若乃花幹士 (2代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

若乃花幹士（わかのはなかんじ、1953年 4月3日 - ）は、青森県南津軽郡大鰐町出身で二子山部屋所属の元大相撲力士、第56代横綱。現在の間垣親方。本名は下山勝則（しもやまかつのり）。血液型AB。身長186cm、体重129kg。大関時代に師匠であった初代若乃花の娘婿となり（のち離婚）、横綱昇進を機に「若三杉」から師匠の四股名を継承した。

[編集] 来歴

元横綱・若乃花幹士（初代）の二子山親方に見出され、浪岡町出身の高谷（のちの横綱・隆の里）と同じ夜行列車で上京、二子山部屋に入門した。幕下時代から北の湖とならぶホープとして期待されたが、しばしばケガをしてやや出世が遅れた。しかしそれでも、1973年7月場所に20歳で新十両、十両は2場所で突破して同年11月場所に新入幕、翌1974年11月場所には新小結で11勝4敗、一気に大関候補と呼ばれた。

1977年1月場所には関脇で3場所連続の11勝を挙げ、3場所通算33勝として場所後に大関に昇進した。大関時代は柔らかい足腰、切れ味鋭い投げ技で北の湖・輪島全盛期のなかで活躍し、人気急上昇とともにCMにも多数出演。2場所連続で優勝同点を記録した1978年5月場所後に横綱に昇進した。昇進に際しては辛口の意見も合ったが結果が打ち消し、横綱昇進とともに2代目若乃花幹士に四股名を改めた。横綱推挙伝達式での口上は、「心技体の充実に務め、立派な横綱になるよう精進します。」であった。明治神宮での新横綱奉納土俵入りで兄弟子の大関・貴ノ花が太刀持ちを務めたのは有名な話である（師匠が、貴ノ花に奮起を促すため、そして大関が本場所の土俵で露払い・太刀持ちを担当しないということでファンサービスのために命じたらしい。貴ノ花ファンからは「かわいそうだからやらせないで!」という声が上がったそうである）。

甘いマスクで人気があり蔵間と女性ファンの人気を二分していたが、横綱昇進後は北の湖全盛期と重なってどうしても二番手という印象が拭えず、優勝回数は4回と少なく、初代若乃花ほどの活躍はできなかった。また、富士櫻を大の苦手としていた。

それでも成績と相撲内容は安定しており、当時歴代2位にあたる28場所連続勝ち越しの成績をあげた。1981年輪島が土俵を去り、千代の富士が台頭してきた頃から肝臓病や痔で休場が重なり、この年皆勤したのは僅か2場所だけだった。翌1982年に再起を目指し5月場所には久々に優勝争いをし、千代の富士と相星決戦を戦った。しかし、それ以外の場所は二桁勝つのがやっとの状態で、更に11月場所は痔の手術のためにまたもや全休。翌1983年1月場所に出場したものの満足な相撲が取れず、5日目に朝潮に敗れたのを最後に引退した。

まだ30歳前で引退を惜しむ声もあったが、師匠の娘と別離し年上のホステスと情交関係を結び後に結婚する等の離婚問題が影響したのか、協会内に引き止める者は少なかったと言われている。同じ時代に活躍した横綱北の湖との対戦成績は横綱昇進前は11勝11敗と五分だったが、昇進後は7勝14敗と差がついてしまった。一方輪島は逆で昇進前は6勝14敗と大きく負け越していたが、昇進後は8勝5敗と勝ち越している。

1983年12月に二子山部屋から分家独立して間垣部屋を興し、若闘将に始まり、若ノ城や五城楼、大和などの幕内力士を育てている。若闘将が十両に昇進したときは、『親方（初代若乃花の二子山親方）の定年までに関取を育てることができて良かった』と心の底から安堵した様子であった。

1998年1月には境川理事長（横綱・佐田の山）の年寄名跡改革私案に反対し日本相撲協会理事選挙に立候補、史上初めて投票選挙になったが初当選し、それまでの一門2理事枠を破る。協会内では、理事大阪場所担当部長。