スー族
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スー族(-ぞく、Sioux)はアメリカ合衆国中西部の北部に住むネイティブ・アメリカンの部族ラコタ族およびナコタ族の別称。ラコタはラコタ語で「友人、仲間」の意。アメリカ大平原に住んだ7部族からなる部族連合の一部をなした。この部族連合では3つの方言が話されたが、それぞれをラコタ語、ダコタ語、ナコタ語という。
現在、ラコタ族はアメリカ大平原のノースダコタ州、サウスダコタ州に住み、ダコタ族はミネソタ州、ネブラスカ州に住む。もっとも人口が少ないナコタ族はサウスダコタ州のヤンクトン居留地に住む。
ラコタ族の人口は19世紀半ばには2万人であったが、現在は約7万人に達する。そのうち4分の一が現在も祖先と同じ言葉を解すると考えられている。
スー族の名はフランス人によって付けられたもので、アルゴンキン語の合成語 Nadouessioux (nadowe(蛇)+ siu (小さい))に由来する。元来は蔑称だったが、今日はアメリカ連邦政府による公式の部族名として使われる。
登録されたスー族のうち約半分が、居留地外に住む。
アメリカの州名のうち、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ミネソタ州、ネブラスカ州がラコタ語に由来する。ミネソタは「済んだ水」、ネブラスカは「平らな水」の意味で、プラット川(フランス語の platte (平ら)に由来する)を意味する。他に、カンザス州、アイオワ州、ミズーリ州が、それぞれ、ラコタ族と近い部族、カンサ族、アイオワ族、ミズーリ族の名に由来する。またネブラスカ州の州都であるオマハ市の名もラコタ語の地名である。このような広範囲に渡るラコタ語由来の地名は、アメリカ中西部におけるラコタ族の地理的広がりをよく表している。