谷村藩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
谷村藩（やむらはん）は、江戸時代に甲斐国東部、都留郡一帯の郡内地方を支配した藩。藩庁は都留郡谷村（現在の都留市中心部）におかれた。古くから独立性の強い郡内領を治め、別名は郡内藩。郡内地域では数少ない城跡が谷村城跡として現在でも残っている。
目次 |
[編集] 概要
天正10年（1582年）、織田信長の甲斐攻めによって武田氏は滅亡し、郡内領を治めていた小山田氏も滅ぼされた。武田氏の遺領は織田政権下で分割されるが、同年6月の本能寺の変で信長が横死すると、遺領を巡る争奪（天正壬午の乱）が起こり、甲斐は徳川家康の支配下となる。郡内は徳川家家臣の鳥居元忠に与えられた。天正18年（1590年）、豊臣秀吉の小田原征伐によって後北条氏が滅亡すると、家康は関東に移封され、甲斐は豊臣秀勝、加藤光泰、浅野長政・浅野幸長父子ら豊臣系大名に統治された。文禄3年（1594年）には浅野氏によって谷村城が築城されている。
慶長5年（1600年）、関ヶ原の戦いで浅野幸長は家康率いる東軍に与して戦功を挙げたため、紀州に加増移封された。そして谷村には鳥居元忠の三男・鳥居成次が2万石（一説に1万8000石）を与えられた。その後、成次は第2代将軍・徳川秀忠の子・徳川忠長の付属大名となり、元和4年（1618年）に忠長に甲斐国が与えられると、成次は朝倉宣正と共にその家老となり、寛永元年（1624年）に駿河国などで加増されて3万5000石を領する大名となった。成次は寛永8年（1631年）6月18日に死去し、後を長男の鳥居忠房が継いだが、忠長は兄の第3代将軍徳川家光との確執があったと言われ、翌年に乱行などを理由に改易されると、忠房は連座により改易され、その身は山形藩主・鳥居忠恒に預けられた。
翌、1633年2月、谷村には上野国総社藩から移封された秋元泰朝が1万8000石で入った。泰朝は谷村の統治に尽力し、生産力の低い谷村の農業開発や技術改良などを行なっている。さらに養蚕を奨励し、甲斐絹の一種である郡内織物を特産物とするほどの実績を上げたが、泰朝は1642年10月23日に死去した。泰朝のあとを次いだ長男の秋元富朝は父ほど有能ではなかったと評されるが、それでもそれなりの治績を挙げている。明暦3年（1657年）6月17日に富朝が死去した後は、その養子・秋元喬知があとを継ぎ、治水や産業の発展に手腕を見せ、幕政においても要職を歴任して「秋元家中興の英主」とまで称された。このとき喬知の治世により谷村は発展を遂げたが、しかし寛文7年（1667年）・延宝8年（1680年）などに百姓による越訴などが起こっているのも事実である。
宝永元年（1704年）12月、喬知は武蔵国川越藩に移封され、翌年2月に谷村城が破却される。谷村藩はこれをもって廃藩となり、所領は幕府直轄の天領となったのである。
[編集] 歴代藩主
[編集] 鳥居（とりい）家
譜代、3万5000石。
[編集] 秋元（あきもと）家
譜代、1万8000石。
