ベノム (戦闘機)
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ベノム(Venom)とはイギリスの航空機メーカー、デハヴィランド社で開発され世界各国で使用されたジェット戦闘機である。
[編集] 開発と特徴
ベノムはデハヴィラント社の前作、バンパイアを再設計、改良した発展型の機体である。バンパイアの双ブーム形式の胴体を継承しつつ、性能向上のためエンジンをロールスロイス・ゴブリンからロールスロイス・ゴーストに換装し、主翼はバンパイアが純然たる直線翼であったのに対し、ベノムはなだらかな後退のかかった主翼となった。また翼端には増槽を搭載し、航続距離の延長を図った。 試作機は1949年9月2日に初飛行しバンパイアに比し100km/h以上の速度向上を示したためイギリス空軍に採用され、1952年から部隊配備が開始された。イギリス空軍以外にも、バンパイアを使用していた各国に後継機として採用され、各型計1,100機以上生産された。 なお、開発当初、本機はバンパイアFB.8と呼ばれていた。
[編集] シーベノム
ベノムの派生型として、イギリス海軍向けに開発された艦上全天候戦闘機シーベノム(Sea Venom)が存在する。 この機体はベノムNF.2を基に開発が進められた。機首には大型レーダーを搭載し、レーダー操作員を搭乗させるため並列複座コックピットを採用していた。1951年9月からテストが開始され、1954年3月から部隊配備が行われた。シーベノムは各型合計259機が生産された。
[編集] スペック
(全てベノムFB.4のもの)
- 全幅:12.7m
- 全長:10.06m
- 総重量:6,950kg
- 最大速度:961km/h
- 航続距離:約1,100km