リング (格闘技)
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格闘技におけるリングとは、ボクシングなどの格闘技で試合場として使用される、ロープで囲まれた場所のこと。試合中、原則的には対戦する選手とメインレフェリー以外は、リング内に立ち入ることが許されない。また、アマチュアレスリングやサンボで使用する試合場もリングと呼ぶことがある。こちらはロープがなく、円形である。
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[編集] ボクシングのリング
古代のボクシングは主にコロシアムで行われ、ロープで囲まれたリングは使用されなかった。 時代が下って近代に入ると、ボクシングは見世物や賭けの対象として広場などで行われ、相撲の土俵の基となった「人方屋」のように観客が選手を取り囲むように輪になって観戦した。 このとき、選手が逃げられないように観客が手にロープを持って囲んでいたことが、リングの起源でありまた語源ともされている。ジャック・ブロートン(Jack Broughton)が初の7章のルールブック「ブロートン・コード」(Broughton’s Rule)を、1743年発表した。その中に、リング(直径25フィートの円形、硬い土の上)について決められていた。 やがて地面に直接4本の杭を立ててロープを張るようになったが、形は四角くなってもこれをそのままリングと呼び習わした。1865年成立の「クインズベリー・ルール」ではリングの1辺が24フィート(7m32cm)の四角形と規定された。
現代では、主に鉄製の柱4本の間に3-4本のロープを張り、鉄骨製の土台の上に丈夫な板を並べ、その上にクッションを敷いてキャンバスで覆い、リングとしている。 2005年現在のボクシングルールでは、ロープの内側のサイズが一辺18から24フィート(5.47から7.31メートル)の範囲内で、床面の高さは4フィート(1.22メートル)以内と定められている。 サイズについての規定が曖昧であるが、これはリングの大小が直接勝敗に影響しないことと、その発祥が前述のようなものであったことが理由である。 ロープの太さは1インチ(2.54センチメートル)で4本を用い、最下段がフロアから18インチ(0.46メートル)、最上段が52インチ(1.32メートル)となっている。 ロープの本数について以前は3本であったが、選手が落下して死傷するなどの事故を防止するため、4本に変更された。 ロープを固定する金具(ターンバックル)が露出していると危険なため、リングの角にはコーナーマットと呼ばれるパッドをあてがうこととなっている。 通例はランキング上位の選手が位置する角を赤コーナー、その対角にある下位の選手が位置する角を青コーナーとし、残る角は中立のニュートラルコーナーと称する。 また、リング上でロープの外側に当たる縁の部分を特にエプロンと呼称し、幅は2フィート(0.61メートル)と定められている。
[編集] プロレスのリング
プロレスにおいては1870年代にジム・オーエンズ(Jim Owens)がキャンバス・マットとした。1901年にサンフラシンスコでプロモーターが1辺18フィート(5.48m)四方のキャンバスマットを考案した。他の地域には1930年代に広まった。かつてボクシングの前座として興行が行われていたことから、ボクシング同様のリングが使用されている。 しかしながらプロレスのリングにおいては、ロープの本数は現在でも3本が主流である。 プロレスではタッグマッチや場外乱闘があるために、選手が試合中もリングを出入りすることが頻繁にあり、補助無しで出入りしやすい方がむしろ好ましいことと、ジャイアント馬場の「16文キック」に代表されるようなロープを利用した技が多数あり、ロープ本数が増えると間隔が狭くなって使いにくくなる技が存在するためである。例えば、ロープの間を抜けて場外の選手に飛び込み頭突きをする「トペ・スイシーダ」や、ロープの間をくるりと回転してロープ際の選手にキックする「619(シックス・ワン・ナイン)」等がその典型例である。 日本ではリングロープとして、ワイヤーロープにゴムのカバーをかぶせたものを使用しているが、海外では綿や麻のロープを使用している場合も多い。 試合形式によってはロープを外したり、ロープの代わりに有刺鉄線を使用したりする場合もある。 事前にリングの大きさやロープの張りを良く確認しておかないと、試合中にアクシデントが起きるおそれが大きい。
日本のプロレスのリングは一辺6.0から6.4メートルのサイズが主流となっており、一辺5.5メートル前後が主流の欧米より若干大きいものが使われている。ただしDRAGON GATEのように、会場のサイズによってリングの大きさを変える団体も存在する。女子団体では、一辺5.5メートルのリングが主に使用されている。
床は木の板(4~5cmの厚み)で、その上にゴムシート(2cmの厚み)、さらにその上にフェルト(2cmの厚み)などを敷き最後にキャンバスを敷いている。一部インディー系団体の場合、キャンバスの下に体操用のマットを敷いてこれらの代用としている場合もある。さらに土台の骨組みをサスペンション構造とし、スプリングを利かせて反発を大きくしている団体もある。これらの組み合わせによって、豪快な投げ技で大怪我をしないようにしている。アメリカのROHでは、まるでトランポリンのようにリングの床面が振動で上下する。逆にヨーロッパやメキシコでは、サスペンション構造になっていないことが多い上に、クッションも薄いとされる。異種格闘技戦など特殊な事情がある時には板の上に直接キャンバスを貼ることがあり、このような硬いマットでは投げ技に対して受身を充分にとらないと非常に危険である。
リングを保有しない団体のために、リングの貸出および設営に関する業務を請け負う、「リング屋」と呼ばれる企業がある。プロレス用リング業の大手として、リングスタッフ、ジャッジサポートがある。
[編集] 変形リング
通常の四角いリングの他に、六角形のリングが古くからメキシコで使われている。日本国内の興行で使用された例としては、2000年から2002年にかけて、闘龍門2000プロジェクト(T2P)の興行で使用されたものがある。六角形である以外は通常のプロレス用リングと特に変わる点はないが、その形状ゆえに3ウェイ戦に適しているという利点もある。2006年の時点では、メキシコのルチャリブレ団体AAA、アメリカのTNAがビッグマッチで六角形リングを使用している。
- また、異種格闘技戦でリングロープを撤去し、リングの周囲に継ぎ足しをして円形とした例も存在する。
[編集] 修斗のリング
佐山聡(初代タイガーマスク)が総合格闘技「シューティング」(現・修斗)を考案した際、プロレスとの差別化のためにロープの代わりに鎖を張った八角形のリングを公開している。この八角形リングは、後にUFCのオクタゴン・ケージ(金網に囲まれた八角形の試合場)に影響を与えたとされる。
しかし、プロ修斗公式ルールにおいては、ボクシングと同等のリングが採用されている。違いとしては、プロレスのリング程ではないが投げ技での大怪我防止のために薄い反発マットが敷いてある。
[編集] その他のリング
ムエタイ、キックボクシング、K-1などの打撃系格闘技や、PRIDEなど一部の総合格闘技でも、ボクシングと同等のリングを使用しているが、団体によって、ロープの数やマットの硬さ、大きさに違いがある。 K-1では一辺約7.2メートルと、ボクシングの規定上限に近い大きなリングを採用している。
[編集] 関連項目
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