フィッシュ・アンド・チップス
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フィッシュ・アンド・チップス (英:fish-and-chips)は、イギリスを代表する庶民的な料理のひとつ。いわゆるファーストフードの一つである手軽な食事。しかし最近では本場のイギリスでも高カロリー食の代名詞の扱いを受け、女性には敬遠される向きもある。
タラやカレイ、オヒョウなどの白身魚の切り身に、小麦粉、卵、水でつくった衣をつけて油で揚げたものと、ジャガイモを細い棒状に切って油で揚げたフライドポテトと合わせて供する。この場合のチップスは、薄くパリッとしたポテトチップスのことではなく、日本で言うフライドポテト(アメリカでいうフレンチフライ)のイギリスでの呼び名である。
モルトビネガー(麦芽を原料とする穀物酢)と食塩をかけて熱いうちに食べるのが古くから一般的だが、マヨネーズやタルタルソースなどをかけて食べることもある。
飲食店内で皿に載せて供されるほかに、テイクアウトでは日本の石焼き芋のように、紙袋に入れるか円錐型に丸めた新聞紙に包まれて供されることがかつては多く、現在は発泡スチロールの容器に入れて供する店もある。
日本ではミニストップで定番商品となっている。
[編集] 歴史
魚の白身を揚げた料理は、少なくとも中世ヨーロッパに存在していた。新大陸からジャガイモがもたらされると、17世紀にはヨーロッパ各地でジャガイモを揚げた料理も作られるようになった。両者はしばらく別々のもので、これがいつどこで組み合わされるようになったかは諸説入り乱れている。記録に残る限りでは、1860年ロンドンのジョセフ・マリンが開いたフィッシュ・アンド・チップスの店が最古のものである。19世紀後半に底引き網漁の技術革新がおこり北海の魚が安価に手に入るようになると、フィッシュ・アンド・チップスは労働者階級の日常食になった。第二次世界大戦下のイギリスで配給制がとられたとき、数少ない配給食糧のひとつがフィッシュ・アンド・チップスであった。戦後もフィッシュ・アンド・チップスは安価なファストフードとして、一定の人気を維持している。