キル・ビル Vol.1
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『キル・ビル Vol.1』(Kill Bill: Vol.1)は、2003年のアメリカ映画。ミラマックス配給。
2003年10月10日アメリカ公開。日本公開は10月25日。
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[編集] 概要
- 当初はVol.1と『キル・ビル Vol.2』がひとつの映画になる予定だったが、上映時間が長すぎるということで結局は2本の作品になった。
- 主演のユマ・サーマンが撮影中に妊娠し、撮影が1年ほど延期された。
- 残酷なシーンを廃止させて全年齢指定にした「欧米公開版」と、15歳未満上映禁止・残酷なシーン解禁・オープニングに深作欣二に対して哀悼の意を述べている「アジア公開版(ジャパニーズバージョン・完全版)」があるのが特徴のひとつである。DVDについては、完全版がアメリカで発売されなかったために、一部のファンから反感を買ったといわれる。
- また、登場人物の過去をアニメーションで描いていることも話題を呼んだ。アニメパートを制作したProduction I.Gは、タランティーノから来たオファーを最初は断っていたが、タランティーノの熱意に押されてアニメパートの制作を決めた。こちらのアニメパートは「第9回AMD Award/Digital Contents of the Year '03」で「Best Visual Designer」を受賞している(タランティーノが、I.G制作の『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の大ファンだったため、アニメパートを依頼した)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
妊娠を機に殺し屋家業から足を洗った主人公ザ・ブライドの結婚式場に、元恋人であるビルが4人の部下の殺し屋と共に乱入し、ザ・ブライドはビルと4人の殺し屋によって夫と胎内の娘を殺されてしまう(しかし、娘は生きていた事が後に判明する)。4年間の昏睡状態から目覚めたザ・ブライドは、家族を殺された恨みからビルと4人の殺し屋に対して復讐を決意する。
[編集] スタッフ
- 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
- 制作:クエンティン・タランティーノ、ローレンス・ベンダー
- アニメーションキャラクターデザイン:石井克人、田島昭宇
- アニメーション美術監督:西田稔
- 美術監督:種田陽平
- 武術指導:ユエン・ウーピン
[編集] キャスト
- ザ・ブライド/ブラック・マンバ:ユマ・サーマン
- ビルとその部下らに対し復讐に燃える女。本名が分かるのはVol.2から。コッパーヘッドとの立ち回りや、オーレン石井と対峙した時に本名が語られてはいるが、この時音声は消されている(しかし、空港での航空券に本名が明記されてしまっている)。
- オーレン石井/コットンマウス:ルーシー・リュー
- ビル:デビッド・キャラダイン
- 世界最強の暗殺集団DiVASを従え、殺し屋界の頂点に君臨する男。ブライドの結婚式場を部下と共に襲うように指示した男。顔や虐殺行為の真意が分かるのはVol.2から。
- エル・ドライバー/カリフォルニア・マウンテン・スネーク:ダリル・ハンナ
- 元CIAの碧眼・隻眼の女殺し屋。毒を使った暗殺、だまし討ちが得意。性格は極めて残虐で、ブライドとは自他共に認める犬猿の仲。
- ヴァニータ・グリーン/コッパーヘッド/ジーニー・ベル:ヴィヴィカ・A・フォックス
- ナイフを持たせたら右に出る者はいないと言われる女殺し屋。ブライド昏睡後に殺し屋稼業を辞め、医者と結婚し、娘・ニッキーを生む。
- バド/サイドワインダー:マイケル・マドセン
- ビルの実弟で、DiVAS唯一の男性メンバー。刀の使い手で、ビルから服部半蔵の刀を貰うほどの実力がある。
- 服部半蔵:千葉真一
- GOGO夕張:栗山千明
- オーレン・イシイのボディガードをしている女子高生で、性格は好戦的で冷血。長い鎖で棘付の鉄球を振り回す、「ゴーゴーボール」という武器を使う。短刀にストラップを付けている所が女子高生らしい。高校生ながら車の運転もする。
- ジョニー・モー:リュー・チャーフィー(ゴードン・リュー)
- オーレン・イシイの部下。オーレン・イシイ直下の殺人集団、クレイジー88を指揮する。
- ソフィ・ファタール:ジュリー・ドレフュス
- オーレン・イシイ率いるヤクザのNo.2であり親友でもある、弁護士及び通訳。フランスと日本のハーフ。携帯電話で話している時が多く、教会でのザ・ブライド虐殺の現場でも携帯電話で平然と他人と話すという、クール過ぎる一面を持つ。作中では紺の初期型Z32フェアレディZに乗っている事が多い。
- 半蔵の弟子:大葉健二
- 服部半蔵のマズい寿司屋でずっとお茶くみばかりやらされている男。半蔵が刀を打つときにもちゃんと助手として付き従っている。寿司屋での千葉真一とのやりとりは二人の完全なアドリブ。
- 田中親分:國村隼
- オーレン・イシイが外国人の為に、杯を交わす際に反発しオーレン・イシイに見せしめのために首を切り落とされる。ちなみに切り落とされた首の人形であるが、のちに國村隼自身が持ち帰り首供養したらしい。
- 小澤親分:麿赤児
- 弁田親分:菅田俊
- 小路親分&クレイジー88構成員(2役):北村一輝
- クレイジー88構成員:田中要次
- クレイジー88構成員:真瀬樹里
- クレイジー88構成員:高橋一生
- 青葉屋のママ:風祭ゆき
- チャーリー・ブラウン:佐藤佐吉
- アニメパート/子供時代のオーレン・イシイ(声優):前田愛
- アニメパート/松本親分(声優):楠見尚己
- アニメパート/プリティ・リキ(声優):緑川光
- クレイジー88構成員のひとり:クエンティン・タランティーノ
- 一瞬のため非常に確認しづらいが、倒れている大柄な構成員がタランティーノ自身である。ほかのメンバーが黒髪が多い中彼は濃いブラウンの髪色であるため、頭部に注目しや彫りの深い顔立ちの人物を探すと発見しやすいと思われる。なお、このクレイジー88版タランティーノはフィギュア化もされている。ちなみに緑色の看護師服装をしたタランティーノのスチル写真もあるがこの姿での出番はない。
[編集] エピソード
- 日本が舞台ということで、ユマ・サーマンやルーシー・リューはカタコトの日本語をしゃべっている。特にリューの「ヤッチマイナァ!」という台詞はテレビなどでよく聞くことになった。
- 日本刀での殺陣は服部半蔵役の千葉真一が振り付け・指導した。
- 本作撮影の為に来日したタランティーノに北村一輝が直接出演交渉をして同映画に出演(2役)させてもらった。
- やはり来日した際にTHE 5.6.7.8'Sの生演奏を見て本作で演奏舞台を作りそこで生演奏をさせた。
- 劇中に出てくる「Pussy Wagon」という車はタランティーノの私物。
- 日本では廃刀令がなくなり飛行機内には刀ホルダーがあったり、バイクに刀を差して走行するシーンがある(これについてタランティーノは、本作は自分が10代の頃に見た映画の記憶だけで作った作品であり、実際と比較されても困る、と雑誌のインタビューで語っている)。
- 主要の出演女優にはタランティーノが用意した日本映画を見せて、本作のイメージを理解させた。
- タランティーノの頭の中には、"Vol.2"から10年後の世界を描く"Vol.3"があるという。"Vol.3"は、GOGO夕張の双子の片割れ(本編には登場していない)、ヴァニータ・グリーンの娘ニッキ、暗殺集団のボスになった盲目のエル・ドライバーの話になるとダリル・ハンナは語っている。ちなみに、GOGO夕張の双子の片割れは本編に出演予定で脚本も作られていたが、上映時間の関係上、撮影前に削除された。
- テーマ曲の『新・仁義なき戦い』を利用する際には、作曲者の布袋寅泰に使用の承諾を取りに行ったところ、布袋側から「それなら新曲を作成する」と逆に申し出られた。しかしタランティーノは辞退し、そのまま『新・仁義なき戦い』をテーマ曲として使った。
- クレイジー88構成員役の田中要次は、後にTVドラマ『マイ★ボス マイ★ヒーロー』でユマ・サーマンが着用した服と同じ柄のジャージを着用している。
- タランティーノはLily Chou-Chou(現:Salyu)の『回復する傷』に非常に惚れ込み、同曲を挿入曲に使用した。
- 千葉真一は役名が服部半蔵であることに躊躇したが、監督に押し切られた。
[編集] オマージュ
Vol.1は日本映画へのオマージュが多い。例を挙げると-
- GOGO夕張を演じる栗山千明に、彼女の出演作である『バトル・ロワイアル』のシーンを再現させた。
- GOGO夕張の名はタランティーノが参加し楽しんだという夕張映画祭と、『マッハGoGoGo』からとられた。
- 『修羅雪姫』(梶芽衣子版)を彷彿とさせるシーンやオーレン・イシイの幼少時代のエピソードにジャパニメーションを使った。
- 「オーレン・イシイ」の名は、タランティーノの好きな日本人映画監督がイシイばかり(石井輝男、石井聰亙、石井隆、石井克人)なのと、『影の軍団IV』の登場人物(お蓮)から。
- 梶芽衣子の『修羅の花』を挿入歌、『怨み節』エンディングソングに起用した。
- ブライドがヴァニータを倒したあとに千葉真一のナレーションは『柳生一族の陰謀』のオマージュである。
香港・台湾映画のオマージュも多い。
- オープニングでファンファーレとともに現れるSBのロゴマークは、タランティーノのお気に入りでである香港の映画会社ショウブラザース社のものである。なお、日本では未発売であった同社の映画DVDは『キル・ビル』公開後キングレコードからリリースが決定し、本作品の影響度を証明することとなった。
- ジョニー・モーに扮するゴードン・リューは、かつてショウブラザースの看板俳優であった。
- GOGO夕張の使う武器は、ジミー・ウォング(王羽)主演の『片腕カンフー対空とぶギロチン』に登場する「血滴子(英名:空とぶギロチン)」のオマージュであり、効果音もそのまま使われている。また『片腕カンフー対空とぶギロチン』のオープニングテーマの『NEU!』の曲も劇中で使用されている。
- ショウブラザース社の代表的カルトカンフー映画『五毒拳』は、猛毒を持つ動物の名を冠した武術を使う五人の拳士が主人公である。本作ではこの設定から毒蛇暗殺団が生まれ、また作品中のサウンドエフェクトにも『五毒拳』からの流用が見られる。
- ファイトシーンにもショウブラザースの影響が見られる。ブライドとヴァニータのナイフバトルの元ネタは、カンフー映画『ヴェンジェンス 報仇』、ブライドの床上回転斬りは『新片腕必殺剣』が元ネタである。
- ブライドが着用する黄色いトラックスーツはいうまでもなくブルース・リーへのオマージュである。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 統合依頼 | アメリカ合衆国の映画作品 | 2003年の映画