西鉄600形電車 (鉄道・2代)
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西鉄600形電車(2代目) |
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車両形式 | ク650(先頭制御車)・モ600(先頭電動車)・サ650(先頭付随車) | ||
製造年月 | 1962年9月(1次車)~1972年12月(9次車) | ||
制御装置(制御方式) | 三菱製ABF-184-15MDHA(抵抗制御)・
ABF-184-15MDHB(抵抗制御)【631】・ ABFM-188-15-MDHC(抵抗制御)【627】 |
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制動装置 | 三菱製HSC(制御車・付随車)/三菱製HSC-D(電動車) | ||
台車形式(天神大牟田線) | 川崎重工製621型(電動車)/622型(制御車・付随車)/KW-7【631】/KW-8【681】 | ||
台車形式(宮地岳線) | 東急車両製TS-301【608・609・659】/住友製FS-342【TS-301型装備車以外】 | ||
主電動機(出力)(天神大牟田線) | 三菱製MB-3070-A1~3(135kw)/MB-3189A(135kw)【626・627】 | ||
主電動機(出力)(宮地岳線) | 東芝製SE-158(110kw)/東洋電機製TDK8066-A(120kw) | ||
車両重量 | 30~33t(モ600)/26~29t(ク650)/27t(サ650) | ||
車両定員(座席) | 140~150人(56~60人) | ||
全長/全幅/全高 | 19,000~19,697mm/2,740mm/4,060~4,105mm・4,220~4,265(パンタ装備車)mm | ||
補助電源装置(出力) | CLG-350E(120kVA)・CLG-355A(60kVA) | ||
空気圧縮機(天神大牟田線) | C-1000LA・C-2000LA(各1基) | ||
空気圧縮機(宮地岳線) | DH-25・C-2000M【659のみ搭載】(各1基) | ||
編成形態(天神大牟田線) | 4両固定編成(Mc-T-M-Tc)・3両固定編成(Mc-M-Tc)(Mc-Mc-Tc)【併結時、最大7両編成】・
2両固定編成(Mc-Mc)【ワンマン仕様車】 |
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編成形態(宮地岳線) | 2両固定編成(Mc-Tc)・3両固定編成(Mc-M-Tc)【ワンマン仕様車】 | ||
在籍編成 | 編成欄参照 |
600形電車(600けいでんしゃ)は、西日本鉄道の通勤形電車。主に西鉄天神大牟田線及び西鉄宮地岳線で活躍している。
目次 |
[編集] 概要
1962年(昭和37年)から1972年(昭和47年)に掛けて合計9次車に亘り、また片側3扉の2~3両固定編成を組む車両として、川崎車輌(→川崎重工業)で27編成57両が製造された抵抗制御車である。
車長19.5㍍、1300㍉両開きドアなど、現在の西鉄の標準となった車両である。 西鉄に於ける既存のカルダン駆動車(1000形など)はユニット方式を採用していたが、600形では1M方式を採用し、短編成が組める様にした。なお1972年には600形と同仕様でユニット動力を採用した700形も製造されている(2006年5月8日廃車)。
600形631編成と700形は冷房準備車として登場後すぐに冷房化され、西鉄初の冷房車となった。
1973年から他編成も冷房化が進められ、1978年からヘッドライトの移設(前面上部から窓下へ)シールドビーム化、行き先表示器の側面への追加設置及び自動化、車体塗装の変更(クリーム色とあずき色のツートンカラーからアイスグリーン色・ボンレッド色帯化)が行われた。
車両は基本的に登場時は2両及び3両編成で中間車は製造されていない。ただし、3両編成については、製造時には2両目の車両も先頭車構造で運転装置も設置されていて、保守点検等で3両目を切り離し、2両のみでの運行も検討されていた。しかし、実際にはあまり使用されず、自動幕化・冷房化等の際に撤去する車両もあったが、そのまま残された車両もある。後に、天神大牟田線に残った600形も長編成化のため、2両編成同士を永久連結化改造(4両固定編成)の際に、中間部の運転室も撤去され中間車化改造された。
当初は大牟田線(→天神大牟田線)で使用されていたが、8000形の登場に伴い、一部車両については台車を狭軌用に履き替えるなどの工事及び車体塗装の変更(水色・赤帯→黄色・赤帯)を受けて宮地岳線に転籍し、残った2両編成車はワンマン運転対応工事を受けて甘木線で運用されたり、4両固定編成仕様に改造を受けて長編化されて運用されてきた。しかし、年月の経過と共にそれぞれの車両も老朽化し、7000・7050形に置き換えられて廃車となった。但し614編成は救援車に改造され、616・619編成は転用改造を受けて宮地岳線へ転籍された。 ちなみに大牟田線最古かつ宮地岳線最新の車両という妙な存在でもある。
[編集] 編成
[編集] 600(Mc)-650(Tc)
- 601-651(1962年・1次車) 大牟田線→1991年5月19日付けで宮地岳線に転籍
- 602-652(同上) 大牟田線→1990年5月18日付けで宮地岳線に転籍
- 604-654(1962年・1次車【604】/1965年・4次車【654】) 大牟田線→1990年6月8日付けで宮地岳線に転籍
- 606-656(1963年・2次車) 大牟田線→1990年7月5日付けで宮地岳線に転籍
- 607-657(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 612-662(1965年・4次車) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 613-663(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 614-664(1966年・5次車) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→事業用車化改造(モエ901-クエ902)
- 615-665(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 616-666(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→宮地岳線
- 617-667(1967年・6次車) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 618-668(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→廃車
- 619-669(同上) 大牟田線→1989年にワンマン化改造して甘木線へ→宮地岳線
[編集] 600(Mc)-600(Mc)-650(Tc)
3両固定編成だが、中間車に運転室が残る。中間車の前面は登場当時のままで上部にヘッドライトが付いている。
- 608-609-659(1964年・3次車) 大牟田線→1991年6月30日付けで宮地岳線へ転籍
- 610-611-661(同上) 天神大牟田線→廃車
- 621-622-672(1967年・6次車) 天神大牟田線
[編集] 600(Mc)-600(M)-650(Tc)
1981年~1982年に605と627の運転室を撤去し、3両固定編成化された。626編成は主電動機を5000形と同様のものに交換している。
- 603-605-655(1962年・1次車【603】/1963年・3次車【605-655】) 天神大牟田線→廃車
- 626-627-677(1969年・6次車) 天神大牟田線→廃車
[編集] 600(Mc)-650(T)-600(M)-650(Tc)
1986年~1987年に中間2両の運転室を撤去し、4両固定編成化された。
- 620-670-623-673(1967年・6次車【620-670】/1969年・7次車【623-673】) 天神大牟田線→廃車
- 624-674-625-675(1969年・7次車) 天神大牟田線→廃車
- 628-678-629-679(1971年・8次車) 天神大牟田線→廃車
- 630-680-631-681(1971年・8次車【630-680】/1972年・9次車【631-681】) 天神大牟田線
[編集] 全盛期の西鉄600形
初期の西鉄600形。1灯式の大型ヘッドライトが特徴。写真は冷房化改造された姿。登場時は非冷房だった。
行き先表示は3次車までは看板式、4次車から手動式の行き先幕となった。
1971年製8次車(モ628~)から前照灯がシールドビーム2灯式に変更された600形。
晩年期の近代化改造には前照灯2灯のみ(テールライトは標識灯と共通タイプ)という改造もされたが、不評だったため短期間のみの存在となった。
不評だったヘッド・テールライトが一体型に交換され、旧塗装の姿。このあと、アイスグリーン色に変更された。
[編集] 今後の予定
2006年3月25日から3000形が天神大牟田線で営業運転を開始しているため、同線で運行されている600形は老朽化の進行に伴い、順次3000形に置き換えられて廃車になる予定となっている。なお700形も3000形への置き換えで既に廃車となっている。また、宮地岳線で運用されている600形については天神大牟田線での運用終了後も引き続き運用を継続する予定だが、逆に甘木線では既に全車が運用を外れ、直通運転を行っている天神大牟田線の宮の陣~大牟田間の普通列車と共にワンマン運転対応の7000・7050形に置き換えられている。
2006年6月3日から3000形による5連運用の開始に伴い、600形の定期運用は消滅した。
[編集] 参考文献
- 『復刻版 私鉄の車両9 西日本鉄道』(ネコパブリッシング 飯島巌・谷口良忠・荒川好夫) ISBN 4873662923
- 『鉄道ピクトリアル』1974年4月・1989年9月・1999年4月臨時増刊号(鉄道図書刊行会)
- 『鉄道ダイヤ情報』2004年2月号(交通新聞社)
[編集] 関連項目
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