エノラ・ゲイ
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エノラ・ゲイ (Enola Gay) は、第二次世界大戦時に使用されたアメリカ軍のB-29長距離通常爆撃機の機名。機体番号44-86292。
[編集] 概要
1945年8月6日午前8時15分(実際は午前8時14分)に広島に原子爆弾リトルボーイを投下したことで知られる。また8月9日の長崎への原爆投下の際にも小倉の天候観測機として参加している。エノラ・ゲイの名は当時機長だったポール・ティベッツ大佐(Paul Warfield Tibbets Jr.) の母親、エノラ・ゲイ・ティベッツ (Enola Gay Tibbets) の名前からとったもの。このことについて、本来の44-86292号機機長であったロバート・A・ルイス大尉(原爆投下任務時は副機長を務めた)は不快感を示したという。
エノラ・ゲイはB-29爆撃機の中で原爆投下用の改造(シルバープレート形態と呼ばれる)が施された15機のうちのひとつである。
[編集] スミソニアン博物館展示騒動
エノラ・ゲイは戦後退役し解体保存されていた。 1990年代半ば、スミソニアン航空宇宙博物館側が原爆被害や歴史的背景も含めてレストア中のエノラ・ゲイの展示を計画した。この情報が伝わると米退役軍人団体などから抗議の強い圧力がかけられた。その結果、展示は原爆被害や歴史的背景を省いた規模が縮小したものとなった。この一連の騒動の責任を取り、館長は辞任した。 このスミソニアン航空宇宙博物館での公開には、原爆被害や歴史的背景の説明がない展示方法には批判もある。
その後、スミソニアン航空宇宙博物館の別館となるスティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター(ワシントン・ダレス国際空港近郊に位置)が完成したことにより現在はその中で公開されている。