長享・延徳の乱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

長享・延徳の乱（ちょうきょう・えんとくのらん）とは、室町時代後期の長享元年（1487年）に室町幕府が行った近江国守護・六角高頼に対する親征。六角征伐、近江国栗太郡鈎（まがり）（滋賀県栗東市）に陣が敷かれたことから、鈎の陣とも。

[編集] 概要

応仁・文明の乱が収束したのち、各地では守護や国人らが寺社領などを押領して勢力を拡大し、乱において山名宗全（持豊）率いる西軍に属した近江守護六角氏は国内の荘園や将軍義尚近臣の所領を押領し、幕府は威信回復を図るため六角征伐を企図した。長享元年（1487年）、9代将軍・足利義尚は六角高頼征伐を決定し、将軍直属の奉公衆を中心とした軍を率いて近江坂本へ出陣、9月には細川政元、武田国信、富樫政親を近江に召集し、高頼を甲賀に駆逐する。

高頼はいったん観音寺城を出て、山間部でのゲリラ戦を展開。義尚自らも出陣したが、膠着状態となった。ところが、翌年加賀一向一揆の激化によって富樫政親は国許に帰還、その後一揆に討たれるという事件が発生する。義尚は本願寺と一揆討伐を計画するも、細川政元の反対と六角氏討伐中という事で断念に追い込まれる。結局延徳元年（1489年）、義熙と改名していた義尚は近江鈎の陣中で死去し、高頼は赦免された。

しかし義尚の後を継いだ、足利義材は延徳3年（1491年）、再び高頼討伐を行った。高頼は甲賀郡から伊勢国へ逃れたため、幕府軍は近江国から、撤退した。2度の征伐失敗、翌明応2年（1493年）に細川政元が将軍義材を廃した明応の政変により、幕府の権威は大きく失墜したという。