ディープ・ブルー
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ディープ・ブルー (Deep Blue) はIBMが開発したチェス専用のスーパーコンピュータである。
大学の研究室で生まれたチェス専用スーパーコンピュータ「ディープ・ソート」の研究を引き継ぐ形で、IBMが1989年より開発を開始したもので、ディープ・ソートを破ったチェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフを打ち負かすことを目標とした。
ディープ・ブルーは、32プロセッサー・ノードを持つIBMのRS/6000 SPをベースに、チェス専用VLSIプロセッサを512個を追加して作られた。プログラムはC言語で書かれ、OSはAIXが使われていた。開発チームは、グランド・マスターであるジョエル・ベンジャミンを含めて6名。
1秒間に2億手の先読みを行い、対戦相手となる人間の思考を予測する。予測の方法は、対戦相手(この場合、カスパロフ)の過去の棋譜を元にした評価関数(チェスの手がどのぐらい有効かを導く数式)を用いて、効果があると考えられる手筋すべてを洗い出すというものである。
過去に2回の対戦が行われ、1回目(1996年2月)はカスパロフが3勝1敗2引き分けで勝利、2回目(1997年5月)には使命を果たす形で6戦中2勝1敗3引き分けでディープ・ブルーが勝利した。 現在では解体されてしまっているが、その一部は、国立アメリカ歴史博物館に展示されている。
このディープ・ブルーの使命は、チェスで人間に勝利するというものではあるが、その背景には、より知能的な問題処理能力、高速な計算能力、莫大な量のデータマイニングといった多くの分野に貢献するという目的もあった。実際に、IBMは、この研究を通して得た技術をコンピュータ業界に適用している。
現在では、チェスアルゴリズムの改良およびパソコンの計算能力の向上により、一般消費者向けのチェス対局ソフトが人間のトッププレーヤーに匹敵するようになってきている。
ディープ・ブルーの目的を引き継いで、世界最強のチェスコンピュータを作ろうという試みは、ヒドラ(Hydra)プロジェクトとして進められている。
- なお、「ディープ・ソート」と「ディープ・ブルー」という名の由来は、人生、宇宙、すべての答えを参照。
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