ベジータ
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ベジータは、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』に登場するサイヤ人の王子、その父親、故郷の惑星の名前である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ベジータ(王子)
声優:堀川亮
漫画での初登場は其之二百四「さようなら孫悟空」、アニメでは『ドラゴンボールZ』第5話「悟空死す! ラストチャンスは一度だけ」。単にベジータと表記される場合は、このベジータ王子を指すことが多い。
[編集] 人物像
ナッパ、ラディッツ、カカロット(孫悟空)とともに、サイヤ人の数少ない生き残りの一人。惑星ベジータの王子で、初期の戦闘力はトップであった。(推定 18000)
王子としてのエリート意識が非常に強く、プライドの塊のような性格だった。敵時代には、戦えなくなれば仲間のナッパですら殺すなど、残忍さを前面に出した悪役としてインパクトを残した。自らの実力に絶対的な自信を持っているため、一度敗れた悟空を許せず、強いライバル意識を燃やしている。
後期には、ブルマと同居したことで地球に住み着きレギュラーとなる。しかし身勝手な行動が多く戦闘を好むため、レギュラーとなった後も、彼の行動が原因で避けられたはずの危機が舞い込んできた事も多い。さらに戦闘力のインフレが進んだフリーザ辺中盤あたりから、かませ犬やヘタレとしての側面が出るようになった。
作品末期になると、直接示すことこそ少ないものの、家族への愛情を示すようになり、家族を守るために自分を犠牲にするなど、人間らしい一面が見られるようになった。
[編集] ストーリーへの絡み
[編集] サイヤ人編
地球に弟カカロットを連れ戻しに行ったラディッツが返り討ちに遭った後、ドラゴンボールの存在を知り、「永遠の命」という願いを叶える為にナッパとともに地球へ赴く。
パワーアップして復活した悟空と戦う事になり、激闘を繰り広げて重傷を負う。その後に加勢したクリリン、悟飯、ヤジロベー等の活躍により瀕死の重体となり地球から撤退する。
[編集] フリーザ編
フリーザ編では、フリーザがナメック星にドラゴンボールを探しに行ったことを知り、離反して独自でドラゴンボールを奪い永遠の命を手に入れるためにナメック星に奔る。そして同じ惑星に到着したブルマや孫悟飯、クリリンら一行とお互いを牽制し合いながらも行動を共にすることになる。その後、彼らと共にフリーザと戦うが、フリーザに敵わず殺されてしまう。この時、悟空に打倒フリーザの願いを託している(ベジータが悟空に何かを頼み込んだのはこの時が唯一)。
その後に地球のドラゴンボールで「フリーザ一味に殺された人々を生き返らせて欲しい」と言う願いが叶えられ、フリーザに殺されたベジータは生き返る。そして、ナメック星のドラゴンボールで地球に飛ばされ、地球に住み着く。これ以降、悟空を超えるという目標が出来たためか、「永遠の命を手に入れる」という願いを叶えようとはしなくなった。
地球に住み着いて以降はブルマとの間にトランクスをもうけたが、その後も悟空に対しては、決着を付けるべく執着していたため外に修行に出ることが多く、妻子と暮らすことはなかった。
[編集] 人造人間編
人造人間編では、修行の過程で悟空を超えられない自らへの怒りから悟空同様超サイヤ人へと覚醒し、自分への自信を取り戻した。人造人間18号に敗北した後、精神と時の部屋での修行を経てさらに実力を上げたが、その慢心からセルの完全体への変身を許してしまう。
当初は、未来からやって来た息子のトランクスに対しても身勝手な態度が目立っていたが、セルにトランクスを殺された際には、激昂して単身セルに突撃する一幕もあった(アニメでは、セルに突撃した理由が殺されたことに対する怒りではなく、サイヤ人としてのプライドに変更されていた)。
この戦いでライバル視していた悟空が死亡してしまったため、一度戦いを引退している(その後原作では、魔人ブウ編で何の説明もなく修行を積んでいるシーンが登場。また劇場版では、戦いに復帰する場面が見られる)。
[編集] 魔人ブウ編
魔人ブウ編では、段々穏やかな気持ちになっていく自分と、自分のプライドとの間に戸惑い、その思いを断ち切る為、魔導師バビディに自分の魂を売り渡す。このことで己の力をアップさせ、悟空との決着を図ったが、その間に封印されていた魔人ブウが復活し、中断。
責任を感じたべジータは単身でブウと戦い、家族等を守るためにブウを巻き込んで自爆するシーンが登場(この攻撃では、ブウにダメージを与えられなかったが、初めて他人の為に戦ったシーンとして好きな場面に挙げるファンも多い)。
その後地球の危機に伴い、ブウと戦う戦力として地獄から呼び戻される。当初は死んだ状態で地球に戻ったが、途中でポルンガによって復活(「極悪人は除いて」という条件にもかかわらず生き返ったことには、本人も驚く様子を見せた)。終盤には、悟空をNO.1と認めることに。
その後、娘のブラが生まれ地球で平和に暮らすことになる。また原作の完全版では、ラストのコマで「いつかは悟空に勝ちたい」とも考えている様子を見せた。
[編集] 劇場版でのベジータ
劇場版では、悟空が危機に陥っていた場合、何処であろうと必ず駆けることが多く(似たようなものに「悟飯の危機に必ず駆けつける劇場版のピッコロ」がある)、氷河の中から現れた事もある。
駆けつけた際は、「勘違いするなカカロット!」と言った後に、「助けるわけでは決してなく、後で自分が倒すため」と逐一説明するのがお決まりとなっている。 また、ピッコロ同様に専用のテーマソングがBGMとして流れて登場することが多い。
劇場版『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』では、伝説の超サイヤ人となったブロリーに恐怖し、戦意喪失に陥ったことがある(その怯え様を、ピッコロは見下げ果てていた)。だがブロリーに挑む悟空に触発され、戦意を取り戻した。
[編集] ベジータ(王子)の必殺技
- ギャラクシーブレイカー
- 気力を溜め、体から一気に解放する技。この技でナッパを処刑した。名前はゲームより。
- ギャリック砲
- 気力を溜め、突き出した両掌から高出力のエネルギー波を放つ技。地球を粉々に砕くほどの威力がある。かめはめ波に類似している。作中での登場は悟空戦のみ。
- パワーボール
- 星の酸素と自身の気を混ぜ合わせることで、大猿化に必要な月を作り出す技。この技を使う際、多少戦闘力が弱まる。
- 汚い花火(ファイナルインパクト)
- 名前はゲームより。キュイに向けて放った際に残した台詞が元になっている。敵を吹き飛ばし、指先から放った衝撃波で爆発させる。
- 気円斬(きえんざん)
- 気を円盤状のカッターに練り上げ、その物体を寸断する技。悟飯を大猿から元に戻す為に使用。クリリンが使用した物を見切り使用(劇中の台詞から)。
- ビッグバンアタック
- 人造人間19号との戦闘時に使った技。片手で放つ球体の気功波。ギャリック砲以上の威力を持つが、爆発力を標的一点に絞っているため、周囲への被害が少ない。メタルクウラを相手にも使っている。
- フォトンボンバー
- 片腕に気功弾を作り、相手に撃ち下ろす技。人造人間20号をおびき出す為に使用するが吸収されてしまう。名前はゲーム「サイヤ人絶滅計画」より。
- ファイナルフラッシュ
- ファイナルインパクト(アトミックブラスト)
- 魔人ブウに対して使用した技。貫通力が高く、当たっても爆発はせずに相手を貫く。名前はゲーム版より。
- ファイナルエクスプロージョン
- 破壊力は絶大だが、自分の命も失うこととなる自爆技。魔人ブウに対して使用したが、結局再生されてしまう。名前はゲーム版より。
[編集] 補足
原作者の鳥山は、ベジータを「あまり好きではないが、随分と世話になったキャラクター」と言っている。
アニメ版での初登場時は原作での登場時色が不明だった事と「サイヤ人は黒髪」の設定がなかった為、茶髪で戦闘服も違う色での登場であった。またブウの体内で回虫と遭遇した際「にょろにょろしたものが大嫌い」と発言。
その髪型から、ファンからはMっぱげと馬鹿にされる。
漫画の中で見せる屈折した感情から、一部心理学的な見地からアダルトチルドレンにあたるといわれている。
口癖は「くそったれが!(くそったれめが!)」「勘違いするな、カカロット」。
テーマソングに「ベジータ様のお料理地獄!!」がある。内容は、ベジータがお好み焼きを作るというもの。
テレビ朝日が行ったアンケートで「主人公以外で漫画の好きなキャラクターは誰?」という質問でベジータが第2位であった(第1位は『ドラえもん』の野比のび太だが、実はのび太は『ドラえもん』の真の主人公である)。
名前の由来はベジタブル(野菜)から。サイヤ人(野菜)のトップという意味合いもある。 ちなみにカカロットはキャロット ナッパはそのまま菜っ葉 ラディッツもそのままラディッツ ギニュー特選隊はギニュー…牛乳 リクーム…クリーム ジース…ジュース バータ…バター グルド…ヨーグルトである。
[編集] 超サイヤ人
超サイヤ人になった時期は、悟空についで2番目(ストーリーでは未来トランクスの方が先に超サイヤ人の姿を披露しているが、20年後から来ているので時期的にはべジータが先)。
アニメでは、別次元の未来でもべジータが何らかの怒りにより超サイヤ人に覚醒しているシーンがある。しかし、あっさりと人造人間に敗れる。本次元では悟空を超えられない怒りからの覚醒だが、未来では悟空が心臓病により死亡しているため、理由は不明。一部のファンの間では、「最後まで悟空を超えることが出来なかったことへの怒りでは?」との声もある。
[編集] 声優の演技
ベジータを演じた堀川は悟空が正義の味方として成立するには、それに匹敵する重厚な悪が必要と判断し、ベジータが使用する二人称を「きさま」にするなど、原作のように「てめぇ」と言うよう(アニメで発言したのはブウを挑発する時のみ)な安っぽい悪にならないように演じたという。アニメでは原作のべジータが「てめえ」と発言したセリフは「きさま」に変えられていた。
また、敵として登場したことから「3・4回程度で死ぬだろうと思っていた。」といい、まさかレギュラーになるとは思いもよらなかったという。
[編集] 家族への思い
- ベジータは作中で、不器用ながらも家族への愛情を幾度か示していた。
- 最初は人造人間20号(ドクター・ゲロ)にブルマとトランクスが襲われたときに二人を助けようともせず、気にかけもしなかったため、未来から来たトランクスに軽蔑された。
- だが、セルに息子のトランクスを殺された際、感情を露にしてセルに向かう。
- さらに魔人ブウ編では家族を守るため、自らの命をかえりみない自爆を行い、その直前にはトランクスを抱き締め、ブルマを大切にするよう遺言を残している。
- ポタラによる悟空との融合を拒否するもブルマの死及びトランクスが吸収されたことを知らされて考えを変えたり、ドラゴンボールの使用を反対する老界王神を説得するためブルマがダシに使われた際には、「よくも人の妻を!」と強い怒りを見せている。
[編集] 別作品
ドラゴンボール以外には『ネコマジンZ』にもゲスト出演を果たしている。が、世界観の違いに着いていけず、『携帯が鳴った』と嘘をついて地球を脱出、「二度とギャグマンガには出ない」と言い残した。
しかし2006年『こち亀』連載30周年記念本「超こち亀」で両津勘吉と競演。ギャグマンガの人物なのでいくら攻撃をされても死なない両津に恐れをなし、汗をたらしながらこそこそと逃げたり、職務質問をされて「い、いや!オレは・・・」と挙動不審になったりと、情けない一面も見せている。
[編集] 近年
近年ではドラゴンボール関係のCMやプロモーションで驚き役にされている。
- 悟空と「グミくれよ!(後にグミをよこせ!)」と叫び死闘を繰り広げる。(ドラゴンボールグミCMより)
- 悟空の解説にいちいち驚く。(ドラゴンボールZ3プロモーションより)
- DS登場を待っていたかの発言をし、「俺にも遊ばせやがれー!」と叫ぶ。(舞空烈戦CMより)
- 子供にデータカードダス勝負を挑み、負ける。(データカードダス「ドラゴンボールZ」CMより)
このほか過去にも「鳥山先生と勝負だ!」と銘打って読者コーナーでボウリングをしているが、結果はガーター。
[編集] ドラゴンボールGTのベジータ
『ドラゴンボールGT』では当初は口髭を生やして登場。悟空を目標に日夜トレーニングを続けている。悟天とトランクスが修行をサボりだらけてる中の提案で突然宇宙に行かそうとした(パンが密航し宇宙船を勝手に発射させたが為に悟天は地球に残留)。
その九ヵ月後娘のブラの買い物に付き合う中、ツフル人が作ったミュータントのベビーと遭遇。身体に寄生され、悟空と対峙させられる。邪悪龍編ではブルマが開発した人工ブルーツ波発生装置により悟空と同じくスーパーサイヤ人4まで変身できるようになった。
ブラに髭を「似合ってない」と言われショックを受けて髭を剃ったり、ブルマに「髭がないほうが素敵」と言われまんざらでもない表情をチチに見られ赤面する等、以前と比べ人間(地球人)らしい感情を見せるシーンが多くなる。
「自分がNO.1だ」などの言葉を発言している。また、超(スーパー)17号との戦いの中で「悟空、悟空って馬鹿野郎ッー!いいか!NO.1はこの俺様だ。この地球を守るのに、カカロットなんかお呼びじゃねぇ!このベジータ様さえいれば、十分なんだ!」「俺はサイヤの誇りを、持った地球人だッー! 」と発言。一星龍(イーシンロン)との戦いの中では、地球ごと消されそうになった時に「俺の故郷惑星ベジータはフリーザに破壊されてしまった…。そして、今度は地球がか…」とも発言している。
終盤では年齢のためか、口元に皺が出来ていた。
また口髭は勘違いされやすいが作者のキャラ原案が元になっている。
[編集] 新たな必殺技
- ファイナルシャインアタック
- GTにてベジータが開発した技。片手(両手)でエネルギーを溜め、放出する。ゲームでは緑色で表記。
- 残像拳
- 素早い動きで残像を残し、相手に自分の位置を誤認させる技。一星龍戦にて使用。
[編集] ベジータ王
惑星ベジータの王。上記のベジータの父親。フリーザに殺される。 戦闘力は、ベジータ王子曰く「5歳時の自分以下」。原作では其之二百九十六「フリーザ超変身!!」で名前のみ登場。アニメではTVSP「たったひとりの最終決戦・フリーザに挑んだZ戦士孫悟空の父」で初登場し、通常放送でもフリーザの回想シーンにて登場した。
映画「燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」にも登場している。
[編集] 惑星ベジータ
サイヤ人の故郷である惑星。フリーザに破壊された。別名、惑星プラント。惑星ベジータの重力は地球の10倍もあり、この星で体を鍛えていたことも、サイヤ人が強力な戦闘力を持つ要因の1つとなった。
アニメでは、サイヤ人が高度な科学力をもった先住民族のツフル人を滅ぼした後、惑星プラントを惑星ベジータに改名。自らの母星としたことになっている。
[編集] 関連項目
カテゴリ: ドラゴンボールの登場人物 | 架空の天体 | 架空の地球外生命体