マイヤー・ランスキー
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マイヤー・ランスキー(Meyer Lansky, 1902年7月4日 - 1983年1月15日)はユダヤ系ロシア人のギャング。本名はマイェル・スホヴラニスキ(Majer Suchowlański)。
当時ロシア帝国領だったグロドノ(現・ベラルーシ)でポーランド系ユダヤ人の両親の間に生まれる。1911年、家族とともにアメリカに移住してニューヨークに定住した。その後、学校でラッキー・ルチアーノと喧嘩してその友人になった。また、1920年、ベンジャミン・シーゲル("Bugsy" Siegel)とも親交を持つ。
1931年にルチアーノのコーサ・ノストラ支配に協力し、1936年までにはフロリダ、ニューオリンズ、キューバでのギャンブル事業で成功した。友人シーゲルのラスベガス進出失敗を擁護したが、1947年、シーゲルは犯罪組織によって抹殺された。また、第二次世界大戦直後にはイスラエル建国のため、ユダヤ人地下組織に多数の武器を提供した。
1960年代、麻薬密輸、売春業、恐喝、ホテル・ゴルフコースへの投資によって3億ドルを儲けたと言われる。1970年に脱税容疑を受けてイスラエルに逃亡したが、2年後国外追放されてアメリカに強制送還されたがまもなく釈放され、1976年に病気と老齢を理由に告訴は取り下げられた。
彼の組織犯罪における立場は不明である。一部の本では、彼をアメリカ組織犯罪の実質的なボスとしているが、ヴィンセント・テレサの証言によれば、ランスキーはラスベガス等のギャンブルなどを通じて全米のコーサ・ノストラの組織に大儲けさせているが、ランスキーの立場はあくまでコーサ・ノストラの代理人としてのそれであり、代理人として正直に振舞っている上では役に立つが、そうでなければいつでも消される立場にあるとしている。
ギャングには珍しく数字に強く、経済学の研究書を読み、経済感覚が秀でていた。彼はマネーロンダリングの創始者とも言われている。
1983年1月15日、ランスキーは4億ドル以上の財産を残して肺ガンで死んだ。
彼の生涯は、『モブスターズ』(1991年)、『ランスキー』(1999年)などの映画で取り上げられている。また、『ゴッドファーザー』に登場するユダヤ系ギャング・ハイマン・ロスはランスキーがモデルである。
なお、エルヴィス・プレスリー御用達の洋品店として名高いランスキー・ブラザーズはマイヤー・ランスキーの甥の店である。