トチノキ
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トチノキ | |||||||||||||||||||||
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セイヨウトチノキの花序 |
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Aesculus turbinata | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
トチノキ(栃の木) |
トチノキ(栃、橡、栃の木)とは、トチノキ科(APG植物分類体系ではムクロジ科とする)トチノキ属の木本植物。学名は Aesculus turbinata。ヨーロッパ産の近縁種であるセイヨウトチノキ (Aesculus hippocastanum) はフランス語名のマロニエでよく知られる。
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[編集] 特徴
落葉性の高木で、温帯の落葉広葉樹林の重要な構成種の一つ。水気を好み、谷間では、より低い標高から出現することもある。サワグルミなどとともに姿を見せることが多い。
木はとても大きくなり高さ25m、太さも1mを越えるものが少なくない。葉も非常に大きく、この区域では最大級の葉である。葉柄は長く、その先に倒卵形の小葉を掌状につけ(掌状複葉)、全体の長さは50cmにもなる。葉は枝先に集まって着き、その間から、初夏に穂状の花序が顔を出す。個々の花は花びらもさほど大きくないが、雄しべが伸び、全体としてはにぎやかな目立つ姿である。花は白~薄い紅色。丸い果実が熟すと厚い果皮が割れて少数の種子を落とす。種子は大きさ、色艶、形ともに、クリの果実のてっぺんのとんがりをなくして、丸くしたようなものと考えれば、ほぼ間違いない。
[編集] 人間との関わり
木材として家具などの材料となるほか、種子は栃の実として渋抜きして食用になる。渋抜きは同様に渋抜きして食用になるコナラやミズナラなどの果実(ドングリ)よりも高度な技術が必要で手間がかかるが、かつては米がほとんど取れない山村ではヒエやドングリと共に主食の大きな一角を成し、常食しない地域でも飢饉の際の食料として重宝された。そのために森林の伐採の時にもトチノキは切り残す慣習を持つ地域もあった。現在では、渋抜きしたものをもち米と共についた栃餅(とちもち)などとしてあちこちの土産物になっている。また、各地に残る栃谷や栃ノ谷などの地名も、食用植物として重視されていたことの証拠と言えよう。
花はミツバチが好んで吸蜜に訪れ、養蜂の蜜源植物としても重要であったが、拡大造林政策などによって低山帯が一面針葉樹の人工林と化していき、トチノキなどが多い森林は減少し、日本の養蜂に大きな打撃を与えた。
そのほか、街路樹に用いられる。パリの街路樹のマロニエは、セイヨウトチノキといわれ実のさやに刺がある。また、マロニエと米国産のアカバナトチノキ (Aesculus pavia) を交配したベニバナトチノキ (Aesculus x carnea) も街路樹として使用される。
小学校の国語の教科書にも採用されている斎藤隆介著の児童文学『モチモチの木』に登場する木は、このトチノキである。
[編集] 栃木県の県木として
トチノキは栃木県の県木であり、関連用語としてトチノキの葉を表す「栃の葉」(とちのは)や「マロニエ」共々栃木県に関連する物象に冠される。
- とちのきファミリーランド - 宇都宮市の栃木県総合運動公園にある遊園地
- マロニエプラザ - 宇都宮市にある展示場・イベントホール「栃木県立宇都宮産業展示館」の愛称。
- 栃木県を発着する高速バスの愛称 - とちの木号およびマロニエ号
- トッチー - 国民文化祭が栃木県で開催されたときのイメージキャラクター。トチノキの葉の形をしている。
[編集] 関連項目
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