ザリガニ下目
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ザリガニ下目 Astacidea | ||||||||||||
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ザリガニ下目(-かもく・Astacidea)は、エビの分類群の一つ。大きな鋏脚(はさみ)と硬い殻が特徴の分類群である。古い分類では爬行亜目(はこうあもく)、または長尾類(ちょうびるい)という名称も使われる。
目次 |
[編集] 概要
淡水性のいわゆる「ザリガニ」に加え、浅海性のロブスター、深海性のアカザエビなど多くの種類が知られる。日本では各地にアメリカザリガニが生息し、身近な水辺の生き物として知られている。
両目の間に鋭い額角があり、頭胸甲には頭部と胸部を分ける頸溝がある。アメリカザリガニを上から見ると、目の間に額角があり、頭胸甲が「Y」の字に仕切られているのがわかる。
第1胸脚がカニのような大型の鋏脚(はさみ)になっており、第2・第3胸脚にも小さな鋏がある。腹部は6節で構成され、第2-第6節の腹甲では幅広い側甲が腹肢を被っている。
ザリガニ下目はエビ亜目(抱卵亜目)に属し、産卵した卵はメスが腹脚に抱えて保護する。ザリガニ下目は特に大型の卵を少数産み、子どもは卵の中で幼生期を過ごし、成体に近い姿でふ化する「直接発生」を行うグループである。変態をしない直接発生で、プランクトン生活を行なう時期がないことが、流れのある河川の生活へ適応するのに有利に働いたと考えられる。
多くの種類が世界各地で食用に漁獲されるが、日本では淡水性のザリガニ類はまず食用としない。また、淡水性ザリガニ類はサワガニやモクズガニなどと同じく、肺臓ジストマの中間宿主なので、食用にするにはよく加熱するのが原則である。
[編集] 日本のザリガニ類
[編集] 淡水産
固有種のザリガニにアメリカ合衆国より移入した3種の外来種が加わり、2科3種と1亜種(あるいは2科4種)が生息している。なおザリガニ類の体長は、目の後部から尾扇の先端までの長さを示す。
ザリガニ Cambaroides japonicus
- 日本固有種で、他の種類と区別するためにニホンザリガニ、またはヤマトザリガニとも呼ばれる。体長5cmほどで、体はやや上下に平たく、褐色。現在の分布地は北海道と東北地方北部に点在する。河川環境の悪化、移入されたウチダザリガニによる伝染病と捕食などにより、絶滅危惧種となっている。
アメリカザリガニ Procambarus(Scapulicambarus) clarkii
- 体長8cmほどで、体色は赤色-茶色。アメリカ原産だが、移入により世界中に生息する。日本でも全国の河川・池・用水路などに幅広く生息している。もとはウシガエルの餌として1927年(昭和2年)5月12日、神奈川県横浜市に20匹輸入されたものが逃げ出し、全国に分布を広げた。
タンカイザリガニ Pacifastacus leniusculus
- 体長約15cm、体色は濃茶-青みがかった灰色。アメリカ合衆国の太平洋側原産で、日本に移入されたものが滋賀県の淡海湖に生息する。食用としてザリガニ漁も行なわれているが、現在は放流されたオオクチバスによって個体数が激減している。
ウチダザリガニ Pacifastacus trowbridgii
- タンカイザリガニの亜種Pacifastacus leniusculus trowbridgiiとして分類する場合もある。アメリカ合衆国の太平洋側原産で、日本に移入されたものが北海道の摩周湖と阿寒湖およびその周辺に分布する。
[編集] 海水産
日本近海では、2科5種の海水性ザリガニ類が生息している。
アカザエビ Metanephrops japonicus
- 体長20cmほど。体はピンク色で、殻が硬く、鋏脚が細長い。関東から九州までの太平洋側に分布し、水深200-400mほどの深海砂泥底に生息する。近縁種にサガミアカザエビ Metanephrops sagamiensis、ミナミアカザエビ Metanephrops thomsoniがいる。
オキナエビ Nephropsis stewarti
- 体長15cmほど。アカザエビに比べて鋏脚が太く、淡水性のザリガニに似るが、全身に細かい毛が生えているのが特徴。関東から九州までの太平洋側に分布し、水深400-500mほどの深海砂泥底に生息する。
オサテエビ Thaumastocheles japonicus
- 左の鋏脚は短いが、右の鋏脚が細長くとがる。深海の砂泥底に生息する。
[編集] 分類
[編集] ザリガニ上科 Astacoidea
ザリガニ科 Astacidae 約10種
- ウチダザリガニ属 Pacifastacus
- タンカイザリガニ Signal crayfish, P. leniusculus
- (亜種)ウチダザリガニ P. leniusculus trowbridgii(P.trowbridgiiとする場合もある)
アメリカザリガニ科 Cambaridae 約350種
- アメリカザリガニ亜科 Cambarinae
- アメリカザリガニ属 Procambaus
- アメリカザリガニ亜属 Scapulicambarus
- アメリカザリガニ Red swamp crawfish, P.(S.) clarkii
- アジアザリガニ亜科 Cambaroidinae
[編集] ミナミザリガニ上科 Parastacoidea
ミナミザリガニ科 Parastacidae
- 約150種
オカザリガニ科
[編集] アカザエビ上科(ウミザリガニ上科) Nephropoidea
アカザエビ科(ウミザリガニ科) Nephropsidae
- アカザエビ属 Metanephrops
- アカザエビ Japanese lobster, M. japonicus
- ミナミアカザエビ Red banded lobster, M. thomsoni
- サガミアカザエビ Sagami lobster, M. sagamiensis
- オキナエビ属 Netanephrops
- オキナエビ Lobsterette, N. stewarti
- ウミザリガニ属(ロブスター、オマールエビ) Homarus
- ウミザリガニ H. gammarus
- アメリカウミザリガニ American lobster, H. americanus
オサテエビ科 Thaumastochelidae
- オサテエビ属 Thaumastocheles
- オサテエビ T. japonica