カンサス (バンド)
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カンサス(Kansas)は、アメリカの代表的なプログレッシヴ・ロック・バンド。カンザスではなくカンサスと呼ぶのが日本では一般的である。1969年にカンザス州でスクールメイトにより結成され、1974年にメジャー・デビューを果たした。
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[編集] バイオグラフィー
1960~70年代にイギリスを中心に隆盛を誇ったプログレッシブ・ロックの影響を大きく受けており、具体的にはジェネシスやEL&Pの影響が見られる。その為「アメリカで最もプログレッシブなバンド」と評されたが、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンドに多く見られる難解さや幻想的感覚は薄く、ブルースを基調とした骨太なサウンドを有している。また、一時期在籍したスティーヴ・モーズがその後ディープ・パープルに加入しているのを見ても分かる通り、プログレッシブ・ロックと呼ばれるバンドの中ではハード・ロック寄りの音楽性を持っており、アメリカン・ロックに多く見られる躍動感や分かりやすさを有している。
リリースしたアルバムの中では、1976年『Leftoverture(永遠の序曲)』と1977年『Point Of Know Return(暗黒への曳航)』の2作が最高傑作とされ、セールス面で見ても最も成功している。さらにこれらのアルバムからは「Carry On Wayward Son(伝承)」や「Dust In The Wind(すべては風の中に)」などのシングル・ヒットも生まれており、こういった最盛期にはアメリカのアルバム・チャート・シーンを度々賑わし、同時期に活躍したジャーニーやスティクスらと共に、アメリカン・プログレ・ハードとして人気をはくしている。ライブ・バンドとしても人気が高く、年間100本以上のライブをコンスタントにこなしていた。
しかし、1980年発表の『Audio Visions』を境に、メンバー・チェンジや音楽性の変化などで失速していく。1983年の『Drastic Measures』発表後に一時解散したが、1986年にアルバム『Power』を発表し再結成された。しかし、再結成後のメンバー構成は流動的で、不安定な状態が続いている。それでも現在も活動中であり、ライブ活動などを精力的にこなしている。
ヴォーカル2人、ギター2人、キーボード2人、そしてドラムス、ベース、ヴァイオリンという斬新なメンバー構成で、デビュー当初から独自の音楽性を展開した。メンバーの中に、ロックとしては少数派であるヴァイオリニストがレギュラー構成で在籍しているのが音楽性の面で大きな特徴といえる。曲作りではハード・ロック指向の強いスティーヴ・ウォルシュと、プログッシブ・ロック指向が強いケリー・リヴグレンの2人が中心で、そのライバル関係と音楽性の相違から生まれる緊張感の中で優れた楽曲を生み出し、70年代後半に黄金時代を築いた。なお、全体的なサウンド面では、ドラマーのフィル・イハートが中心となりカンサスの看板を守ってきた。
[編集] 歴代メンバー
オリジナルメンバー
- スティーヴ・ウォルシュ Steve Walsh - Vocals & Keyboards
- ケリー・リヴグレン Kerry Livgren - Keyboards & Guitars
- フィル・イハート Phil Ehart - Drums
- ロビー・スタインハート Robby Steinhardt - Violins & Vocals
- リチャード・ウィリアムス Richard Williams - Guitars
- デイヴ・ホープ Dave Hope - Bass
途中加入のメンバー
- ジョン・エレファンテ John Elefante - Vocals & Keyboards
- スティーヴ・モーズ Steve Morse - Guitars ※現在はディープ・パープルに加入
- ビリー・グリアー Billy Greer - Bass & Vocals
[編集] ディスコグラフィー
- 1974 カンサス・ファースト・アルバム Kansas (全米174位)
- 1974 ソング・フォー・アメリカ Song For America (全米57位)
- 1975 仮面劇 Masque (全米70位)
- 1976 永遠の序曲 Leftoverture (全米5位)
- 1977 暗黒への曳航 Point Of Know Return (全米4位)
- 1978 偉大なる聴衆へ Two For The Show (全米32位)
- 1979 モノリスの謎 Monolith (全米10位)
- 1980 オーディオ・ビジョンズ Audio Visions (全米26位)
- 1982 ビニール・コンフェッション Vinyl Confessions (全米26位)
- 1983 ドラスティック・メジャーズ Drastic Measures (全米41位)
- 1984 ベスト・オブ・カンサス The Best Of Kansas (全米154位)
- 1986 パワー Power (全米35位)
- 1988 イン・ザ・スピリット・オブ・シングス In The Spirit Of Things (全米114位)
- 1992 ライブ・アット・ザ・ウイスキー Live At The Whisky
- 1994 伝承 The Kansas Boxed Set
- 1995 フリークス・オブ・ネイチャー Freaks Of Nature
- 1998 オールウェイズ・ネバー・ザ・セイム Always Never The Same
- 2000 サムホエア・トゥ・エルスホエア Somewhere To Elsewhere
- 2002 デヴァイス・ヴォイス・ドラム Device, Voice, Drum
- 2004 Sail On: The 30th Anniversary Collection 1974-2004