心合寺山古墳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

心合寺山古墳（「市立しおんじやま古墳学習館」のあるあたりから撮影）

心合寺山古墳に並べられた円筒埴輪

心合寺山古墳 （しおんじやまこふん）は、大阪府八尾市大竹にある古墳。墳丘部分は南北に全長約160mあり、八尾市はもちろん、中河内地区を代表する大規模な前方後円墳である。

[編集] 概要

全長約160m、後円部直径約92m、高さ約13m、前方部幅約90m、高さ約12mの前方後円墳。南側が前方部、北側が後円部で、墳丘は3段築成となっている。また、生駒山地の麓に等高線に沿うように築かれているため、その周囲の堀は南側、北側の2ヶ所で堤を造って区切られて東西で水位が異なる珍しい作りとなっている。

近年に史跡公園として整備され、墳丘の平坦部には円筒形埴輪（レプリカ）が並べて立てられている。整備にあたって、後円部中腹にある2本のキリの大木を保存する案と伐採する案があったが、結局残すことになった。これまでの発掘調査で出土した埋葬品等は、古墳の脇にある「八尾市立しおんじやま古墳学習館」で展示されている。

[編集] 歴史

古墳時代の中期、5世紀初め頃に作られたといわれる。当時このあたりを支配していた豪族の墓と考えられている。
飛鳥時代、この古墳の西側に心合寺（しんごうじ）とよばれる寺院ができた。この古墳の名の由来といわれる。しかし、この寺はいつしか無くなり、また、名前の言い回しも訛ってしまい、「しおんじ」になってしまった。
墳丘は現在までほぼ原形をとどめていた。1966年（昭和41年）2月に国指定史跡に指定された。
1993年（平成5年）から「史跡整備事業に伴う」本格的な発掘調査を開始。2003年までにかけて10次にわたって実施。
2001年（平成13年）から2005年（平成17年）にかけて整備工事をおこなった。

[編集] 発掘調査でわかったこと

墳丘各段の平坦部に約3,000本の円筒埴輪が並べられていた。並べ方には規則性があり、円筒埴輪、器財埴輪、形象埴輪を規則正しく組み合わせて並べられていた。
墳丘部の斜めになった部分は全面に葺石が葺かれていた。
前方部墳頂部の中央に「方形壇」と呼ばれる施設が確認された。その下に埋葬施設があった。
後円部墳頂部に長さの異なる「粘土槨」と呼ばれる埋葬施設3基があり、そのうち西側の「西槨」で木棺が確認された。周囲から、き鳳鏡、甲冑、大刀、鉄剣などのさまざまな副葬品が発掘された。