西尾幹二
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西尾 幹二(にしお かんじ、1935年7月20日 - )はドイツ文学者、評論家。電気通信大学名誉教授。
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[編集] 人物
東京都に生れる。東京都立小石川高等学校、東京大学文学部独文科卒業。同大学院修士課程を修了。文学博士(東京大学)。新しい歴史教科書をつくる会(以下、「つくる会」)名誉会長(2001年9月~2006年1月)。
ニーチェの翻訳で知られる。翻訳は『悲劇の誕生』、『偶像の黄昏』、『アンチ・クリスト』、『この人を見よ』など(以上ニーチェの著作の翻訳)。その他にも翻訳でアルトゥル・ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』などがある。主要著作『ニーチェ』、『ヨーロッパの個人主義』、『ソ連知識人との対話』、『日本の教育 ドイツの教育』、『自由の悲劇』、『わたしの昭和史』、『国民の歴史』、『人生の深淵について』、『民族への責任』等。『地球日本史』『新地球日本史』の責任編集。翻訳もおしなべて高水準であると言える。
竹山道雄、西義之と続く、ドイツ文学者出身の保守系文化人として、すでに、1970年代後半から名は知られていた。朝まで生テレビに番組開始時から多く出演する。バブル景気時に経済界で高まった外国人労働者の受け入れ論に、文化論的視点から反対論を主張する。論壇での活躍が圧倒的に増えたのはやはり「つくる会」以降である。小堀桂一郎とは大学の同級生。
台湾については否定的で、「台湾も所詮は中国の一部分であり、擁護に値しない」と雑誌「正論」などで批判し、金美齢らの怒りを買った。
親米保守の立場ではあるが、小泉純一郎内閣には批判的で、同政権の対北朝鮮・対アメリカ外交、郵政民営化などの規制緩和路線などを過激な筆致で徹底攻撃(月刊誌『Voice』2005年10月号では「狂人宰相」とまでよんでいる)している。
2006年1月17日、「新しい歴史教科書をつくる会」は離脱したが、一連の活動が日本人の歴史の再認識に果たした役割は大きいといえる。旧版教科書の改訂にあたり岡崎久彦が断りなく親米的な記述に書き換えたことを糾弾、「教科書が使われ続ける限り、当然私が執筆者であることは続く」、「私が新たに教科書を執筆することは、要請されてもない」とコメントしている。
そういった道程を経て、9.11テロ以来不仲だった小林よしのりから2006年ごろから小林の作品の欄外で肯定的なコメントをかかれるようになり、西尾自身も『わしズム』夏号に小林からの寄稿依頼に応じて論文を執筆するなど、両者の関係改善が進んでいるようである。
[編集] 著書
- 『国民の歴史』新しい歴史教科書をつくる会編 1999年