鉄道無線
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鉄道無線(てつどうむせん)は鉄道業務で使用される無線の総称である。
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[編集] 歴史
かつては列車乗務員と駅が直接連絡を取る装置が不十分だったため、緊急を要する伝達事項もすぐさま乗務員に伝えることができなかった。日本では、1962年5月3日に常磐線三河島駅で発生した脱線多重衝突事故(三河島事故)で、連絡装置の整備不十分がこの事故をより甚大なものにしたとされ、国鉄は自動列車停止装置 (ATS) を国鉄全線に設置するとともに無線を使用した列車防護装置を開発し、常磐線に乗り入れる列車に初めて列車防護無線装置が設置された。
その後、列車乗務員と駅や運転指令所が直接連絡が取れる列車無線や乗務員無線が開発され、全国へと広まっていった。
[編集] 種類
[編集] JR在来線
- 列車無線
- 列車乗務員と運転指令所等との交信に使用される無線。詳しくは列車無線を参照されたい。
- 乗務員無線
- 列車乗務員同士(運転士と車掌)あるいは列車乗務員と駅長(または運転指令所)との交信に使用される無線。
- 「上り」、「下り」、「入換」の3chがあり、かつては列車乗務員と運転指令所が直接交信をすることは無かったが、CTC化が進み無人駅が増えるにつれて、運転指令所が駅長の代わりに列車乗務員と交信するようになった。無線機は駅舎内等に設置され、無線機のマイクラインとスピーカラインが鉄道電話に接続されており、運転指令所から交信できる。チャネル切替等の操作はDTMF信号でおこなわれる。3.1kHzのトーンが重畳されると送信状態になる。A/Bタイプ導入路線以外の路線においては、駅や沿線に指向性アンテナを設置して全線において通話可能とし、乗務員無線を列車無線として使用している(これをCタイプと呼ぶ)。
- 防護無線
- 緊急時に列車から電波を発信し、付近の列車に停止を求める無線。詳しくは防護無線を参照されたい。
- 構内無線
- 駅や車両基地などで、車両の入れ換えや駅員同士の連絡用に用いられる無線。
- 1chから12chまであり、無線機は車両入れ換え時に、動いてもよいという意味の「プー、プー」という音を発信する機能と、緊急停止せよという意味の「プー」という高い音を発信する機能を持っている。
- 保線作業用無線
- 保線作業時に使用される連絡用無線。専用の無線機を使う場合と、免許のいらない無線機を使う場合がある。
[編集] JR新幹線
- 列車無線
- 防護無線
- 構内無線
- 保線作業用無線
[編集] 私鉄
- 列車無線
- 列車乗務員と運転指令所等との交信に使用される無線。詳しくは列車無線を参照されたい。
- 乗務員無線
- 私鉄においては、乗務員同士の連絡専用といった無線を採用している事業者は少ない。
- 防護無線
- JR線乗り入れの車両にはJRの防護無線機と同じものが取り付けられている。
- 私鉄では、大手を中心に独自の防護無線を導入しているところがあるものの、中小では導入しているところは少ない。
- 構内無線
- JRが使用しているものと同じ無線機を利用している事業者は多い。無線機はJR使用のものと同じなので、機能もほぼ同一となっている。
- 保線作業用無線
- JR使用のものとほぼ同じ。
[編集] 関連項目
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