メタン
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メタン | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | カルバン(系統名) メタン(慣用名) |
別名 | 沼気(しょうき) |
分子式 | CH4 |
分子量 | 16.04 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 常温で無色透明の気体 |
CAS登録番号 | 74-82-8 |
SMILES | C |
性質 | |
密度と相 | 0.42 g/cm3, 液体 (−162 ℃) |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | 3.3 mL/100 mL (20℃) |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
融点 | −183 ℃ |
沸点 | −162 ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 | 国際化学物質安全性カード NIST webbook |
メタン (methane) は最も単純な構造の炭化水素で、1個の炭素原子に4個の水素原子が結合した分子である。化学式は CH4。和名は沼気(しょうき)。分子は炭素が中心に位置する正四面体構造をとる。CAS登録番号は74-82-8。IUPAC命名法ではメタンは慣用名であり、系統名はカルバン (carbane) である。
目次 |
[編集] 性質
常温、常圧で無色、無臭の気体。人に対する毒性はない。融点は −183 ℃、沸点は −162 ℃。空気に対する比重は 0.555。
ハロゲン元素と光などの刺激下(励起)で反応し、水素原子がハロゲン原子に置換される。この反応は激しい発熱反応である。例えば塩素との混合気体を常温中で直射日光に曝すだけで発火する。
メタンは強力な温室効果ガスでもあり、同量の二酸化炭素の21倍の温室効果をもたらすと言われている。
[編集] 資源
油田やガス田で採掘される天然ガスの主成分。天然ガスは、エネルギー源として燃料などに利用される。
また、メタン産生菌の活動などにより放出されるため自然界に広く存在し、特に沼地などに多く存在する。和名の沼気はこれが語源である。大気中には平均 0.00022% 含有されている。これらの菌を用いて生ごみを発酵させてメタンを得て資源として利用することも実用化されつつある。
近年、深海底や地上永久凍土にメタンハイドレートという形で多量に存在することがわかり、新エネルギーとして注目されている。
[編集] 製法
メタンは天然ガスから得られるほか、一酸化炭素と水素を反応させることで工業的に大量に生産されている為(記事 C1化学に詳しい)、実験室においてもガスボンベで供給されることが普通であるが、実験室で発生させる方法がいくつか知られている。
- 炭化アルミニウムに室温で水を反応させる。
- 酢酸塩を強塩基の存在下に強熱して脱炭酸させる。
[編集] 用途
大きな用途の1つは燃料用のガスとしてであり都市ガスなどに使用されている。もう一つはC1化学プロセスに使用する原料としてである。また、メタンは高温の水蒸気との反応で一酸化炭素と水素の混合気(合成ガス)を生じ、この混合気そのもの、あるいは単離した一酸化炭素や水素を各種化学プロセスの原料として使用する。
[編集] 置換基
メタンが置換基となる場合、メチル基(1価)、メチレン基(2価)、メチン基(3価)と呼ばれる。
- メチル基 (methyl group)
- メタンから水素が1個取れたアルキル基がメチル基 (CH3−) である。
- メチレン基 (methylene group)
- メタンから水素が2個取れたアルキル基がメチレン基 (−CH2−) である。
- 原子価の相手は同一原子でも(X=CH2 のような構造)、異なっていても(X−CH2−Y のような構造)良い。
- メチン基 (methine group)
- メタンから水素が3個取れたアルキル基がメチン基 (−CH<) である。
- ただし原子価の相手が同一原子である HC≡X のような構造を持つ場合には、メチリジン基 (methylidyne group) と呼ばれる。
[編集] C1化学
炭素数1の化合物には化学工業において原料として重要な化合物が多く存在する。これらの多くがメタンから直接誘導される。これらの工業的な合成法については C1化学に詳しい。
以下に代表的なものを挙げる。