新造人間キャシャーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新造人間キャシャーン | |
---|---|
ジャンル | SFヒーローアクション |
テレビアニメ | |
監督 | 笹川ひろし |
アニメーション制作 | タツノコプロ |
製作 | 吉田竜夫 |
放送局 | フジテレビ |
放送期間 | 1973年10月 - 1974年6月 |
話数 | 全35話 |
OVA | |
監督 | 福島宏之 |
アニメーション制作 | 九里一平、タツノコプロ、日本コロムビア |
リリース日 | 1993年 |
原作 | |
|
|
話数 | 全4話 |
『新造人間キャシャーン』(しんぞうにんげんキャシャーン)は、タツノコプロが制作した吉田竜夫原作のSFアニメ。1973年に制作されたテレビアニメ版(全35話)と、1993年にタツノコプロ創立30周年記念作品として制作・発売されたオリジナルビデオアニメ(OVA)版(全4話)がある。
2003年には本作品を原作として、実写版の映画「CASSHERN(キャシャーン)」(監督:紀里谷和明)が製作されている(本項では記載せず)。
目次 |
[編集] 概要
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
テレビアニメ版は、1973年(昭和48年)10月2日から1974年(昭和49年)6月25日まで、フジテレビ系で毎週火曜日19:00 - 19:30に、全38回(35話+再放送3話)にわたり放送された。
石油ショックによるスポンサーの宣伝費の削減や、メインスポンサーであった文具メーカーの倒産などが原因で、当初の予定よりも短い9ヶ月(3クール)で放送が打ち切られることになり、最後は駆け足且つ投げやりな展開になってしまった。しかし、タツノコプロ特有の劇画タッチのキャラクターと、主人公の悲劇性、きわめてシリアスなストーリーを持つ本作品は、テレビアニメ放映終了後30数年が経った今も根強い人気と支持を集めた。後年、ファンの中から成長してクリエイターになった者の手によりリメイクが行なわれた。リメイクされたオリジナルビデオアニメ(OVA)のキャラクターデザインと作画監督を務めたアニメーターの梅津泰臣はタツノコプロ作品の長年のファンだったという(梅津は本作品だけでなく、『科学忍者隊ガッチャマン』と『破裏拳ポリマー』のOVA版でもキャラクターデザインと作画監督を務めている)。実写版「CASSHERN」の監督紀里谷和明もまた本作のファンだったことから実写化を実現した。
同社作品『科学忍者隊ガッチャマン』に続くSFヒーローものとして企画され、当初は『ガッチャマン』の後番組として日曜日午後6時の枠で放映される予定だった。しかし、『ガッチャマン』が大人気を博し、放映期間が予定よりさらに1年間延長されることになったため、同時並行で別の放送枠で放映されることになった。
放映が決まったフジテレビ火曜日午後7時の時間帯は当時、『樫の木モック』『けろっこデメタン』と続くタツノコメルヘン路線が敷かれていた枠である。そのため本作にもその影響が残っており、企画書においてもメルヘン性が盛り込むことが謳われている。舞台は明確な国籍は設定されていないものの、北欧がイメージされて背景美術が描かれ、古城や宮殿、石畳の歩道が登場する中を主人公を流浪する。また、主人公がいつかは人間に戻ることを望むというピノキオとも通じる要素を持ち、母親が白鳥に姿を変えるというファンタジー色を持つのも一つの特徴である。その一方で重厚なドラマとハードなアクションが魅力となっている。
同時期のヒーロー番組では、毎回個性ある敵(怪獣、怪人、ロボット等)が登場し、その能力と任務・作戦を打ち破り阻止するヒーローの戦いがストーリー展開の軸となっていたが、本作では大半のエピソードで、毎回共通して登場する数種類の量産型の戦闘用ロボットが攻撃の主体であるという、当時としては画期的な演出を行っている。これにより、「ロボット軍団」にふさわしい無機質な不気味さを表現するのに成功していると同時に、ロボットが没個性的な分、ロボットの攻勢にさらられる人間側の生き様(毎回これを象徴する「ゲストキャラ」が登場する)、および彼ら人間と、心は人間ながら機械化された存在であるキャシャーンとの(かつキャシャーン自身の内面の)葛藤を掘り下げて描写することが重要となり、結果として、現在でも評価の高い人間ドラマを生み出すこととなった。反面、毎回目新しく個性ある敵ロボットの登場がなかったことで、とりわけ低年齢層の視聴者にはややとっつきにくい印象を与えたことも否めない。但し、途中からは不死身と証する「人間」キャシャーン対策に特化したロボットが登場するようにはなっている。
本作を監督したのは、これまでギャグものを多く手がけて来て、前番組『けろっこデメタン』を担当していた笹川ひろしである。本格的なSFアクションものはこれが初めてという笹川は、ターザン映画をイメージして、主人公のアクションを描いたという。ロボット犬フレンダーは、笹川が漫画家時代に「少年キング」に連載した漫画『魔犬五郎』から引用したもの。フレンダーの遠吠えは音響効果スタッフの加藤昭二自らが演じたものにエコーをかけたものだが、この遠吠えもターザンの雄叫びを意識したものである。また、荒野を彷徨う流れ者というヒーロー像はタツノコプロの先行作品『紅三四郎』があり、声優のオーディションで神谷明とともに残った西川幾雄がキャシャーン役に決定したのも、『紅三四郎』で主人公役を西川が演じた経験をタツノコプロ社長吉田竜夫が買ったものだった。
本作の仮タイトルは『ネオロイダー』だったが、読売広告社の松山貫之専務のアイデアで『新造人間キャシャーン』となった。監督の笹川ひろしは、これをガラスが割れた音と捉え、ガラスが割れて二度と元に戻れないことを意味すると解釈。人間に戻れなくなった主人公像を重ね合わせた。また、当初の企画では、主人公・東鉄也の名前は「南譲次(みなみ・じょうじ)」になる予定だったが、『ガッチャマン』の登場人物に「南部博士」がおり「南」を使いすぎるとの理由で変更された。なお、「南譲次」の名前はその後、漢字表記を「南城二」に変えて『宇宙の騎士テッカマン』の主人公の名前に転用された。
テレビアニメ版・OVA版とも日本コロムビアよりDVD化された(テレビアニメ版全9巻、OVA版全1巻)。
[編集] 1973年のテレビアニメ版
[編集] ストーリー
東(あずま)博士の開発した公害処理用ロボットBK-1が落雷により狂い、「ブライキングボス」を自称し戦闘ロボット軍団「アンドロ軍団」を作り上げて世界征服を開始した。東博士の息子鉄也は、人間と融合して完成する不死身の「新造人間」キャシャーンとなり、ロボット犬・フレンダー、恋人のルナとともにアンドロ軍団に立ち向かう。
[編集] スタッフ
- 原作:吉田竜夫、タツノコプロ企画室
- 企画:鳥海尽三
- プロデューサー:吉田健二、九里一平
- 総監督:笹川ひろし
- 脚本:落合茂一、酒井あきよし、福井忠、 若松はじめ、多村映美、三宅直子ほか
- 演出:布川郁司(現・布川ゆうじ)、富野喜幸、岡迫和之ほか
- キャラクターデザイン:吉田竜夫、天野嘉孝
- 作画監督:林政行、川端宏、井口忠一
- 美術:中村光毅
- 音響効果:イシダサウンドプロ(現・フィズサウンドクリエイション)
- SF考証:小隅黎(柴野拓実)
- 音楽:菊池俊輔
- 主題歌
- オープニング=「たたかえ!キャシャーン」/作詞:タツノコプロダクション企画文芸部、作曲:菊池俊輔、歌:ささきいさお
- エンディング=「おれは新造人間」/作詞:タツノコプロダクション企画文芸部、作曲:菊池俊輔、歌:ささきいさお
- 制作:吉田竜夫、タツノコプロ、フジテレビ
[編集] 声の出演
- キャシャーン(東鉄也):西川幾雄
- 東光太郎博士:山内雅人
- 東みどり:武藤礼子
- 上月ルナ:塚田恵美子
- ブライキング・ボス:内海賢二
- バラシン:立壁和也
- サグレー:加藤修
- アクボーン:仲木隆司
- フレンダー:加藤昭二(イシダサウンドプロの音響効果スタッフ)
- ナレーター:納谷悟朗
[編集] テレビアニメ放送リスト
- 不死身の挑戦者
- 月光に勝利をかけろ
- 廃虚の中に明日を呼べ
- MF銃に怒りをこめろ
- 戦いの灯を消すな
- 疾風フレンダー
- 英雄キケロへの誓い
- 野獣ロボが吠える
- 戦火に響け協奏曲
- 死の砂漠に命をかけろ
- 悪魔の巨像
- 鉄の悪党列車
- 裏切りロボット五号
- キャシャーン無用の街
- 復讐に小犬は駆ける
- スワニー・愛の翼
- ロボット子守唄
- 巨象対アンドロ軍団
- 恐怖のピエロボット
- 死刑台のキャシャーン
- ロボット・ハイジャック
- 脱走ロボット・ロメオ
- ロボット工場大脱出
- バウンダー・ロボの挑戦
- 不死身のキャシャーン
- キャシャーンの秘密
- 消えたMF銃
- 怒りの騎馬隊
- 高熱ロボ・ネオタロス
- ロボ退治ナンバーワン
- 新造人間を造る街
- 涙の電光パンチ
- スワニー危機一髪
- キャシャーン対ロボットエース
- 地球最大の決戦
第32話と第33話の間に再放送
英雄キケロへの誓い (第7話の再放送)、戦火に響け協奏曲 (第9話の再放送)、裏切りロボット五号 (第13話の再放送)
[編集] 1993年のOVA版
[編集] テレビ放映
2006年の8月1日午前10時22分〜11時18分・8月2日午前10時47分〜11時46分に、NHK衛星第2テレビの「BS夏休みアニメ特選」枠内にて放送された。
[編集] ストーリー
ブライキング・ボス率いるアンドロ軍団はついに世界征服を果たし、人間は奴隷としてロボット工場などで強制労働を強いられていた。しかし、人々の間には一つの伝説があった。それは、ロボットと戦う、人間の姿をした「キャシャーン」という名の救世主が、いつか人類を解放してくれる、と言うものだった。ある日、アンドロ軍団の最大のロボット工場に少女・上月ルナが潜入し、捕虜たちの脱走を企てるが失敗。しかし、ルナが処刑される寸前、ついにその伝説の救世主が現れた…。
[編集] スタッフ
- 原作:タツノコプロ
- エグゼクティブ・プロデューサー:永見暁彦、九里一平
- 企画:成嶋弘毅、鈴木敏充
- スーパーバイザー:柿沼秀樹
- 制作プロデューサー:木村健吾
- プロデューサー:木村裕史、吉田陸、大倉宏俊
- 監督:福島宏之
- 脚本:會川昇、有井絵夢、柿沼秀樹
- 演出:福島宏之、阿部雅司、渡部高志
- キャラクターデザイン・作画監督:梅津泰臣
- オープニングアニメーション:佐々木守
- 美術監督:福田和矢
- 音楽:大島ミチル
- 制作協力:アートミック、東京キッズ
- 制作:九里一平
- 製作・著作:タツノコプロ、日本コロムビア
[編集] 声の出演
- キャシャーン(東鉄也):草尾毅
- 東光太郎博士:キートン山田
- 東みどり:高木早苗
- 上月ルナ:冬馬由美
- ブライキング・ボス:内海賢二
- バラシン:菅原淳一
- サグリア:天野由梨
- アクボーン:二又一成
- ドクターレスター・モンゴメリー将軍:掛川裕彦
- 長老アサリ:緒方賢一
- ナレーター:沢木郁也
[編集] OVA放送リスト
- 神話からの帰還
- 過去への旅立ち
- 鋼鉄の戦場
- 復活のキャシャーン
[編集] 備考
テレビ放送時所謂ポケモンショックを防ぐために、一部暗く放送されたが、断りは無かった。
[編集] 関連項目
- CASSHERN - 2003年に公開された実写映画版。
- タツノコプロ - 制作プロダクション。
- フランケンシュタイン - 敵ブライキング·ボスの誕生シーンと造物主である人類へ反逆するフランケンシュタイン·テーマの系譜。
フジテレビ系列 火曜19:00枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 新造人間キャシャーン | 次番組 |
けろっこデメタン | おらあガン太だ |