無量光寺

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無量光寺（むりょうこうじ）は、神奈川県相模原市当麻578にある時宗寺院。旧時宗大本山。

[編集] 概略

山号は当麻山、院号は金光院、道場号は当麻道場。当麻無量光寺とよばれる。
本尊は木造一遍立像。市指定有形文化財。レプリカが国立歴史民俗博物館と相模原市立博物館にある。
寺伝によれば、弘長元年（1261年）一遍により草庵が設けられたのが濫觴という。実際には他阿真教が嘉元元年（1303年）2月に遊行をおえて止住するために道場を開いたのが起源であろう。『遊行上人縁起絵』は当寺の別時念仏で場面が終わる。文保3年（1319年）に真教が亡くなると、初期時衆教団の聖地となり、参詣者が引きも切らなかったことが他阿呑海の法語に遺っている。
他阿真教の後を承けた他阿智得が亡くなると、その弟弟子、有阿恵永（後の呑海）が当麻に入ろうとする。しかし内阿（他阿）真光がすでに相続しており、果たせなかった。そこで呑海は鎌倉郡俣野、数年後に藤沢に道場を建立し、それが清浄光寺として現在に至る。
「時宗十二派」史観では当麻道場の法流は「当麻派」とよばれる。相模、武蔵、下総などに末寺を有し、千葉氏、小田原北条氏などの帰依があった。「無量光寺文書」は北条氏との深い関係を示している。当麻派の長は当寺住持で「当麻上人」といい、真教以来「他阿」の本名字を相承している。
中世から特に近世において、浄土宗の寓宗となり、法式および人脈は浄土宗に依拠した。当麻上人は浄土宗寺院から入ることが多かった。
近世に当麻上人が周辺諸国を遊行していたことが地方文書に遺されている。それは遊行派が伝馬朱印状を有して大々的に行っていたこととは対照的に、大変こぢんまりとしたものであった。
明治期になり遊行派との別立を企図するが、遊行派が一貫して遊行を行っていたことからその優位性を認め、時宗への残留を容認した（とされている）。時宗大本山に指定され、寺法を有した。
史料に『麻山集』がある。アンチ遊行派の立場に立ち、ユニークな記述も多い。
賦算権を現在も保持しており、形木が遺っている。正月などに配られる。
浄土宗の高僧山崎弁栄が大正7年（1918年）7月、61世住職に迎えられ、事実上の中興の祖となる。その徒弟養成のための学校が学校法人光明学園の設立起源。
一遍が流罪途上の日蓮と邂逅したという逸話に基づき、厚木市の日蓮宗妙伝寺と交流があり、御会式に出席したり、開山忌などに招いていたという。
在堪が終わる清浄光寺の学侶に当寺の榧（かや）の木から搾った脂で揚げた精進料理を振る舞うしきたりがあった。現在は年度末の二祖忌に参拝に訪れるだけである。
法名は阿弥号であった。今は遊行派の阿号に収斂されつつあるようである。