トゥーンレンダリング
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トゥーンレンダリング(Toon rendering)とは、3次元コンピュータグラフィックスにおいて、2次元の手描きアニメーション、あるいは漫画やイラスト風の作画をさせる技術である。 アニメのセル画で行われる影の塗り分けのように、平板で境界線のはっきりした陰影をつけるシェーディング(Shading)を行うことから、トゥーンシェーディング(Toon shading)、あるいはセルシェーディング(Cel shading)とも呼称する。 また、これらの画像処理を実現するために使用されるシェーダーを、トゥーンシェーダー(Toon Shader)、あるいはセルシェーダー(Cel Shader)と呼ぶ。 出来上がった画像は、抽象化・単純化されたものであるが、その生成過程は非常に複雑である。
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[編集] 概要
トゥーンレンダリングは、従来の写実的(フォト・リアリスティック)な映像表現を求めた3次元コンピュータグラフィックスとは正反対の方向性を持っていて、極力手描きのイメージに似せた表現を追求し、抽象化・単純化を目指した技術である。 ポリゴンモデルのシェーディングを行う際に、作画される面の明るさの度合いによって境界線を決定し、一定の範囲内に同じ色の影を作画するよう指定することと、モデルのエッジとなる部分に輪郭線ポリゴンを自動生成することで、擬似的にセル画調の画像を作り出す方法が主流である。 影の部分は、その面の元の色と指定した影の色とを乗算、または減算した色で塗られることになる。 設定次第では輪郭線を省略したり、陰影にグラデーションをつけることも可能であり、イラスト調や絵画調に仕上げることも可能である。
従来の3DCGでは硬質になりがちな人物や動物などを、より万人に親しみやすく表現することができ、また手描きでは難しい多彩なアクションをさせられる、3DCGの利点も併せ持っているため、アニメーション映画やコンピュータゲーム等に多用されている。 写実的なCGにはあまり似つかわしくない、デフォルメが効いたキャラクターを作画させるのにも効果的であり、手描きのアニメーションと3DCGを合成する際に、違和感が少なくなるという利点も持っている。 写実的なCGと比べて細かい部分が省略できることから、より少ないポリゴン数でモデリングする必要がある、リアルタイムレンダリングされるゲームキャラクターにも向いている。 短時間で大量の作画を要求されるテレビアニメや、個人製作のCGアニメーションにおいても、モデリングを省力化できる利点から多用される傾向にある。
その一方で、陰影の付きかたやエッジが予想通りに出るとは限らない面もあり、従来の3DCGとはまた違ったモデリング技術を要求される。 輪郭線の生成アルゴリズムによっては、凹面に輪郭が作れないなどの問題もあり、まだ未完成の技術であるとも言える。
近年の3D描画を行うデバイスの中には、本表現をハードウェア機能として利用可能なものもある。
[編集] トゥーンレンダリングを利用した作品の例
[編集] アニメ
[編集] ゲーム
- 拳獣 ~KENJU~(発売中止)
- ワイルドライダーズ
- ジェットセットラジオ
- ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~
- ゼルダの伝説 風のタクト
- テイルズオブシンフォニア
- ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君
- ドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョン
- ポケットモンスター ダイヤモンド・パール(フィールドのグラフィックに使用されている。戦闘シーンのグラフィックは従来のドット絵)
- THE IDOLM@STER
- トラスティベル ショパンの夢
- METAL GEAR AC!D2
- らぶデス
[編集] 関連項目
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