ルパン三世のテーマ
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ルパン三世のテーマは、漫画家モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』の主題歌として使用された楽曲である。
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[編集] 曲について
ジャズ・ピアニストであり、作曲・編曲家の大野雄二による、日本で最も有名なアニメ主題歌(主題曲)の一つ。当時のアニメのテーマ曲といえば歌詞入りが基本だったが、刑事ドラマばりの歌詞の無いインストゥルメンタルによるテーマ曲は非常に珍しかった。また、毎年開催される高校野球の応援歌にもよく使用される。
[編集] さまざまなヴァリエーション
オープニングテーマやエンディングテーマとして用いられたものに加え、本編用のアレンジ版などを加えると、膨大な数にのぼる。
[編集] 『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』で使用されたヴァージョン
ルパン三世のテーマはTV第2シリーズで初めて登場した。『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』で使用されたヴァージョンは以下の通り。いずれも編曲は大野雄二が担当。
[編集] ルパン三世のテーマ
第1話~第26話のオープニングテーマとして使用。
シングル盤の曲名表記は『ルパン三世のテーマ』であったが、1990年にコロムビアから発売されたCDボックス第二弾で『ルパン三世'78』と表記。以降のCDでも『ルパン三世'78』や『ルパン三世のテーマ'78』と表記されるようになるが、これはヴォーカル版との曲名上の差別化、あるいは『ルパン三世'79』『ルパン三世'80』との統一を図ったものと思われる。この措置のため「1978年の曲」と誤解されがちであるが、第2シリーズの放映開始は1977年である(『'79』『'80』も使用開始はタイトルの前年から)。演奏はユー&エクスプロージョン・バンド。コーラスは大野作品のみならず山下毅雄作品への参加も多いシンガーズ・スリー。
なお、フルサイズ版には、曲の途中でコーラスが入らないシングル・ヴァージョンと、コーラスが入るアルバム・ヴァージョンがある。これはトラックダウンによるミックスの違い。
[編集] ルパン三世のテーマ(ヴォーカル版)
第27話~第51話のオープニングテーマとして使用。
- ヴォーカル版で、歌詞原案は鴇田一枝。TV第2シリーズの視聴率が好調だったため、レコード会社の戦略として、「テーマ曲に歌詞をつけよう」という企画で歌詞は一般公募となった。しかし、大野の回想によればまともな歌詞が集まらず、鴇田の歌詞を採用後、作詞家の千家和也に補作を依頼、完成に至ったという経緯がある。歌はピートマック・ジュニアによる。歌い手の詳細は不明だが、英語なまりの声はかなりインパクトがあった。
- ルパン三世のボーカルなしの印象が強いためか、知名度は低い曲でもある。ルパン三世のテーマに歌詞はないと思っていた人も多かった。
- このヴォーカル版の知名度が上がったのは、パチスロ「主役は銭形」であろう。3ゲーム連でビッグ時にヴォーカル版が使用されており、連チャン確定とともに流れるピートマック・ジュニアの歌声にプレイヤーは酔いしれた。
- 当初は『ルパン三世 愛のテーマ』のヴォーカル版を担当したアニメソング界のアニキこと水木一郎による録音も行われたが、採用にはならなかった。水木版は2003年になって初ディスク化が実現している。
[編集] ルパン三世'79
第52話~第103話及び劇場映画第一作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』のオープニングテーマとして使用。
主旋律を当時のシンセサイザーが奏で、随所にシンセドラムも鳴り響く。TVサイズについては、第99話と第103話が日本アニメ史上初のステレオ放送であったため、それに合わせて効果音が被せられている。テレビスペシャルや劇場版の予告編でも使用頻度は高い。最近ではPS2用ゲームソフトのテーマ曲にもなっている。
[編集] ルパン三世'80
第104話~第155話(最終話)のオープニングとして使用。劇場映画第二作『ルパン三世 カリオストロの城』でも劇中でも使用された(オープニングテーマとしての使用ではない)。
TVシリーズ最終年を飾った、フルバンド演奏による最もジャジーなヴァージョン。ヴィブラフォンがメロディを奏でる。TVサイズは初使用となった第104話のオープニングから、モノラル放送・ステレオ放送に関わらず、効果音付きの状態で使用された。
また『カリオストロの城』では、物語前半のカリオストロ公国でのカー・チェイスシーンで2度編集されて使用されている。
[編集] 『ルパン三世 PartIII』について
『ルパン三世 PartIII』では、音楽の著作権が前2シリーズ及び劇場版を受け持ったコロムビアから当時新興のバップに移ったため、大野雄二がTV第2シリーズで用意した楽曲はほとんど使用できなかった。そのため、本作用の音楽に『ルパン三世のテーマ』のアレンジ曲は存在しない。また、本シリーズのOP『セクシー・アドベンチャー』、ED『フェアリー・ナイト』は、コロムビアから発売されたテーマ曲集には当初オリジナルのマスターが使えず、別の歌手によるカバー曲を収録していたという経緯もある。
[編集] 『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』で使用されたヴァージョン
『PartIII』放映中に劇場公開された劇場映画第三作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』では、よみうりテレビとともに日本テレビ放送網が製作に携わり、レコード会社間の調停を行い、久々に『ルパン三世のテーマ』が聴けることとなった。
[編集] THEME OF LUPIN the 3rd
映画用に録音されたヴァージョンで、全パートがシンセなど電子楽器による演奏。録音時のMナンバーは"M32"。本編で使用された1コーラス版は、2チャンネル・モノラルでの録音だが、映画公開当時にコロムビアから発売されたサントラLP『ルパン三世 バビロンの黄金伝説 オリジナル・サウンドトラック音楽集』に収録されている2コーラス版は、通常のステレオにミックスダウンされての収録となっている。 映画本編では、ルパンがマルチアーノのもとから黄金の獅子像を奪い、コウモリ型カイトで飛び立つシーンに用いられている。
また、不二子の口笛にも使われている。
[編集] 1989年以降のTVスペシャル・劇場映画・OVAで使用されたヴァージョン
1989年からスタートし、現在も年1本のペースで放送されるTVスペシャル。その間の1995年、1996年に劇場映画が2作品(『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』、『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』)、2002年にOVAが1作品(『ルパン三世 生きていた魔術師』)製作されている。
[編集] ルパン三世のテーマ'89(THEME FROM LUPIN III '89)
TVスペシャル第一弾『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』以降、オープニングテーマとして最多使用のヴァージョン。編曲は大野雄二。これ以降は以下の作品で使用されている。
- 1990年 TVスペシャル第二弾『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』
- 1991年 TVスペシャル第三弾『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』
- 1992年 TVスペシャル第四弾『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』
- 1993年 TVスペシャル第五弾『ルパン三世 ルパン暗殺指令』
- 1994年 TVスペシャル第六弾『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』
- 1995年 劇場映画第五作『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』
- 1995年 TVスペシャル第七弾『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』
- 1999年 TVスペシャル第十一弾『ルパン三世 愛のダ・カーポ~FUJIKO'S Unlucky Days~』
- 2002年 OVA第二弾『生きていた魔術師』
- 2002年 TVスペシャル第十四弾『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』
1999年の『愛のダ・カーポ』では、曲の中盤(ヴォーカル版で言えば「男には~」からの部分)が完全に省略された珍しい形で使用されている。
[編集] ルパン三世のテーマ('96TVヴァージョン)
1996年放送のTVスペシャル第八弾『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』でのみ使用されたヴァージョン。編曲は、本編の音楽を担当した根岸貴幸。演奏の指揮は中谷勝昭。 大野は、同年の劇場映画第六作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』で、前年の山田康雄の死去と、ライブ演奏の多忙を理由に降板し、根岸が担当。そのため、本作でも音楽を担当することになった。
なお、『DEAD OR ALIVE』でも、根岸によるアレンジ版「ルパン三世のテーマ('96ヴァージョン)」が録音され、サントラ盤(発売元:バップ)にも収録されている(本編未使用)が、このTVヴァージョンとは似ても似つかぬアレンジである。
[編集] ルパン三世のテーマ'97(THEME FROM LUPIN III '97)
1997年にルパン三世誕生30周年を記念してレコーディングされたヴァージョン。編曲は大野雄二。30周年ということもあり、これまでのヴァージョンの集大成のようなアレンジとなっている。コーラスには、企画アルバム『テーマ・レボリューション'92』(1992年発売/コロムビア)でアカペラによるテーマを披露したタイム・ファイブに加え、大野雄二作品への参加が多く、何しろオリジナル・ヴァージョン('78)でコーラスを担当していたシンガーズ・スリー(伊集加代子、和田夏代子、尾形道子)も久々に集結。30周年に相応しいヴァージョンとなった。 残念ながら作品での使用は、この年のTVスペシャル第九弾と翌1998年のTVスペシャル第十弾の2作のみとなっている(99年ではTHEME FROM LUPIN III '89を4年ぶりに使用したが、クレジットには「ルパン三世のテーマ(97バージョン)」と記されている)
- 1997年 TVスペシャル第九弾『ルパン三世 ワルサーP38』
- 1998年 TVスペシャル第十弾『ルパン三世 炎の記憶~TOKYO CRISIS~』
[編集] ルパン三世のテーマ'97(readymade 440 mix)
『PUNCH THE MONKEY!3』(2000年6月発売/発売元:コロムビアミュージックエンタテインメント)で最初のトラックに収録された、DJよしおによるリミックス・ヴァージョン。同シリーズでは、元曲の1フレーズくらいしか用いていないような、オリジナル版の影も形も無いリミックス版が多い中で、このヴァージョンはオリジナル版『ルパン三世のテーマ'97』を生かす形で、新たに楽器やコーラスをオーバーダビングしている。完成度の高さから、2000年放送のTVスペシャル第十二弾『1$マネーウォーズ』のオープニングテーマに採用され、冒頭のカーチェイスシーンを盛り上げた。
なお、追加分のコーラスには、タイム・ファイブの田井康夫が参加している。
[編集] LUPIN THE THIRD
英語詞によるヴォーカル・ヴァージョン。詞は奈良橋陽子、歌はakiko。2001年放送のTVスペシャル第十三弾『ルパン三世 アルカトラズコネクション』のエンディングテーマ「WHAT'S THE WORRY?」をakikoが歌い、それを収録したマキシシングルのカップリングとなった。
なお、英語詞は2000年に発売された『LUPIN THE THIRD「JAZZ」the 2nd』(発売元:バップ)で新たに作られたものを使用している。
[編集] ルパン三世のテーマ'78(2002 Version)
大野雄二がルパン三世音楽担当25周年を迎え、記念に録音されたTV第2シリーズで最初に使用されたオリジナル・ヴァージョンの再演奏版。再演奏とは言え、アレンジは随所で異なり、ストリングスが加わるなど、音の厚みはオリジナル以上。コーラスは、『未来戦隊タイムレンジャー』の主題歌を歌った佐々木久美のほか、広谷順子、斎藤妙子が担当している。
リリースされた年と同じ2002年のTVスペシャル第十四弾『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』では、ルパンファミリー5人の出会い、すなわちシリーズの出発点が描かれるということもあり、エンディング・テーマとして使用。その後、翌2003年のTVスペシャル第十五弾と2004年のTVスペシャル第十六弾でオープニングを飾った。
- 2003年 TVスペシャル第十五弾『ルパン三世 お宝返却大作戦!!』
- 2004年 TVスペシャル第十六弾『ルパン三世 盗まれたルパン ~コピーキャットは真夏の蝶~』
また、2006年放送のTVスペシャル第一八弾『ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ』のTVスポットでも使用された。
[編集] ルパン三世'80(2005 Version)
TV第2シリーズの後期オープニングを飾り、歴代ヴァージョンの中でも人気の高かった'80ヴァージョンの再録音版。『LUPIN THE THIRD「JAZZ」』シリーズや『Isn't It Lupintic?』シリーズ開始当初から、再演奏のリクエストが多かった。'78の2002年ヴァージョンと同様、ストリングスも加えられ、アレンジも基本的にオリジナルに忠実ながら、厚みも増している。コーラスは佐々木久美、広谷順子、斎藤妙子。ヴィブラフォンは大井貴司による。
2005年放送のTVスペシャル第十七弾『ルパン三世 天使の策略 ~夢のカケラは殺しの香り~』でオープニングを飾った。また、2006年放送のTVスペシャル第一八弾『ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ』のオープニングでも引き続き使用された。
[編集] その他レコード・CD等でリリースされた主なアレンジ版
[編集] ルパン三世'92
- 初収録CD『ルパン三世 テーマ・コレクション』(コロムビア/1991.12.21発売/COCC-9457)
※ただし、歴代テーマ(「'78」「'79」「'80」)とのメドレーで、山田康雄によるナレーション入り
- フルサイズ初収録CD『ルパン三世 テーマ・レヴォリューション'92』(コロムビア/1992.5.21発売/COCC-9978)
[編集] ルパン三世・テーマ(A CAPELLA VERSION)
- 初収録CD『ルパン三世 テーマ・レボリューション'92』(コロムビア/1992.5.21発売/COCC-9978)
- コーラス:タイムファイヴ
[編集] ルパン三世・テーマ(STRINGS QUARTET VERSION)
- 初収録CD『ルパン三世 テーマ・レボリューション'92』(コロムビア/1992.5.21発売/COCC-9978)
- 演奏:大野雄二&'92 Explosion Band
[編集] ルパン三世・テーマ(Cathedral Version)
- 初収録CD『ルパン三世 聖夜泥棒 LUPIN THE THIRD IN CHRISTMAS』(コロムビア/1992.11.10発売/COCA-10291)
- 演奏:YOU&'93 Explosion Band
[編集] アニメ以外でのカバー曲
- SEAMO(シーモ)が2006年7月26日に「ルパン三世のテーマ」をラップでカバーした「ルパン・ザ・ファイヤー」(発売元・BMGジャパン)を発売した。
- 熱帯JAZZ楽団が2004年6月23日に発売した8枚目のアルバム「熱帯JAZZ楽団VIII ~The Covers~」の中にラテン・ビッグバンドアレンジによるカバーが納められている。編曲はトロンボーン奏者の中路英明。
- 1999年にルパン三世のトリビュート・アルバム『You's Explosion』が製作され、Char、樋口宗孝(元LOUDNESS)、DIAMOND☆YUKAI(元RED WARRIORS)、ROLLY、田中昌之(元クリスタルキング)、小野正利、田中健(ケーナ奏者として)らが参加した。