ネシャン・サーガ
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ネシャン・サーガは、ドイツの作家、ラルフ・イーザウが書いたファンタジー。キリスト教の観念を底辺とし、現実世界(われわれが住む地球)と、かつて神であるイェーヴォーの息子、メレヒ=アレスが作った世界「ネシャン(涙の地)」とで起こる物語が同時進行する。
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[編集] あらすじ
ある日、森に散歩に出ていて運悪く穴に落ちてしまったヨナタン少年。彼はその穴で謎めいた杖を発見する。青い光を発している杖を握ったとたん、あらゆる感覚が鋭敏に研ぎ澄まされ、記憶や感情を伝える力まで増幅された。ヨナタンはその杖を持って穴から出ようとするが、そこに突如言い伝えだと思っていた怪物、ツチクイが襲い掛かってきた。ヨナタンはあわてて逃げ出すが、杖をツチクイに突き刺したとたんツチクイは灰になってしまった。結局養父ナヴランが待つ小屋に帰れたのは翌朝で、ナヴランは相当に怒っていた。だが杖をナヴランに見せたるとナヴランの態度は豹変する。ナヴランは杖に触ろうとはせず、そして自分が本当は何者なのか、その杖はいったい何なのか、すべてを語りだした。その杖は裁き司のみが持つことを許される伝説の杖「ハシェベト」で、ナヴランは裁き司の使者「カロジム」としてその杖を探し続けてきたというのだ。ハシェベトに触れるのは裁き司とイェーヴォーに選ばれし者だけだったため、ナヴランは触ろうとしなかったのだ。そしてヨナタンは第六代裁き司ゴエルがいる「英知の庭」へ、三週間後にくるゴエルの使者の船に乗って、ハシェベトを運ばなければならないことを告げられる。あまりの唐突さと使命の重大さに戸惑いを隠せないヨナタンだったが、しかしその夜、イェーヴォーの使いであるベネルが枕元に現れ、闇の神メレヒ=アレスの使徒であり、南にあり、長らくヨナタンたちが住む光の国「セダン帝国」と争ってきた闇の国「テマナー」の王、バール=ハッザトがハシェベト出現の報告を聞き、配下の将軍ゼトアが三隻の船を率いてこの地に向かっていると告げる。明日、港にいる「世界の風号」にのって出発せよとベネルにいわれたヨナタンは、混乱しながらも必ずハシェベトを英知の庭に届けることを約束し、旅立つのだった。
一方、地球では一人の少年が起きていた。名前はジョナサン・ジェイボック。彼は昔重い病気にかかり、それ以来車椅子の生活を余儀なくされていた。彼には奇妙な性癖があった。病気にかかって歩けなくなった日から、自分と同じ年の子供、「ヨナタン」の夢を見るようになっていたのだ。「ヨナタン」はジョナサンと同じ速度で成長し、ジョナサンはヨナタンの生活を夢でつぶさに見てきた。ジョナサンは特に気にすることもなく生きてきたが、ヨナタンがハシェベトを届けるために旅立った後、しばらくしてから容態が急変。少しずつ少しずつ病状は悪化の一途をたどり、祖父で、貴族であるジェイボック卿は高名な医者を呼ぶが、さじを投げられてしまう。だが、悪化する中でもジョナサンはヨナタンの夢を見続け、ヨナタンとの会話までした。だが、会話のたびに病状は悪化する。そしてジョナサンはついに昏睡状態に陥ってしまい.......
[編集] ネシャンの国について
- セダン帝国
- テマナー国
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- 「南方の地」という意味で、ネシャン南部に存在する国。闇の国とも呼ばれる。現在の支配者は、メレヒ=アレスの使徒と目されるバール=ハッザト。先帝はグラントール。
- スカーク王国
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- 派手な色を好む知性ある鳥人、スカーク族が治める土地。たいして大きくはないが、鳥人が治めているせいか、超高層建築物が多い。
[編集] 登場するキャラクター
- アイーシャ
- アシェレル
- 白いバラを紋章とする第五代裁き司。
- アソン
- アラヨト
- イェーヴォー
- イェージル
- 名前の意味は「影の守り」。
- マーラ砂漠を横断するときは、ヨナタンのたちよき協力者になった。
- イェノアハ
- イェーパス
- カルデク
- 「世界の風号」の船長。
- ヨミの養父。
- ガルモク
- ギム
- キリクフ
- ギンバール
- グラントール
- ゲシャン
- ケーマル
- ゴエル
- 第六代裁き司。
- グラントールの軍団をハシェベトで単身叩き潰そうとした際、グラントールの嘲笑に我を忘れ、イェーヴォーではなく、自分の名の下に悪を根絶やしにすると叫んでしまった。そのため、グラントールの軍団は倒したものの、自身は英知の庭に運ばれ、一生そこから出られなくなってしまう。その際にハシェベトも行方不明になっている。
- コルバン
- サー・モルメック
- サハヴェル
- サミュエル
- サンダイ
- ジェニファー・レフトショア
- ジョナサンの母親。
- ジョナサンを産んだ際に死んでいる。
- 漁師の娘だったため、ジェイコブとの結婚の際、ジェイボック卿に猛反対されている。認めてもらえなかったため、結局二人は駆け落ちし、ジェニファーが生まれたポートアークの小さな村で暮らした。
- シェリバール
- シャフーシュ
- シュシュ
- ジョナサン・ジェイボック
- 主人公。
- かつて重い病気にかかり、そのせいで車椅子生活を余儀なくされている。
- ジルバール
- シンヤン
- ゼトア
- ゼフォン
- ゾルガン
- ダガー
- タリカ
- ツィルギス
- セダン帝国の皇帝。
- ボーマスとフェリンという息子がいるが、フェリンを嫌い、一度勘当している。だが、フファルトールに暗殺され、いまわの際に己の間違いを悔いてフェリンに詫びた。
- ツビッチュ
- ディン=ミキト
- ベーミッシュの生き残り。
- 自分がベーミッシュの唯一の生き残りだと思っていたため、ヨナタンに、子孫を作るのに必要な「核」を渡す。これにより、ヨナタンは生き物と意思疎通が可能になった。
- もっとも、後にヨナタンが、ベーミッシュのほかの生き残りであるバル=シリキトを発見している。
- ナヴラン・ヤシュモン
- ヨナタンの養父。
- 漁師であり、海から流れ着いたヨナタンを育てていた。
- 冒頭で自分がカロジムの一員であることを明かす。
- ノック=ノック
- スカーク族。
- バラサダン
- バル=シリキト
- バール=ハッザト
- ビティア
- フィム
- フファルトール
- ベネル
- ボーマス
- マーシャル・ウィリアム
- メレヒ=アレス
- ヤミナ
- ユブレシュ=カンシブ
- 夢の島
- ヨナタン
- 主人公。
- 「まったき愛」というものを持っているとベネルにいわれた少年。
- 海からナヴランの家に流れ着き、ナヴランに育てられる。
- 二巻終盤でジョナサンと一体化し、また、第七代裁き司ゲシャンだとゴエルによって明かされる。
- ヨミ
- カルデク船長の養子。両親とはテマナーの襲撃に遭った際、生き別れになっている。
- ゼトアを親の敵と目していたが、実は違うことがわかり、さらにはゼトアが奴隷となっていたヨミの両親を保護していたことがわかり、ゼトアに感謝する。
- ヨナタンのよき友人。
- リリト
[編集] 地名
ここではネシャンの地名のみを扱う。
- アケルダマ湖
- アバドン
- 英知の庭
- 永遠の防壁
- 大いなる海
- 大いなる壁
- ガノール
- 臥龍山脈
- カルタン
- カンダマール
- キトヴァール
- 浄めの湖
- 禁断の地
- クイリト
- クオン河
- グリュント=エル川
- ケゼー
- ゲドール
- ゴルプ
- 裁き司の屋敷
- シンガト
- スカーク王国
- セダノール
- セダン湾
- セダン河
- ゼフォン
- セリン川
- セリン=ベリダシュ
- ダロム=マオス
- チルプ
- ツーリム・カレポト山脈
- バシャン
- 果てしなき海
- ハル=リヴィヤタン(ハル=レヴィヤタン)※
- ピュルツ=エル川
- ベリ=メケシュ
- 北海
- 炎の山
- マーラ砂漠
- 南の尾根
- メジラー
- メレジン
- 忘れられた島
※・・・ハル=リヴィヤタンは、地図中ではハル=リヴィヤタンとなっているが、物語中においてはなぜかハル=レヴィヤタンになっている。
[編集] 既刊
- 第一巻:ヨナタンと伝説の杖
- 第二巻:第七代裁き司の謎
- 第三巻:裁き司 最後の戦い