バクゥ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バクゥ(BuCUE)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の兵器(モビルスーツ・略称はMS)。(型式番号:TMF/A-802)本項では各種バリエーション機体、及び後継機であるラゴゥの記事も掲載する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 機体解説
バクゥ | |
型式番号 | TMF/A-802 |
所属 | ザフト |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 11.07m(ターレット基部まで) |
重量 | 69.3t |
武装 | ・2連装ビームサーベル(後期型のみ) ターレットオプション武装 ・450mm2連装レールガン ・400mm13連装ミサイルポッド |
主な搭乗者 | アンドリュー・バルトフェルド メイラム ハダト カークウッド ザフト軍一般兵 薀奥 伝八 |
本機は開戦当初よりザフト軍が開発、投入した地上戦用量産型MSである。地上の障害物を乗り越えて移動する事を目的としている為獣型の4脚を持ち、それ故従来のシリーズから見ても異形の機体である。脚部には無限軌道(クローラー)が装備されており、砂漠や氷原の様な極度に足場の悪い環境でも安定した状態での高速移動が可能となっている。
本機は機動性と火力で正面突撃を行う戦法を採る為、装甲は前面に集中している。コクピットは機動時の安定性を考慮し機体重心に最も近い腹部に存在するが、各部装甲強度の配分上脆弱である為、最も狙われやすい部位でもある。また、構造上仰向けに転倒すると迅速な起立が困難となる欠点もある。無限軌道による走行形態は腹部の弱点をカバーする為の手段でもある。
当初地球連合軍はバクゥよりも寧ろ強力な火砲を搭載するザウートに危機感を抱いていたが、本機の平面における圧倒的移動力は当時連合軍地上戦力の主軸であったリニアガン・タンクを悉く打ち破った。
[編集] 劇中での活躍
主にアンドリュー・バルトフェルドが率いる部隊の主力として登場、砂漠に降下したアークエンジェルにたびたび攻撃を加え、地上戦に慣れないストライクガンダムを幾度となく苦しめた。砂漠戦の終盤やアラスカ攻防戦においては、頭部両サイドより出力されるツインタイプのビームサーベルを装備した後期型が登場している。
[編集] バリエーション
[編集] バクゥ戦術考察タイプ
バクゥ戦術偵察タイプ | |
型式番号 | TMF/TR-2 |
所属 | ザフト |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
武装 | ・2連装火砲 ・2連装ビームサーベル |
主な搭乗者 | ザフト軍一般兵 |
バクゥ戦術考察タイプ(BuCUE Tactical Reconnaissance Type)は、『ガンダムSEED MSV』に登場するMS。(型式番号:TMF/TR-2)
[編集] 機体解説
バクゥの派生機で、陸上の戦域威力偵察を目的とした機体。最大の特徴は、ザフトが独自に開発したステルス機構の搭載である。また、量産機として初めてビーム兵器を搭載したMSである。
[編集] プロトラゴゥ(バルトフェルド専用バクゥ)
バクゥ(砂漠の虎専用タイプ) | |
型式番号 | TMF/A-802 P-Mod.W |
所属 | ザフト |
生産形態 | 実験機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
武装 | ・サーベルファング×2 ターレットオプション武装 ・450mm2連装大型レールガン ・400mm13連装大型ミサイルポッド |
主な搭乗者 | アンドリュー・バルトフェルド イライジャ・キール ロレッタ・アジャー 山吹樹里 リーアム・ガーフィールド |
プロトラゴゥ(バルトフェルド専用バクゥ)(Proto LaGOWE(BuCUE Waltfeld Custom Type))は、『ガンダムSEED MSV』に登場するMS。(型式番号:TMF-802 P-Mod.W)
[編集] 機体解説
ザフト軍の指揮官「砂漠の虎」ことアンドリュー・バルトフェルドの専用機。
格闘用武装としてサーベルファングとスパイクを装備し、複座式コクピットの採用、動力・駆動系の改修、そして一部装甲の強化等を行っている。
この機体はラゴゥ開発の為の実験機であり、実戦配備の想定はされていなかったが、高性能に惚れ込んだバルトフェルドが強引に徴用し、専用機とした。
胴体にはジェットエンジンが追加されており、恐ろしい程の機動力であったが、その性能故扱うには相当の技量が必要とされ、バルトフェルド以外には扱う事の出来る者はいなかった。また頭部に装備されたサーベルタイガーの牙を思わせる一対の特殊合金製カッターは、接近戦において高い有効性が確認されたものの、メンテナンスやコスト等様々な問題点が表面化したのに加え、連合から強奪したGAT-Xシリーズのテクノロジーを解析して作られたビームサーベルの実用化もあり、制式採用される事は無かった。しかし桁違いのパワーはアストレイ・レッドフレームを背中に乗せたままの移動も難無くこなす程である。
後に『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』で、ロウ・ギュールと知り合ったマーチン・ダコスタが、窮地に陥ったロウを救うべくイライジャ・キールに本機を託した。最終的に本機はジャンク屋の所有となっている。
その後、作業用に改修された本機は対ゴールドフレーム天戦以降、主に樹里がキャプテンGGのサポートを受けて使用している。
バルトフェルドは、以前の機体を“虎”、改修後の機体を“可愛い子猫”と例え嘆いていた。
[編集] ケルベロスバクゥハウンド
ケルベロスバクゥハウンド (バクゥハウンド+ケルベロスウィザード) |
|
型式番号 | TMF/A-802W2 |
所属 | ザフト |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 12.26m (ターレット部ウィザードアタッチメントまで) |
重量 | 69.81t (ウィザードアタッチメント重量含む) |
武装 | ・ビームファングシステム (中央頭部×5、ケルベロスウィザード頭部×2(×2)) ・ケルベロスウィザード頭部リトラクタブルセレクション内ビーム砲×2 |
主な搭乗者 | アイザック・マウ ザフト軍一般兵 |
ケルベロスバクゥハウンド(Kerberos BuCUE Hound)は、『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場するMS。(型式番号:TMF/A-802W2)
[編集] 機体解説
C.E.72年のユニウス条約締結後、各国の兵器保有数は国家毎の人口、GDP、失業率等各種パラメータから算出された数値を基に定められ、それ以前でさえほとんどの数値で地球連合各国に大差をつけられているプラントでは大幅な軍事力低下が懸念されていた。この状況を打開すべくザフトではザクを初めとするニューミレニアムシリーズ系の高汎用機が新開発されていたが、その一方で、より安価な方法として旧来の現行機種の強化改修による戦力増強も模索されていた。
その成果の1つとして生み出されたバクゥハウンドは、背部ターレットプラグにニューミレニアムシリーズで標準化されたウィザードシステム対応規格のアタッチメントが増設されており、機種間の兵装共用化や装備換装による戦域拡大の恩恵によって、より単機当たりのコストダウンが可能となった。
尚、バクゥハウンドはそれ単体での武装はほぼ皆無に近い為ザク以上にオプションへの依存度が高く(この点はノーマルのバクゥも同様であるが)、出撃時は必ず何らかのウィザードを装着する必要があった。また、いくら規格が適合するとは言っても2足型MSと4足型MSとではそもそもの運用思想が異なる為、そのままでは使用不能なウィザードも少なくなかった。よって基本的には専用開発された「ケルベロスウィザード」を装着する場合が大抵で、機体名称も装着時の呼称である「ケルベロスバクゥハウンド」としての認知度が高い。
[編集] ケルベロスウィザード
ケルベロスウィザードはバクゥハウンドと平行して開発された高機動近接戦闘用ウィザードである。
バクゥ本体と同じ多重関節式のブームに取り付けられた2つの頭部は、それぞれ上部に前方及び機体外側側方に小型のビームファング、顎部リトラクタブルセレクション内に速射型のビーム砲が内蔵され、首関節の柔軟性を活かしそれぞれ別個の目標に対する同時攻撃が可能となっている。尚、装着時はバクゥ本体の頭部も前方2基、下方2基、口吻内1基の計5基のファングを内蔵する専用ユニットに換装され、その風貌は正に三つ首の魔犬"ケルベロス"を髣髴とさせる異形を持つ。ウィザードはザク等他のウィザードシステム対応MSでの運用も想定され、双頭部のビームファングは取り外す事で手持ちのビームサーベルとして、更に2つを連結する事で双刃のジャベリンとして使用可能である。だが、本ウィザードはあくまでバクゥ専用として開発されたモジュールであり、バクゥとの連携運用によってこそその真価を発揮する。
[編集] 劇中での活躍
バクゥハウンドの正確な総生産数や投入地域についてはまだ不明な点が多いが、西ユーラシア地方の対ハンニバル級陸上戦艦“ボナパルト”戦にて3機のケルベロスバクゥハウンドの投入が確認されている。実戦では第81独立機動群ファントムペイン所属機のブルデュエルを破壊する戦果を挙げたが、その直後同じくファントムペイン所属のストライクノワールによって全機が撃破されている。
[編集] アイザック・マウ専用ケルベロスバクゥハウンド
『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 ⊿ ASTRAY』に登場。
ジュール隊所属パイロット、アイザック・マウが搭乗する専用機。一般のバクゥハウンドは大半の機体が黒系のカラーに統一されているが、彼の機体はグリーン1色のパーソナルカラーに染められている。形状やスペックは全く同一の機体。火星より地球へと来訪したマーシャン使節団のオブザーバーとなった彼と共に、彼等の乗艦「アキダリア」に配備された。
[編集] ラゴゥ
ラゴゥ | |
形式番号 | TMF/A-803 |
所属 | ザフト |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 11.49m(ターレット基部まで) |
重量 | 70.18t |
武装 | ・2連装ビームキャノン ・2連装ビームサーベル |
主な搭乗者 | アンドリュー・バルトフェルド アイシャ |
ラゴゥ(LaGOWE)は『機動戦士ガンダムSEED』に登場するバクゥの後継機。
[編集] 機体解説
ラゴゥは、バクゥの上位機種に当たる指揮官用陸戦型MSであり、将来的にバクゥの後継として制式化が予定された機体である。基本構造はバクゥと酷似しているが、機体サイズ・出力共に大型化しており、各部センサーもより高精度な新型デバイスに変更されている。
開発当初からビーム兵器の搭載が考えられていた為コクピットは前席にガンナー(アイシャ)、後席にパイロット(アンドリュー・バルトフェルド)が乗り込む複座式が採用されており、そのコンビネーションによりバクゥよりも機動力を生かした砲撃戦法が可能となっている。遠距離では砲撃により敵を牽制し、一気に距離を詰めてクローとビームサーベルによる二段構えの打撃を加える事で、大抵のパイロットに対し回避不能なダメージを与える事が出来る。
[編集] 劇中での活躍
砂漠でバーサーカーと化したストライクと戦った。バルトフェルドがメインパイロット、アイシャが砲手として乗り込み、ストライクをPSダウンにまで追い詰めた。しかしSEEDを発動したキラ・ヤマトのストライクにアーマーシュナイダーを突き立てられ大破した。尚、この際の爆発でアイシャは死亡したが、バルトフェルドは奇跡的に生還している。ASTRAYにて実は2人とも助けられていた。