菜飯
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菜飯(なめし)は葉野菜を米飯に炊き込んだ料理。愛知県豊橋市では田楽とセットにして地元の名物としている。東海・中京地方では東西に広がりを見せ、静岡県の菊川や愛知の岡崎も菜飯を出す店が多い。
かつて米が貴重品だった時代、白米のみを食べることは大変な贅沢だった。庶民は麦や粟、ひえといった雑穀、大根、山野草、芋など食べられるものはなんでも米に混ぜ込んで食べていた。こうした混ぜご飯を「糧飯」(かてめし)と呼び、菜飯もその一種である。
菜は青菜ならなんでもよいが、普通は蕪や大根の葉を用いる。炊き込むといっても最初から生米と一緒に炊き上げると水っぽく、色も悪くなる。美味しく作るには飯だけを先に炊いておき、炊き上がったところで刻んだ菜を混ぜ込み、蒸らす。この時、菜の水分をある程度抜いておくのがコツである。さっと茹でて細かく刻んだものを軽く乾煎りするか、塩をまぶしてしばらく置いたものを絞り、細かく切って使う。味付けは塩のみ。
蕪、大根以外では小松菜、ほうれん草、菜の花、野沢菜、変わったところでは紫蘇やわさびの葉などを入れても良い。味を補う為、梅干やちりめんじゃこ、昆布茶などをいれることもある。こうなってくるとまさに「かてめし」で、広がりは無限になる。
江戸期には豊橋の他に、近江国目川(現在の滋賀県)の菜飯が東海道を行く旅人に好評だった。江戸では浅草近辺に多く店があったという。
[編集] 沖縄料理
沖縄県にも菜飯(セーファン)と呼ばれる米飯料理が存在する。
白飯の上に卵焼き、人参・椎茸などの野菜の煮物、茹でた青菜類を綺麗に盛り付ける。食べる際に、豚肉や鰹節から取って醤油などで味付けしただし汁を上からかけ、茶漬けのようにして食べる。上記の具材は代表的なものであり、お好みの具に変更したり、追加する事も可能である。
中世に存在した芳飯(茶漬け参照)に類似した調理法であり、日本から伝えられた可能性がある。