政機関についても、その長の呼称として「長官」を用いることが多い（例 : 宮内庁長官、内閣官房長官、内閣法制局長官）。ただし、宮内庁については、かつて総理府の外局であったという経緯がある。
司法機関については、最高裁判所及び高等裁判所の長たる裁判官を「長官」と称する（裁判所法第5条第1項及び第2項）。
立法機関及び地方自治体については、「長官」の呼称を用いないのが慣例である（参考 : 内閣法制局長官と衆議院法制局長、参議院法制局長）。「官」の字には「君主の使用人＝（転じて）国民の公僕」という意味があり、国民の代表であって僕（しもべ）ではない国会議員とその補佐をする国会組織には用いないこととなっているためである（一般に、国会議員の中には事実上選挙区民の僕のような者もいると評する向きもあるが、憲法学的には国会議員は国民全体の代表者である。）。
行政機関の「長官」には、国務大臣（閣僚）をもって充てなければならないもの（内閣官房、大臣庁たる防衛庁）と、そうでないものとがある。後者が、いわゆる官僚ポストであるが、法律上は、多くの場合、当該官庁の生え抜きである必要はない。したがって、民間人から、事実上の政治的任用をすることも可能である（例 : 2004年7月の社会保険庁長官登用）。
司法機関の「長官」は、その職自体が裁判官である（「長たる裁判官」）。このため、高等裁判所長官は、判事と同等の資格・経験が要求される（弁護士・検察官等出身者でも良い。）。しかし、最高裁判所長官については、法律上、「識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者」という制限しかない。
一般の庁においては、長官を補佐する者として「次長」などが置かれるが、長官が国務大臣の充て職である官庁についてはその呼称が「副長官」とされており、現在は内閣官房副長官3人と防衛庁副長官（いずれも認証官）が置かれている。

[編集] 国家行政組織

[編集] 国務大臣をもって充てるもの

[編集] 国務大臣以外から登用されるもの

[編集] 司法機関

最高裁判所長官（天皇により任命される。大日本帝国憲法下の親任官に相当）
高等裁判所長官（8人。認証官）

[編集] 諸外国の長官職

[編集] アメリカ合衆国

訳語としての「長官」は、アメリカ合衆国では閣僚と連邦公務員の役職名として使用される。最も有名なのは、国防長官や、国務長官といった閣僚ポストのものである。これらの場合は長官は日本でいうところの大臣ポストであるが、米国では閣僚の職名として一般的なministerではなくsecretaryを採用しており、かつ共和制であるため、大臣でなく長官と訳されるという慣行がある。他にFBIやFDAの長にも「長官」の訳語が用いられる。また、米国は日本に比べて省の局長レベルでも政治的任用が多いことから、官僚生え抜きの感のある「局長」でなく「局長官」の訳語を用いることがある。