モル
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モル(mole) | |
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記号 | mol |
系 | 国際単位系(基本単位) |
量 | 物質量 |
定義 | 0.012キログラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい数の要素粒子又は要素粒子の集合体(組成が明確にされたものに限る)で構成された系の物質量 |
モル(mole, 記号:mol) は国際単位系(SI)における物質量の単位である。SI基本単位の一つである。
現在の1モルの定義は以下の通りである。
- モルは、0.012キログラム(12グラム)の炭素12の中に存在する原子の数と等しい構成要素を含む系の物質量である。(炭素スケールとよび、過去の酸素基準と分けて呼ぶこともある)
- モルを用いるとき、要素粒子を指定する必要があるが、それは原子、分子、イオン、電子その他の粒子、またはこれらの粒子の集合体であって良い。
1980年に国際度量衡委員会(CIPM)により以下の補則が加えられている。これはモルの定義の一部である。
- この定義の中で、炭素12は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。
化合物分子を構成する成分元素の数の比は整数比をとるので、化学反応を調べる場合、原子の数を調べるのが望ましいが、実際人間の尺度では、数えることができないので、ある原子量の元素の比較的精度よく測定できる大きさの質量の物質量を、物質量の単位とする。
1モルに含まれる構成要素の数をアボガドロ定数という。
[編集] 歴史
モルは本来は、全ての物質は分子よりできているとの考えの元に、その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量を1モルと定義した。例えば酸素分子の分子量は32なので、1モルの酸素分子は32グラムとなる。物質量という概念は19世紀の近代化学発祥のころから使われているものであり、この単位は当初はグラム原子・グラム分子などと呼ばれていた。
しかし、イオン結合や金属結合には分子と呼べるものがないことがわかり、共有結合の場合でも単純な分子が存在しないものがあることもわかってきた。そこで、物質を表す化学式で示される元素の原子量の和を化学式量と呼び、それにグラムをつけた質量に含まれる物質量を1モルと定義することとした。これにより、1モルの塩化ナトリウムは58.5グラム、鉄は58.8グラムと表せるようになった。
1モルに含まれる要素粒子の数は、要素粒子の種類にかかわらず一定(約6.023×1023個=アボガドロ数)である。また、1モルの理想気体は、標準状態では同じ体積(22.413 83 L(リットル))を占める。このように、モルは化学の分野では基本となる重要な単位である。
第二次大戦後、原子の中には質量数の異なる数種の原子(同位体)があることがわかってきた。長年、モルの定義には酸素分子を使用し、酸素分子32グラムを1モルとしてきたが、酸素原子には天然のものでも質量数16のほか17、18のものがあることがわかった。すなわち、それまでは質量数16、17、18の酸素原子が混ざった状態のものでモルを定義していたことになる。それがわかってから、物理学の分野では質量数16の酸素だけを分離して(完全に分離するのは困難なので、分離できたと仮想して)、質量数16の酸素による酸素分子32グラムの物質量を1モルと再定義した。しかし、化学者たちはそれまで通りのモルの定義を使い続けた。物理学と化学とで異なるモルを使い続けるのは不都合があるため、1960年に国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)と国際純正・応用化学連合(IUPAC)が協議して、共通的に炭素12に原子量12の値を与えることとした。ここから、1モルは12グラムの炭素12の物質量という現在の定義が導き出せる。炭素12が選ばれたのは、これが天然の炭素の大部分を占めているためである。
モルをSI基本単位とすることおよびその定義は、1971年の国際度量衡総会(CGPM)で採択された。
モルを基本単位とすることについては、特に物理学者の間で異論があった。物質量は、その定義から明らかに分離量(個数)である。「要素粒子6.023×1023個を1モルとする」というのは、「12個を1ダースとする」というのと本質的には変わらない。また、物質量は質量に比例するものであり、質量であるならキログラムで表すべき、もしくは、(キログラム/キログラム)で次元1の組立単位とすべきという主張もある。しかし、モルは化学の分野では基本となる重要な単位であり、結局7つ目のSI基本単位となった。モルが基本単位となったことによって、数でしかなかったアボガドロ数が(mol-1)のSI単位を持つことになり、アボガドロ定数と呼ばれることとなった。
[編集] 関連項目
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