親子電車
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親子電車（おやこでんしゃ）とは、路面電車において輸送力増強のために、付随車を牽引させたものの俗称。日本では以下の事業者に「親子電車」と呼ばれるものが存在した。
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[編集] 札幌市電
札幌市交通局M100形電車を参照されたい。
[編集] 東京都電
第二次世界大戦中に輸送力不足を補うため、電動車で付随車を牽引する運行が行われた。都電の場合、特異なのは付随車に用いられたのが、燃料不足で運行できなくなったバスを改造した車両だったことである。
[編集] 名古屋市電
[編集] 概要
戦中、軍需輸送により市電の乗客数は急激に増加したが、徴兵による人員不足が原因で車両故障が頻発し、更には資材不足で新車の投入もままならなかった。そのため電車の混雑は大変なものになり、苦肉の対策として考え出されたのがこの編成であった。
当時、名古屋市電ではボギー車への移行が進み、2600形のような連接車も現れていたが、その一方で一部の単車は老朽化が進んでいた。そのため、旧型単車からまだ使用可能な電装品を取り外して付随車とし、電動車の整備の方に部品を回して、ボギー車のLB形で付随車化した単車を牽引する編成を組んだのである。
1942年1月19日より運行を開始し、計5編成が組まれた。ボギー車の方には、付随車へ室内灯電力を供給するためのコンセントを方向幕窓に付けたくらいしか外観上の変化は無かったが、単車の方はその他に後部デッキへ網戸を取り付けて締切り、前部だけで乗降を取り扱うようにした。
付随車を牽引するため速度はあまり出ず、更にはボギー車は単車を引っ張ったまま状況を確認せず走行したので、単車の方が激しく揺れる事があったという。
戦争末期には、空襲にあって電動車・付随車とも何両かが被災したが、戦後になると残った単車には再電装工事が施され、再び単独運行を行うようになった。名古屋市電における単車の全廃は1956年11月25日である。
[編集] 親子電車に用いられた車両
- 単車（付随車化した被牽引車） - 140・313・315・321・371（LSC形）
- ボギー車（牽引車） - 1039～1043（LB形）
[編集] 京都市電
京都市は戦争の被災は受けなかったものの、やはり戦争中から輸送量が急増して混雑がひどくなった上、部品の不足から稼動車両が減少する事態に陥った。最初に親子電車を計画したのは第二次世界大戦中である。1945年5月10日付で運輸省に対して申請書が提出されている。600形がモーター故障で休車状態の四輪単車を牽引するという内容で、ターミナルにおいては一度トレーラーを切り離し、元の牽引車が折り返していった後に次に来た電動車と連結して折り返すという運用の予定であった。しかし、この申請書はなぜか受理されなかったため、戦後の1947年2月28日付で改めて申請を出し直している。このときは、トレーラーが1形22両と明確にされたほか、折り返しに際しては「T形方向転換」（クロッシングを利用した方向転換）を行うとされ、前回申請に書かれた切り離しは行わない形になっている。
この申請書が受理され、1947年12月10日より、600形に電動機を取り外した1形を連結した親子電車が運転されるようになった。
運行系統は
- 烏丸車庫前～（烏丸通）～京都駅前
- 烏丸車庫前～（烏丸通）～烏丸今出川～（今出川通）～河原町今出川～（河原町通）～京都駅前
- 烏丸車庫前～（北大路通）～千本北大路～（千本通）～四条大宮～（大宮通）～九条大宮
- 四条通～東山通～今出川通～千本通（循環）
であった（二番目と三番目はつなげると当時の5系統、また最後は1系統に相当。一番目は複数の系統がある）。当時京都駅前にはループ線があったことから、申請書に書かれた「T形方向転換」が実際に行われたのは九条大宮だけと見られる。
