臨時災害放送局
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臨時災害放送局(りんじさいがいほうそうきょく)は、放送法第三条の五に規定する「臨時かつ一時の目的のための放送」(臨時目的放送)のうち、「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生した場合に、その被害を軽減するために役立つこと」(放送法施行規則第一条の五第二項第二号)を目的とする放送を行う放送局。「臨時災害放送局」の語は電波法関係審査基準による。
実際には、地震、火山の噴火など、特に甚大な被害が懸念される場合に、被災した地域に各種情報(自治体からの災害関連情報、避難場所、救援物資、仮設住宅、ライフライン復旧状況など)を提供する。
局は、小出力の可搬式送信機と小型簡易な送信アンテナ(地域で最も高い高層建築物に―その建物自体が危険でない限り―設置される)、音源としてCD・MDプレーヤーやラジカセとアナウンス用のマイク、音源と送信機を仲介するマイクミキサー、停電している場合はそれに加え電源として発動機式発電機と、必要最低限の設備で構成される。この為、通常、開設が比較的簡単なFM(超短波)ラジオ放送が利用され、テレビ放送やAM(中波)ラジオ放送は滅多に利用されることはない。放送設備が大掛かりで煩雑である事や、電波が飛び過ぎたり利用可能な周波数に空きがなかったりする為である。
[編集] 開局事例
これまでに4つの臨時災害放送局が開局されている。
- ※FMながおかはコミュニティFMラジオ放送局だが、この地震に際し出力を臨時に20Wから50Wに増力して、自主製作番組の時間帯を災害情報番組に切り替えて放送した。
[編集] 臨時災害放送局以外の災害による臨時放送局の事例
1990年11月からの長崎県雲仙普賢岳の火山活動に伴い、NHKが周辺地域への災害報道のため、大火砕流直前の1991年6月、中継放送所を利用した臨時のラジオ放送局「NHK島原放送局」(呼出符号JOBG、演奏所は島原市・有明学園島原経理学校内)を開設、雲仙普賢岳の状況、気象状況、防災生活情報などを、1回5分、1日数回、第1放送で放送した(1996年3月廃止)。