オロチョン族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オロチョン族(Orochon,Oroqin、漢字表記・鄂倫春)は、アルタイ諸語系の言葉を話すツングース系の民族。主に北東アジアの興安嶺山脈周辺で中国領内の内モンゴル自治区、ロシア領内に居住する。人口は約7千人。もともとは狩猟をしながら移住していたが、現在は定住化がすすんでいる。
この民族の代表的な生業は、肉・内臓・血の食用・飲用や皮革採取目的のアカシカ(馬鹿(ばろく、マールー))、ノロ、ハンダハン(マンシュウエルクジカ、ヘラジカの亜種)などのシカ類、リスなどの狩猟であり、狩猟時の移動と荷物運搬の手段は主に馬である。シャーマニズムを信仰し、シラカバの樹皮を加工した工芸品が知られている。こうした伝統文化は、ロシアではソビエト連邦時代、中国では文化大革命時には一時途絶えていたが、ロシアではその体制崩壊により、少しずつ復興されつつあり、中国では文革後かなり古くからそのような伝統文化が保護・奨励されている。
伝統的な住居は、比較的細いシラカバなどの幹の柱を何本も組んでその外部をシカ類などの毛皮で覆った円錐形の天幕式住居だが、定住化が進んだ現在では、日常的には近隣の漢族やロシア人と同様の住居で生活し、泊まり掛けの狩猟の際に山野で臨時に設けるのみである。このような天幕式住居はエヴェンキも伝統的に製作・使用してきた。
「オロチョン」とは、「峰の上に住む人々」「トナカイを飼う人々」という意味だが、アイヌ語では「勇敢な」という意味になり、そこから派生して、日本神話に登場する「ヤマタノオロチ」はオロチョン族に関係するという説が生じた。
射撃に優れることから、満州国軍の特殊部隊として組織された逸話がある。。
北海道網走市ではオロチョンの火祭りが行われているが主体はアイヌで、語呂のよさから「オロチョン」の呼称が用いられているだけで、この民族とは関係がない。味噌ラーメンを唐辛子で辛く味付けした、「オロチョンラーメン」というものもあるが、無論無関係である。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 北東アジアの民族 | 中華人民共和国の民族 | ツングース