フォトンベルト
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フォトンベルト(Photon Belt)とは、一部の人々のあいだで銀河系に存在が主張されている高エネルギー光子の帯。フォトンとは光子のこと。
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[編集] 概要
フォトンベルトの初出は1981年のオーストラリアのUFO雑誌で、エドモンド・ハリーが発見したとも、1961年にポール・オットー・ヘッセが発見したとも言われている。1991年に科学ジャーナル誌の『Nexus magazine』が "The Photon Belt Story" として取り上げ衆目を集めた。
内容については諸説あるが理論的な解説がされておらず、その存在は科学的に確認されていない。にもかからわず、肯定派の中にはブログで「科学的に証明されているが、NASAが秘密裡にしている。」、と主張している者も多い。観測に成功したとする主張もあるが、天の川の写真や無関係の天体の可能性も否定できない。
近年では異常気象や環境問題等の原因の一つとして紹介され、テレビ番組ではオカルト的な興味を引くために科学的な検証や裏づけなしにフォトンベルトが紹介される事例が多い。また、カルト団体が人々の恐怖を煽る為に、この主張を利用することもあるといわれている。
[編集] 主張
その内容については人により説がいくつか存在し、共通点として以下のことが挙げられている。
[編集] 肯定派
- 太陽系はプレアデス星団のアルシオーネを中心として約26,000年周期で回っている。地球はまもなくフォトンベルトに突入し、2000年間続く。
- フォトンベルトは銀河系に垂直に分布しており、NASAが観測に成功している。地球は約26,000年周期で銀河の中を進行しており、まもなくフォトンベルトに突入する。
- フォトンベルトに突入すると強力な電磁波により太陽や地球の活動に大きな影響が出る。
- 銀河連盟(銀河連邦)のシリウス人とのチャネリングによっても警告されている。
[編集] 否定派
- 神秘主義の一種である。
- アセンションを唱えるニューエイジ系信仰の一つとして採用されている。
- フォトンベルトとアセンションは、共に、聖書の至福千年との共通点もあるという指摘もある。
- そもそもフォトンは光子であり、フォトンの帯が形成されることはない。
- 太陽系は銀河系中心に対して約2億2600万年周期で公転しており、プレアデス星団を中心に回るということはない。地球の歳差運動が約26,000年周期であることから、これとの混同であると思われる。(実際にその周期で太陽系が銀河系を公転すると、光速を超える。)
- フォトンベルト説では、地球がプレアデス星団のまわりを回っている説と、わずか26,000年で銀河を回るという二説が、それぞれ矛盾するにもかかわらず併記されていることが多い。しかも、その両説ともに間違っている。
- NASAが観測したフォトンベルトとする写真は、フォトンベルトと無関係の銀河NGC4650Aのことであり、その後フォトンベルトに言及がないのは当然である。
- 20世紀末から火山活動や地震などは増えているが、太陽の黒点観測などから太陽が特別異常な活動をしているという観測結果はみられない。
- 仮にもし存在していたら、過去の生態系に影響を与えるはずなのに何の影響も出ていない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 1万3千年ぶりの地球の危機(地磁気の逆転をフォトンベルトが原因と説明しているサイト)
- 宇宙エネルギー ヒーリングスペース アムリー(カルト団体によるフォトンベルトの扱い例)
- nexusmagazine("The Photon Belt Story", Feb.1991)
- フォトン・ベルト物語――世界最初のフォトン・ベルト文献(上記"The Photon Belt Story"の日本語訳)
- プレアデスの事実と虚構――フォトン・ベルト神話を打ち砕く(上記フォトンベルト物語への反論の日本語訳)
- フォトン・ベルトは天文学的にありえない(天文学者が矛盾を指摘)
- フォトン・ベルト本の著者自身が実在を否定
- 国立天文台による回答(「観測されたという正式な報告はありません」)