主食
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主食(しゅしょく)とは、食事の中心として主要なエネルギー供給源になる食物のこと。米・コムギ・オオムギ・トウモロコシなどの穀物やジャガイモ・サツマイモ・タロイモ・キャッサバなどの芋類が主食として食べられる。
どのような作物が主食として選ばれるかは、それぞれの国や地方の食文化によるところが大きい。ただ、栄養学的な見地から見て、そのいずれもが語義どおりに「主食」たりえるかについては、議論の余地がある。たとえば、エスキモーなど狩猟民族では肉や魚が主食と見なされているが、日本や欧米諸国で通常行われる調理方法で食べているわけではない。彼等は古来より肉や魚をもっぱら生食する習慣があるため、人間の生命維持のために必要不可欠な栄養素の不足が生じないよう、その経験から巧みに回避してきた。
欧米においては、主食という概念があまり存在しないが、現在のような食生活は100年程度の歴史しかない。実際には数百年に渡って小麦・ライ麦・大麦などを主要なエネルギー供給源にしてきた歴史がある。欧米においても一般庶民は、長年にわたってパンとスープのみで毎日の食事をまかなっていたことが知られている。本稿では、これらの国の状況を説明するにあたり、主要なエネルギー源を賄う食物を指す語として「主食」の語を用いる。
酒席や焼き肉料理店などでは、終盤に主食となる料理を別に食べることが一般的である。ほぼ満腹になっていても、主食が出ないと「食事」とならないと考える人が多い事を示している。これは韓国や中国においても同様である。
[編集] 各国の主食
- 日本:昭和期以降、多くの家庭で米が主食であるが、パンや麺を主食とする人もいる。しかし日本の副食は米と相性が良くなるよう味付けされている場合が多い。米は基本的にジャポニカ米の白米、パンであればプレーンである。ポテトは主食にはまったくなり得ていない(ただし、北海道では新じゃがの収穫時期にこれを主食とし、バターやいかの塩辛、『めふん』などのおかずとともに食べることがある)。また主食が出ないことは日本人にとって考えられない、
- 韓国:米(ジャポニカ)と麺が主食でありパンを主食として食べることは日本に比べ少ない。日本と同様副食(主にスープ)と米を同時に食べ、主食は食卓に必ず出る。
- 中国:米が主食であるが、日本・韓国と違い最重要視されるものではない。数十年前までは米は白米であっても副食の一種としてとらえられており、その名残から中華料理においての米は少量であることが多く、また主食が無い場合もある。麺も同様に主食である。
- アメリカ・イギリス・フランス等:様々な人種が混在する米国において平均的な家庭料理の基準を定めることは難しいがヨーロッパがルーツの人々が70%を占めるためパンである場合が多いとされる。ヨーロッパのスーパーには日本とは比べ物にならないほどパンの種類が充実している。また、ステーキなどの肉類料理には主食が無い場合も多い。近隣諸国の影響からパスタ類を主食とする家庭も多く存在する。
- スペイン:基本的に米が主食である。しかし日本・韓国などとは異なりタイ米を使用し何かしら調理された米を食べる(例:バターライス・ガーリックライスなど)また米と一緒に魚介類を調理したパエリアなどが有名。パンももちろん主食の一種。
- イタリア:イタリアの人々はパスタが自分達の主食だと考えているが、パンも多く食べる。グラタン、ラザニア、スパゲッティなどが夕食の食卓に並ぶ。
- トルコ:完全にパン食の国。米、ポテト(主食として)、麺が家庭の食卓に出ることはまず無い。また99%がイスラム教徒であることから豚肉を食べないため海外の料理に比較的排他的な部分もある。
- ドイツ・ロシア・ポーランド等:パンとポテトが主食で均等に食べ分けられている(例:朝食→パン 昼食→ポテト 夕食→パン)米・英・仏などの国と違いこれらの主食は必ず用意される。
- ペルー・ブラジル等:ペルーなど高度が高い国で作物が育ちにくい環境であることから、痩せた土地でも比較的育ちやすいポテトを主食とする。ジャガ芋やタロ芋などが主なポテトである。ブラジルはイベリア半島文化の影響から米を食べる人々も多い。
- インド:米と小麦粉やコーンを加工したパンのようなもの(例:ナンなど)を主食とする。副食としてスープ類が多い為、主食が出ないことはまず無い。
[編集] 関連項目
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