ミシン
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ミシン
- 裁縫するときに使う機械。本稿で後述。
- 1.の縫い目より)紙などに切り取りできるように破線状に孔があいているもの。ミシン目。
ミシンは、布、皮、紙、ビニールなどを接合するのに使われる機械。日本語の語源は、英語のsewing machine(ソーイング・マシン)の、「マシン」がなまったものといわれる。また、昔は、裁縫ミシンとも呼ばれており、時を経る中で略されて、ミシンと呼ばれるようになったと思われる。種類は多く、畳を縫うミシン、しるし付け用ミシン、縫い糸を使用せずに高熱で溶接する高周波ミシンなど、多種多様となっている。
動力源としては、昔は足踏み式ミシンや手回し式ミシンが主流であったが、最近製造されるものは電気が動力源となっているミシンが主流となっている。足踏み式ミシンとは、電動フットペダルで操作するミシンを指す言葉ではなく、踏板、ピットマン棒、ピットマンクランクなどにより、上下反復運動を回転運動へと変換する仕組みを動力源として持つミシンを指す。一般に、電気で動くミシンは、電動ミシン、電子速度制御ミシン、電子ミシン、コンピューターミシンなどに大別されている。その他にも、ハンドミシンといわれるホッチキスのような形をした小型のミシンも存在する。
先進国において使用されなくなった足踏み式のミシンが発展途上国にNGOによって無償で譲渡されている。
目次 |
[編集] 原理
糸の動き ミシンの構造 |
針周辺のクローズアップ |
通常の家庭用ミシン(本縫い&下送り)の場合、布の上から、穴のあいたミシン針の穴に通された糸(上糸)が、針ごと布を貫通する。布の下には別に下糸があり、貫通した際に2つの糸を交差させ、縫い目をつくる。ミシン針が上に戻った際に、布をわずかにずらし、再び布に針を刺す。この動作を機械により連続的に行うことにより、縫い目が作成される。各部品には釜、天秤、送り歯、など独特の名前が付けられている。
[編集] 歴史
1589年、イギリスで、ウイリアム・リーが編み機を発明する。
1755年、イギリスのワイゼンソール(Charles Weisenthal)が、1790年、同じくイギリスのトーマス・セント(Thomas Saint)がそれぞれ別の仕組みのミシンを発明。ただし、どちらも量産はされなかった。
この後、フランスのティモニエ(Barthelemy Thimonnier)が1830年に特許をとったミシンが、軍服を縫う目的で1840年に80台生産されたが、失業を恐れた他の仕立て屋によって破壊されたという有名なエピソードが伝わっている。
アメリカ人のハント(Walter Hunt)は、現在のミシンとほぼ同じ構造の、ミシン針の先端に穴があいていてそこに上糸を通すしくみのミシンを1830年代はじめに発明したが、特許をとらなかったため、この後、複数の業者による特許紛争の原因になった。ハントとほぼ同じ構造のものが、ハントの発明の後に同じアメリカのハウ(Elias Howe)によって特許がとられている。
1850年、シンガー(Isaac Merrit Singer)は現在とほぼ同じ構造のミシンを発明。翌年特許をとり、I. M. シンガー社(のちのシンガー社)をつくった。
[編集] 日本のミシン
1854年にペリーが2度目の来航をしたときに、将軍家にミシンを送った、というものがもっとも古い記録である。この後、1860年にはジョン万次郎がアメリカからミシンを持ち帰っている。
ミシンが普及をはじめるのは明治期になってからである。初期は輸入のみで、修理などを通じて技術を取得した技術者によって、徐々に国内生産が開始された。最初の製造業者は、江戸時代までは大砲職人であった左口鉄造であるとされる。
日本のミシン製造の量産は、1921年に創業したパイン裁縫機械製作所(現在の蛇の目ミシン工業)によってはじめられた。このころ(大正時代)から、日本でもミシンの量産がはじまった。ただし、量・質ともに、シンガーなどの輸入品にはかなわなかった。第二次世界大戦が始まると、家庭用ミシンの製造は禁止され、戦時中、ミシンは軍用ミシンのみ製作されることになる。
1945年に終戦を迎えると、ミシンの需要が飛躍的に増大した。これは、繊維製品が日本の主な輸出品になったことが大きい。1947年、家庭用ミシンの規格が統一され、1948年から規格に基づいた製品の出荷が始まった。また、国内販売分だけでなく、ミシンそのものも重要な日本の輸出品となった。ミシンは工業用のほか、家庭用が多く作られた。当時、日本の女性は、結婚後は家庭外で労働しなかったため、内職に使用でき、副収入を得やすいミシンが嫁入り道具として多く使われたことも大きい。ただし、家庭用ミシンの国内ミシンメーカーの工場が1970年あたりを境として中国や台湾などに移転し始め、現在は高級機種等を除き、国内では家庭用ミシンは殆ど製造されていない。さらに、近年、工業用ミシンも低コスト化のために海外製造にシフトし始め減少傾向にあるが、ミシンは精密機械であるため、高精度の金属加工技術が要求され、部品の多くは依然日本で製造されている面もある。
[編集] ミシンの種類
[編集] 家庭用ミシン
家庭の部屋に置ける大きさで、現代のものは通常、電気を動力源としている。古くは足踏み式や手回し式のものが多く使われ、直線縫いしか出来なかった。動作はそれほど速くないが、単純な直線縫いのほかにも、高級な機種ではマイコンを内蔵して、刺繍やボタンかがり、ジグザグ縫いなどのできる機能もある(かつては各種のカムを装着して動作モードを切り替えていたカム交換式。次にカム内蔵式が登場し、さらにコンピュータミシンが登場)。最近のものは、一般に持ち運びでき、水平釜で自動糸調子や自動糸切り機能を搭載しているものも多く、使い勝手を中心に改良されている。しかし、使い勝手・機能面を優先しすぎた結果、退化してしまった面もある。例えば、耐用年数の減少・複雑化多様化によるメンテナンスや整備の困難さ・直線縫いのほかにもジグザグや刺繍縫いにも対応しなくてはならない為の中途半端な構造など。
[編集] 工業用ミシン(産業用ミシン)
多くは縫製(アパレル)工場などに備え付けられており、大型で重いために移動はきわめて困難である。各縫製工程を綺麗に便利に高速に縫うことが出来るように特化しているために、1台でただ1種類の動作しか行うことができない。高速対応性は、針熱対策や自動給油システムや太い軸径、適した釜方式等の多く要素によって支えられている。また、低速な工業用ミシンもある。工業用ミシンの具体的な種類には、直線縫い専用ミシン、ボタンつけ専用ミシン、刺繍専用ミシンなどがある。
[編集] 職業用ミシン
仕立て屋やミシンの使用頻度の高い個人向けのミシン。工業用ほどは巨大ではなく、特にポータブル型職業用ミシンは持ち運びも可能。家庭用よりやや速い運転速度に対応でき、一般に1台で1種類の動作しか行えないので、構造が比較的簡単でその分故障も発生しにくい。工業用ミシンほどではないが、各種業務にも使われるので高精度のミシン製造・金属加工技術が要求され、1台で1種類の動作しか行えないのにも関わらず、比較的高価。 1台で1種類の動作しか行えないのである程度構造が特化しており、また、豊富な工業用アタッチメントの一部が利用できるため、縫製技術がなくとも比較的綺麗に縫える。
[編集] 日本の主なミシン製造業者
- 森本製作所 - KANSAI SPECIALブランド。工業用二重環縫ミシン世界シェア1位。
- ブラザー工業
- 蛇の目ミシン工業
- JUKI株式会社 - 工業用・高級家庭用ミシンが得意。
- 株式会社ジューキ - 主にベビーロックシリーズを販売している会社
- ジャガーインターナショナルコーポレーション - ジャガーミシンを販売
- アイシン販売 - トヨタミシンを販売(製造はアイシン精機)
- 株式会社シンガーハッピージャパン