リチウムイオン二次電池
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リチウムイオン二次電池とは、電解質イオンとしてリチウムを用い、かつ金属状のリチウムを電池内に含まない二次電池の総称であり、通称としては、リチウムイオン電池やリチウムイオンバッテリーなどが用いられる。
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[編集] 歴史
1960年代には既にリチウムを電池に適用するアイデアはあったが、1980年のグッドイナフ (J.B.Goodenough) らによるリチウム遷移金属酸化物正極の提案により現実味を増した。負極活物質として金属リチウムを用いた金属リチウム二次電池が1980年代に実用化されたが、金属リチウムの可逆性や反応性に問題があったためNTTのショルダー型携帯電話などで発火事故が相次ぎ、広く用いられることはなかった。
このため金属リチウムを代替する材料の探索が進められたが、負極にグラファイトと電解質溶媒として炭酸エチレンを用いた組み合わせにより、より安全でかつ金属リチウムを用いた電池に近い電圧を得られる電池が得られることがわかった。これらの材料により、現在のリチウムイオン二次電池の構成がほぼ完成し、1990年代になりソニー、旭化成などにより実用化されることとなった。
1998年頃より、電解質にゲル状のポリマーを用いるリチウムイオンポリマー電池が市場に登場する。最初はポリマー電池開発メーカー・ベルコアの特許を購入して多くの会社が研究に参入したが、一社としてベルコアタイプのポリマーを実用化した会社は無いと思われる。外装は、従来の鉄やアルミの缶ではなくレトルト食品のパッケージに使用されるアルミラミネートフィルムを使用することを特徴とし、三洋を始めとする各社から発表発売されている。万が一の事故時の反応が穏やかであるため、最近はPHEV自動車用バッテリーとして注目されている。自動車用リチウムイオン電池は電池メーカーの他に、デンソー、ホンダなどでも研究されている。
現在、リチウムイオン電池は日本メーカーのシェアが高く、三洋電機、ソニー、松下電器などが主なメーカーとして知られている。一方、韓国(三星SDI、LG)、中国 (BYD)、台湾なども次第に生産量を増やしてきている。
[編集] 特徴
[編集] 利点と問題点
通常は非水系の電解液を使用するため、水の電気分解電圧を超える高い電圧が得られる。またエネルギー密度が高い。このような特徴からノートパソコンなど携帯型情報機器に多く使用されている(いわゆるメモリー効果現象が小さい事も、携帯電話等の継ぎ足し充電をする機器に有利な点である)。リチウムイオン二次電池の最大の功績は金属リチウム二次電池で問題になったデンドライト問題(充放電の繰り返しに伴い電極にデンドライト状(樹枝状晶)リチウムが析出、電極を短絡させる)をほぼ完全に解決した事にある。
それに対し、最大の問題点は常用領域と危険領域の差が非常に接近しており、安全性確保のため保護機構の追加を施さなければならない点にある。電池は必ず安全機構を内蔵した電池パックとして供給され、単電池は市販されていない。これは、単電池の状態で過充電すると充電後に爆発・発火する危険性があるためである。しかし、必ずしも入手できない訳ではなく、電子部品専門店などでは一般向けに単電池を販売している。当然使用の際は保護回路を組む必要がある。単電池を電源に直接接続して充電するような事は避けるべきである。
こうした性質は、リチウムイオン電池の電圧と正極・負極材料の安定性に起因するものである。充電時に電圧が上昇する際に、正極および負極が極めて強い酸化状態・還元状態に置かれ、材料が他の低電圧の電池に比べて不安定化しやすいためである。このため、充電においては極めて高い精度での電圧制御が必要とされる(数十mVのレベルで充電電圧監視を行う必要がある)。過度に充電すると、正極側では電解液の酸化、結晶構造の破壊による発熱といった現象が起こり、一方負極側では、金属リチウムの析出が起こる。このため、過充電は電池を急激に劣化させ、最悪の場合は破裂・発火の危険もある。
さらに加えて、過放電もリチウムイオン二次電池においては危険である(後述)。
すなわちリチウムイオン二次電池はその性質から
- 単電池単位での保護回路
- 過充電時に電解液溶媒が分解しガスが発生するなどの危険性への配慮
- 過大電流の放電を防止するためPTC素子などの電流抑制手段
などが必須である。
日本国内で正規に市販されているリチウムイオン二次電池のほとんどは、電池パックとしてもシステムとしても安全性を考慮した設計がなされており、ほぼ安心して使用できるものと考えられる。しかし、中国などで模造されたリチウムイオン電池パックが原因で、携帯電話が爆発し火災や傷害に至った例が多く報告されている(テレビ番組でも取り上げられた)。同様に、よほど電子回路等に習熟していない限りユーザーが電池パックを分解して単電池にアクセスし交換することは安全性に著しい問題があり、非常に危険である。
[編集] 構造
代表的な構成としては負極に炭素、正極にコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物、電解質に炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒+六フッ化リン酸リチウムといったリチウム塩を使った物が挙げられるが、負極、正極、電解質それぞれの材料は、リチウムイオンを移動し、かつ電荷の授受により充放電可能であればよいので、非常に多くの構成をとりうる電池である。リチウム塩にはLiPF6の他、LiBF4などのフッ素系錯塩、LiN(SO2Rf)2・LiC(SO2Rf)3、ただしRf=CF3,C2F5、などの塩も用いられる。また、通常、電解液は高い導電率と安全性を確保するため、炭酸エチレン・炭酸プロピレンなどの環状炭酸エステル系高誘電率・高沸点溶媒に低粘性率溶媒である炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の低級鎖状炭酸エステルを用い、一部低級脂肪酸エステルを用いる場合もある。
[編集] 基本構造と概略製造プロセス
正極電極は、アルミニウム箔の両面にコバルト酸リチウムなどの活物質を溶剤で溶いて塗布後、乾燥・プレスして密度を上げ製作する。負極電極も銅箔に正極同様炭素材料などを溶媒で溶いて塗布後、乾燥・プレスして密度を上げ製作する。電極箔の製造流れ方向に対して電極材料は連続塗布ではなく未塗布部と塗布部を交互に繰り返す間欠塗布となっている。この後電極は製作する電池サイズに合わせて裁断(スリット)され、更に未塗布部で短冊状にカットされる。未塗布部には電気を出し入れする接続端子(タブ)を溶接する。正極にはアルミタブ、負極にはニッケルタブが用いられる。負極と正極の間にはイオンが移動できる多孔質の絶縁フィルムを入れて円筒形の場合はバームクーヘンの様な円筒状に、角型の場合は扁平形状に巻取りを行う。巻き取り後、円筒形の場合、ニッケルメッキされた鉄製の円筒缶に入れ負極タブを缶底に溶接、電解液を注入後、蓋(トップキャップ)を正極タブに溶接し封口する。アルミ外装缶の角型電池の場合は円筒型の場合と逆に缶と正極タブが溶接される。円筒形の場合、プレス機で食品缶詰缶の様に封口するが、角型の場合レーザー溶接で封口する。電池組み立て完成後、活性化工程で充電することにより電池を活性化させ、充電・放電・室温放置エージング・高温放置エージング等を何度か繰り返し、電池選別のスクリーニングを行い出荷に至る。
[編集] 負極材料の違い
ソニーが1990年ごろよりリチウムイオン二次電池の商業生産を開始した当初、負極材料にはグラファイトではなく、グラファイト結晶構造が発達しにくい高分子を焼成して得られるハードカーボンが用いられた。
グラファイトとハードカーボンの放電特性は、グラファイトが放電初期から放電末期までほぼなだらかな平坦に近い電圧での放電をし、放電末期に急激に電圧を降下させるのに対し、ハードカーボンの場合は放電終了電圧まで均一に電圧が降下していくという異なる特徴を持つ。
このためハードカーボンでは電圧を測定することにより電池の容量を直接・正確に知ることができるが、電池電圧が安定しない欠点を持つ。これに対し、グラファイトでは電圧変化が少ないため電池電圧から電池の容量を知ることは難しいが、放電末期まで比較的安定して高い電圧を保つ事が可能となる。
ハードカーボンを使うものは1000回を越すサイクル特性を持つなど優れた点があるものの、そのままでは均一な電圧が得られないため、低電圧領域ではDC-DCコンバーターなどで昇圧する必要がある。そのため周辺回路が高価となってしまい、現在ではハードカーボン系の電池は一部のプロ用の機器だけに用いられているのみとなっている。
また、グラファイト、ハードカーボンに代わる次世代の材料として、スズ、ケイ素材料が実用化され始めている。スズやケイ素はリチウムとの合金化反応により、グラファイトの数倍から数十倍の容量を示すことが知られていたが、体積変化が激しく寿命を延ばすことが困難であった。現在は、炭素材料などとの複合化により容量と寿命の両立を行っている。
[編集] 安全対策
リチウムイオン電池はイオンという形でより安全にエネルギーを蓄積・取り出しできるように設計されているが、過充電で負極側(アノード)に金属リチウムが析出したり、正極の酸化状態が高まって危険な状態になる事がある。また、過放電で正極(カソード)のコバルトが溶出したり、負極(アノード)の集電体の銅が溶出してしまうと二次電池として機能しなくなる。また、缶に外力を加えたり、折り曲げたりした場合電池内部で短絡(ショート)が起こり、温度の急上昇から、電解液に含まれる有機溶剤が揮発し、「発火事故」を起こす恐れがある。それらの危険を回避するために、リチウムイオン電池には様々な安全対策が施されている。
充電電圧の過充電制御は充電器及び電池パックに内蔵されている制御回路により管理されている。また、過放電に対しては電池パック内の制御回路により過放電により電池を傷めないように出力が遮断される。
電池の変形に伴う内部短絡などによる温度上昇、内圧上昇に対してはトップカバー(正極の凸部)内に、ガス圧上昇で電流を遮断しガスを外部に放出する、電流遮断機能付き安全弁を内蔵することにより対処している(ただし電池の缶が円筒形の場合。角型の場合は電流の遮断はされず、圧力の開放のみ)。また、円筒形トップカバーには、温度上昇により内部抵抗が増大するPTC素子が内蔵されており、温度上昇が起こった際にはこれが電流を電気的に遮断する構造になっている。
その他に、
- 電池素子の中心にステンレス製のピンを入れて缶の折り曲げに対する強度を高める
- 電極のタブその物やタブ取り付け部に絶縁テープを貼りタブのエッジからの内部短絡を防止する
- 電極の巻き始め・巻き終り部全体に絶縁テープを貼りデンドライトの発生を抑制する
などの様々な方法を用いてメーカーは安全性の確保に努めている。
これらの安全対策は特許広報などにより知ることができる。ポリマー電池に関しては、事故の際にもその反応が比較的穏やかであるため、タブエッジやデンドライトなどによる内部短絡防止対策が中心になっている。
※デンドライト形成には、リチウム金属だけでなく、アルミ箔などに含まれる不純物の亜鉛などの析出が原因となることもある。
[編集] 安全性
近年、本件に注目される契機となった事象として、2006年、米デル社や米アップル社、米IBM/レノボ社が発売したノートパソコンに使われていたソニーエナジー・デバイス[1]製電池の製造過程の問題により、発火、もしくは異常過熱の恐れがある(発火事故が実際に数件発生している)として、約590万台の製品がリコール(自主回収、無償交換)対象となる騒ぎがあった。
SED側の発表では、発火事故の原因は、缶のロール成型工程で、缶と治具の摩擦により発生した、ニッケルの微細な金属粉がセル内部に飛散したためで、通常、缶の底部に金属粉が残留した場合、その場所が底面半径の中ほど(正極内周部)であれば、電池の性能が出ないだけの、単なる不良品となるが、今回はさらに、電解液を注入した際、その金属粉が流動して絶縁部(外周部)まで到達し、ニッケル粉が絶縁層を透過し、負極側で再結晶したため短絡が発生したもの、とされている。
元来、リチウムイオン電池は、水溶性電解液を使用するニッケルカドミウムやニッケル水素などの充電池と異なり、有機溶剤を使用しているため、高温で発火する危険性がある。
新聞報道によると、問題となったデルとアップルのノートPCでは、日本のノートPCでは採用していない急速充電システムを採用し、短時間充電が出来るようになっている。SEDは微小金属粉の混入と急速充電システムとの組み合わせによりまれに発熱・発火が発生する場合があると主張し、上記二社以外の電池については、きちんとした充放電管理が行われていれば問題はなく、回収の必要はないとした。
2006年8月27日現在、レノボ、HP、ゲートウェイ、エイサー、他日本のノートPCメーカがソニー製電池を回収するという報道は無い。
しかし、8月23日、ソニー製ノートパソコンVAIOが爆発炎上する事故が発生した。この発火原因は不明だが、矢先の事故だけに、SED製リチウムイオン電池に対する消費者の不安、不信を増大することとなった。その後、9月29日付け発表で、SEDは消費者の不安払拭のため、該当電池の全数回収を決め、各PCメーカと回収方法の調整に入った。また、一部PCメーカ(東芝[2]、富士通[3]、日立[4])では既に自主回収を始めている。更に10月中旬、シャープ[5]やソニー[6]自身での回収が発表された。
しかしながらSEDは、デルやアップルの特殊な充電回路と回収対象となった電池の組み合わせにより、まれに問題が発生するという主張[7]を再度行い[8]、従来からの問題発生に関する見解を変更してはいない。
レノボが「ノートブック PC のバッテリー・パックの安全性に関して[9]」という発表を行った後の9月16日、IBM/レノボ製ThinkPadがロサンゼルス国際空港で発火事故を起こたことで、上記の主張の他の潜在性も指摘されている。発火事故を起こしたThinkPadの原因調査が長引いたことで、他社ユーザーの間にも不安が拡大した。さらに東芝など数社が、自社製バッテリーにおいても同様の発火事例があったことを発表し、SED製バッテリーと共に大規模なリコールを行っている。レノボとSEDは現在調査中である事を9月22日表明し、9月29日に自主回収を発表した。[10]
ThinkPadは電池パックの構造や電圧・電流安定回路など、多重の安全対策が施されており、それにもかかわらずの事故であったため、ソニーは方針を改め、10月24日、SED製リチウムイオン電池セルを使う、全メーカー・ベンダーのバッテリーの自主回収を正式に発表した。[11]
交換対象となっているのは、2003年8月から2006年2月までに製造された、2.4Ahと2.6Ahの2種のSED製リチウムイオン電池セルを用いたノートPC用電池パックとアナウスされている。 デル、アップル、レノボを含めた回収と交換の対象個数は、当初約960万個、費用は、約510億円にのぼる見込みで、2005年に行われたSONY製CCD不具合問題におけるリコールに並ぶ、大規模なものとなった。
ただし、後にHPをはじめ数社が「安全性の確認がとれた」として、リコールを中止している為、実際の回収・交換の対象数は600万強に留まっている。
なお米CPSC(消費者製品安全委員会)によると、2001年以降に発生した38件のリチウムイオンバッテリの異常加熱/発火事件のうち、ソニーまたはソニー製バッテリが関連した事例は9件、うち3件は実際にソニー製バッテリが原因と特定されている。
また、2006年8月現在、朝日新聞報道によると時期を同じくしてNTTドコモの携帯電話に採用されている電池パックが膨れて、ひどい物では電話機本体に装着できないほど変形するという報告も12機種の携帯電話で発生している。交換対象は数百万台から1000万台と膨大である。新聞報道ではNTTは不具合ではなく、アフターサービスによる交換対象と非常に苦しい言い回しの発表を行っている。これらの電池の大半は、三洋電機および三洋GSソフトエナジー製のものであり、充電電圧を従来の4.2Vから4.3~4.4Vへと高くすることで高容量化を行っていたが、膨れの原因となるガスが発生しやすく従来の電池と比較して寿命が短い、また充電時に電池が高温になりやけどするなどのクレームがあった。NTTドコモは、今後充電電圧を4.3V以上とした電池を採用しないよう、携帯電話メーカーに働きかけている。実際2006年11月に発売された903iシリーズでは、一部の機種で充電電圧が4.2Vに戻されているが、これにより902iSの電池と比較してエネルギー密度は減少し、電池重量および携帯電話本体の重量の増加につながっている。
一方、今回の騒動との関連は不明であるが、同電池を大量にNTTドコモの携帯電話向けに供給する三洋電機は機密保持及び品質・安全性を維持するため同電池セル及び電池パックのの工場を海外も含め国内の洲本市/松茂町(モバイルエナジーカンパニー)・南あわじ市(三洋エナジー南淡)・淡路市(三洋エナジーロジスティクス)・高崎市/貝塚市(三洋エナジートワイセル)・京都市(三洋ジーエスソフトエナジー)・岩美町(三洋エナジー鳥取)のみに集約する動きを始めた。なお、三洋電機も古くからの取引先であるNEC等、ノートパソコン用リチウムイオンバッテリを供給している。
更に2006年12月8日付け朝日新聞報道によると、同7日NTTドコモは、三洋電機製バッテリーパック(三洋ジーエスソフトエナジー製)を使用する三菱電機製携帯電話端末(FOMA D903i及びD902i)の販売を中止し、既に販売された130万台を回収すると発表した。新聞掲載の記事・図解によれば負極電極(-電位)終端の銅箔部が、製造装置の欠陥により折れ曲がり、充電による膨張、更に電池パック外部から加わる衝撃、外力、変形等により絶縁膜のセパレータを突き破り、電池外装缶(+電位)との間で短絡を起こし過熱・発火、場合により破裂に至ると説明されている。利用者の火傷、じゅうたん・衣類の焼損など2005年11月の発売から2006年5月までに11件の事故が報告され、2006年8月以降も18件の異常加熱、破裂の事故報告があった。メーカーは不具合に気づき、2006年5月に問題の製造装置の改修と電池内部を二重絶縁にする対策を講じたが、個別に要求のあった顧客の電池交換に応じたのみで問題の公表や回収を行わなかった。
ソニーのPCバッテリー問題での異常発生率は1-2ppm程度と考えられるが、本事故の三菱・三洋電機における異常発生率は20ppmを超える異常な高率のトラブル発生となった段階で、漸く回収が行われることになった。しかしながら根本原因は2006年8月に新聞報道があった異常膨張トラブルが原因の一つになっていると考えられる。電池の膨れ(膨張)そのものが品質異常と考えられるが、2006年5月の製造装置の改修以降、この異常な膨れに対する基本的な対策が講じられなかったため今回の問題発生・拡大につながったと推定される。(2006年12月8日付けの朝日新聞には風船のように膨れた電池パックの写真が掲載されている。[12])また、携帯を誤って床の上などに落とすと言うことは良くあることだが、本件の問題発生確認のシミュレーション時に外部から加わる衝撃・変形・応力を想定していなかった為、回収の判断に至らなかった、と言う信じられないお粗末な発表を行っている。同12月9日の朝日新聞では本事故の発生・報道にかかわる三洋電機の縦割り組織の弊害も指摘されており、事業再編中でバッテリービジネスを中核事業に位置づける三洋電機、FA機器が好調だが今期赤字が見込まれる三菱電機に大きなダメージを与えそうだ。
[編集] 新しい取り組み
リチウムイオン二次電池の自己放電特性(充電エネルギーの保持特性)はニカド電池やニッケル水素電池より格段によく、保存特性(保存状態での性能保持特性)は同電池に劣る。また、満充電状態で保存すると電池は急激に劣化する。
最近ではこの電池の過充電特性の悪さを改良したリチウムイオンポリマー二次電池が開発され、一部では実用化されている。 また、新たな取り組みとして、電極材料として LiNiO2, LiMn2O4 を用いるものなども研究されている。電解液には非プロトン性極性溶媒にリチウム塩を溶解した液を用いる。
まだアイデアの域を出ないものの「カルシウムイオン電池」というのも研究されている(一般乗用車に搭載されているカルシウム電極電池、通称「MFバッテリー」とは異なる)。この電池は電池の電圧がリチウムイオン電池よりやや落ちる(理論電圧フル充電3.5V程度)が、リチウムイオン1molを両極間でやりとりするのに対してカルシウムイオン1molを両極間でやりとりする場合、2倍の電流密度が得られる(2価のため)という強みがある。電解液には Ca(ClO4)2、Ca2[Fe(CN)6] などを非プロトン極性溶媒に溶解した液を用いる。電極材料としてはCaMn2O4/MoS2系が有望視されている。そのほか、マグネシウムやナトリウムを使うアイデアもある。