タロット
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タロット(Tarot)は、ヨーロッパでは主として遊戯に、アメリカと日本では主として占い(タロット占い)に使用されるカードのこと。
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[編集] 名称
「タロット」という名称は、直接にはこのカードを意味するフランス語・英語の「Tarot」に由来するが、フランス語では語尾の「T」を発音せず「タロー」の様に発音する。「タロット」の元々の意味は「切り札」である。
因みにイタリア語ではタロッコ(Tarocco)、ドイツ語ではタロック(Tarock)と言う。
[編集] 概要
22枚の寓意画カードから構成される大アルカナと、数字カードおよび人物カード56枚から構成される小アルカナとの、計78枚から構成される。
007シリーズの映画『死ぬのは奴らだ』の中で小道具として使われ、映画用にデザインされたタロットカードが市販されたため、広く世界的に周知されるようになった。
近年では、韓国ドラマ『冬のソナタ』でもタロットを使用するシーンがある。そこではライダー版が使われている。
[編集] 歴史
起源については、神秘主義者や占術家によって、エジプト起源説、ユダヤ起源説、インド起源説などが唱えられてきたが、いずれも信憑性に乏しい。
歴史上辿れる限りでは、15世紀前半の北イタリアで製作されたのが始まりと思われる。当時は、貴族や富豪の為に画家が描いた 手描きの物が主流で、ゲーム用に使用されていたらしい。この頃のタロットは、元来あった数札に、よりゲームを複雑化するための絵札を加えていったものと考えられ、まだ枚数や絵柄なども確定していなかった。現存する最古のタロットは、1484年の日付の入ったもので「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」と呼ばれる。この「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」には、「悪魔」と「塔」の凶札2枚が欠けており、最初から無かったのか、紛失によって欠損したのかは、今でも研究家の間で意見が分かれる。
その後、16世紀頃から木版画の量産品が出回るようになり、徐々に庶民へ、全ヨーロッパへと普及して行った。特にタロットゲームによるギャンブルは盛んで、風紀を乱すという理由からなんども禁止令が出ている。
18世紀頃には、ミラノ辺りでほぼ現在と同じ絵柄、枚数が確立。この当時の絵柄のタロットは、当時一大生産地となったマルセイユにちなみ「マルセイユ版タロット」と呼ばれる。この頃より、タロットを神秘的な物と見る風潮が高まり、ようやく占いに多用されるようになる。クール・ド・ジェブランがエジプト起源説を唱えるなどし、それを受けてエッティラが新解釈の「エッティラ版タロット」を創作し、「タロット=神秘的」というイメージを確立する。
[編集] カバラとタロット
19世紀中盤に、エリファス・レヴィがカバラとの関連を示唆してからは、神秘主義者達によって、カバラの教義を盛り込んだ創作タロットが数多くデザインされた。
この、タロットのカバラ的解釈は、黄金の夜明け団(Golden Dawn)によって整備・確立され、後にこの教義に基づいた多くのオリジナルタロットを産む事となる。 特に人気を集めたのは、黄金の夜明け団(Golden Dawn)の解釈を元にアーサー・エドワード・ウェイトがデザインした「ウェイト版タロット」で、現在の多くの創作タロットの手本となっている。
他に、アレイスター・クロウリーがデザインした「トート・タロット」も、名作とされている。サルバドール・ダリがデザインした、巨大サイズのタロットも存在する。
[編集] カードの種類
大アルカナ(Major Arcana、22枚)と小アルカナ(Minor Arcana、56枚)の2種類があるが、小アルカナはカードゲーム以外では余り使用されないため、市販のカードには大アルカナのみのセットも多い。
[編集] 大アルカナ(22枚)
詳細については大アルカナを参照のこと。
- ※1:「VIII」と「XI」はこれと逆の場合もある。
- ※2:「XIII」は無記名の場合あり。
[編集] 小アルカナ(56枚)
項目小アルカナも参照。以下の4種類に大別され、それぞれ1(エース)~10・ペイジ(Page)・ナイト(Knight)・クィーン(Queen)・キング(King)で構成される。
- ワンド(Wand)
- バトン(Baton)とも。棍棒。トランプのクラブに相当。
- ソード(Sword)
- 剣。トランプのスペードに相当。
- カップ(Cup)
- 杯または聖杯。トランプのハートに相当。
- コイン(Coin)
- ペンタクル(Pentacle)、またはディスク(Disk)とも。金貨又は護符。トランプのダイヤに相当。
[編集] 遊び方
ヨーロッパでは、タロットは現在でも「遊戯」に使用されている。トランプと同じく様々な遊び方があるが、多くのゲームではトランプのトリックテイキングのルールに従う。
大アルカーヌが切り札。(日本式)ナポレオンなどと同じく、ポイントトリックゲームである。
[編集] 関連項目
[編集] 関連作品
以下は「タロットカードを模した(または類似した)アイテム」「タロットの札を由来としたキャラクター」が登場する、または「タロットカードがストーリーの重要アイテムとなっている」作品。
- 『運命のタロット』シリーズ
- おねがいマイメロディ ~くるくるシャッフル!~
- カードキャプターさくら
- ふしぎ占い少女 ちょっとだけ★マーメイド
- 天空のエスカフローネ
- カレイドスター
- 金田一少年の事件簿 タロット山荘殺人事件
- サガフロンティア
- ジョジョの奇妙な冒険Part3 ~スターダストクルセイダース~
- タロットウォーズ
- タロットマスター
- トーキョーN◎VA
- ペルソナシリーズ
- マジカルドロップ
- 遊戯王デュエルモンスターズGX
- 『リリカルタロット占い』シリーズ
[編集] 外部リンク
- WestMira(カードの解説やJavaScriptによる自動鑑定)
- 占いの家(タロット・西洋占星術・ジプシー占いなどを鑑定)
- タロット占いをギリシア十字法で… (自動占いと関連書籍の紹介)
- タロット・カードの「恋人たち」(タロットカードにまつわる古典美術のサイト)
- Tarot Museum
- Tarot History
- Tarot Iconography