マーキュリー・カプリ
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マーキュリー・カプリ(Mercury Capri)はフォード・モーターがかつて生産していたマーキュリーディビジョン向けのクーペである。
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[編集] 歴史
[編集] 初代(1969-1977)
ドイツフォードにて開発された2ドアクーペであるフォード・カプリをアメリカ市場にてマーキュリーディビジョンで販売。これはアメリカ市場では同様のクラスのフォード・マスタングが存在するために、フォードブランドではなくマーキュリーブランドで販売することで競合を避ける意味合いがあった。
[編集] 2代目(1979-1986)
1979年に3代目マスタングのマーキュリー版として登場した。初代がドイツフォード開発によるフォード・カプリの輸入であったことを考えると実質的な初代モデルに当たると言っていい。
マスタングには3ドアハッチバッククーペと2ドアノッチバッククーペの2種が用意されていたが、カプリは3ドアハッチバッククーペのみ。マスタングとのエクステリア上の違いはフロントマスク、ボンネット、テールレンズ、ブリスター化されたフェンダー、Cピラーガーニッシュの形状が主なもの。またインテリアもマーキュリーにふさわしくマスタングよりは豪華な仕様とされていた。また1983年のマイナーチェンジでリアハッチゲートが専用のものになった。それまではマスタングと同じノッチのついたものが、バブルバックと呼ばれるラウンドした大型のリアガラスを持つノッチのない完全なハッチバックスタイルへと変わった。
エンジンは2.3リッター直列4気筒SOHC、2.3リッター直列4気筒SOHCターボ、V型6気筒OHVやV型8気筒OHV、直列6気筒OHVなどがオプション設定されていた。年式により搭載されるエンジンには何度か変更が加えられているが、これは基本的にマスタングの変更に準じたものである。またターボは1984年モデルを最後にカタログ落ちしている。
カプリは基本的にマスタングのバッジエンジニアリングではあるものの、ブリスター化されたフェンダーやバンパー、リアハッチゲートなど外装については専用部品も多い。にも関わらずそのデザインはかつてのマスタングとマーキュリー・クーガーの関係ほど差別化が図られているわけではないばかりか、一見しただけではその違いを見出しにくく、グレード構成なども含めて購買層が完全に競合してしまうこととなった。そのためマスタングが1993年まで改良・小変更を加えながら生産されたのとは対照的に、カプリは1986年モデルを最後に生産を終了した。
[編集] 3代目(1991-1994)
1990年に発表、1991年モデルとして発売開始された2シーター・オープンカー。デザインはカロッツェリア・ギアが担当し、リトラクタブル・ヘッドライトの下にマーカーランプが配置された個性的な顔が特徴。しかしこの3代目はそもそも1989年よりオーストラリア・フォードにて生産が開始されたフォード・カプリそのものである。プラットフォームはBF型マツダ・ファミリア/フォード・レーザーのものを流用している。
オーストラリアでフォード・カプリがデビューした1989年はマツダ・MX-5ミアータやロータス・エランなどの2シーター・オープンカーが登場しており、またこれに触発された他のメーカーも同様のモデルを次々と発売してきた。そのため目立った特色もないマーキュリー・カプリは、アメリカ市場への投入が1991年とライバル車と比べると遅かったこともあり常に影の薄い存在であった。そのため販売実績も振るわず1994年モデルを最後に早々と販売終了している。
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