セイレーン
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セイレーン (Σειρήν, Seiren) は、ギリシア神話などに登場する西洋の伝説上の生物。ギリシア神話においては上半身が人間の女性で下半身が鳥の姿をしているとされている海の怪物。長音記号省略表記のセイレンでも知られるが、フィクションゲームの影響からか長音記号付き表記も一般的である。複数形はセイレネス(セイレーネス、Σειρῆνες (Σειρη^νες) , Seirenes)。
ラテン語ではシレン(シーレーン、Siren, 複数形セイレネス(シーレーネス、Sirenes))、英語ではサイレン (Siren) 、フランス語ではシレーヌ (Sirènes) 、ドイツ語ではジレーネ (Sirene) 、イタリア語ではシレーナ (Sirena) 、ロシア語ではシレーナ(シリェーナ、Сирена)という。ラテン語による発音変化によって、英語のサイレンの語源になった。
ムーサのメルポメネあるいはテルプシコラ、あるいはステロペと、河の神アケロオスまたは海の神ポルキュスの娘とされ、元々は女神として信仰されていたらしい。2人、3人、あるいは4人であるとされる。カリュブディス付近の島に出現する。
海の航路上の岩礁にいて、美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難、難破させる。歌声に魅惑されて殺された船人たちの死体が島に山をなしたという。オルペウスやオデュッセウスはその歌声に抵抗し通したため、セイレーンたちは怒って海に身を投げた。
ホメロスのオデュッセイア、ゲーテのファウストなどに登場し、怪物としての性格が強まった。後世、人魚、水の精などとしても表現されるようになり、とりわけ世紀末芸術で好まれる画題となった。カンツォーネ「帰れソレントへ」に登場する「麗しのシレン」もこれ。