周亜夫
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周 亜夫(しゅう あふ ？ - 紀元前143年)は、前漢前期の武将、政治家。高祖に仕えた元勲・周勃（絳侯）の次男。
父の死後、長兄の周勝之が後を継ぐが、人を殺した罪により爵位を剥奪されたので、周亜夫が変わって家督を継ぎ、条侯に封建された。
[編集] 呉楚七国の乱以前
若い頃から、父と同様に軍事畑で活躍し、匈奴が漢の領土内に進行してきた際には、文帝から、一軍を率いてその防衛の一翼を担うように命じられる。それから間も無く、情勢が安定すると、文帝は国の守りに力を尽くしてくれた将兵を慰問したいと、各陣営を訪問・閲兵した。どの陣営も和気藹々としたムードで、文帝を迎えたが、周亜夫の陣営のみが
「ここは戦陣なので、皇帝陛下にもそれなりの作法で閲兵して頂きたい。」
と言って、文帝にも陣中の作法を守らせて、陣営内でも下馬をしたうえで通行させるほどであった。
後でこのことを知った、文帝の側近達は、
「なんと無礼なやつだ。」
と、周亜夫を非難したが、文帝は、
「あの男こそが、真の将軍たる人物だ。」
「もし大掛かりな戦争が起こったならば、周亜夫を軍の総帥にして事態を解決しろ。」
と遺言したと言われる。
[編集] 呉楚七国の乱
紀元前154年、景帝とその側近で当時、御史大夫だった晁錯が中心となって行った、急激な中央集権化政策に反発した、呉王劉濞が、楚や趙等の諸侯王と語らって、大規模な反乱を起こした。これが呉楚七国の乱である。
この頃、太尉となっていた周亜夫は、景帝の命を受け大軍を率いて、劉濞の率いる反乱軍の主力と昌邑で会戦し、これを大破。劉濞を始めとする反乱を起こした諸侯王は何れもが殺害されるか、自殺するかしてこの反乱は3ヶ月ほどで鎮圧された。これにより、漢王朝は中央集権化政策をさらに積極的に推し進めることとなった。
[編集] 呉楚七国の乱以後
反乱鎮圧後、周亜夫は丞相として、政権の中枢に位置することとなるが、景帝とは度々意見が対立し、その都度景帝の不興を買ってしまう。そんな中、新しい皇后を冊立することとなり、景帝は自分の寵愛する王氏(武帝の生母)を皇后にする意向であったが、周亜夫はこれに真っ向から反対し、ついに丞相職を罷免されてしまう。さらに、息子が将来に周亜夫の墓に副葬すべく購入したものが、宮中で製作された、皇帝専用のものであったことから、周亜夫は息子とともに不敬罪に問われてしまう。周亜夫は、これに対して、絶食死と言う形で責任を取り、その生涯を閉じた。また周亜夫の兄弟も揃って失脚させられた。
周亜夫の丞相罷免後、その一代を経た後任には景帝の側近から任命された。高祖以来、丞相は元勲若しくはその子弟の中(いわゆる軍功受益階層)から任命されることが、不文律となっていたが、これにより否定されたのである。
このことに関しては、李開元の著書・『漢王朝の成立と劉邦集団―軍功受益階層の研究』が詳しい。
