アッグシリーズ
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アッグシリーズは、アニメ『機動戦士ガンダム』において、未登場ではあったが設定上存在する架空の兵器群。アッグ、アッグガイ、ジュアッグの3種を指す。本記事ではアッグシリーズと同様に扱われる事の多いゾゴックも合わせて取り扱う。
型式番号からいずれも水陸両用モビルスーツに分類されているが、その武装や運用方法から見ても純粋にジャブロー攻略の目的にのみ開発されたものであり、海域をはじめとした水中での運用は基本的に考慮されていない。各機体に役割が分担されており、アッグにより進入路を切り開き、ジュアッグによる後方からの砲撃後、アッグガイ・ゾゴックによる白兵戦に持ち込むという運用が計画されていた。しかし、これらの機体が投入される前にジャブロー進入路を発見(少数がひっそりと投入されたともいわれている、いずれにせよ目立った戦果を残してはいない)、攻略作戦が発動された。ジオン軍によるジャブロー攻略は失敗に終わった上、戦局が宇宙に移ったため、結果としてこれらの機体はジャブロー攻略には用いられなかったといわれる。
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[編集] アッグ
アッグ (ACG) は、ジオン公国軍がジャブロー攻略のために開発した試作型モビルスーツ(型式番号:EMS-05)。
[編集] 機体解説
南米の天然鍾乳洞を利用して固い岩盤に守られているジャブローを地下から掘削して侵攻するために、頭部にレーザートーチ、両肩部にカッター、両腕部分にドリルを装備している。掘削の際には背面バックパックと脚部後ろのスラスターの大推力で掘削装備を前面に力押しする形で運用されたとみられる。水中での運用は考慮されておらず、脚部のホバークラフトユニットを利用して水上を滑走し、目的地に到達する。
基本的には作業用の機体であり戦闘用ではないが、ジャブロー戦後掘削の必要がなくなった為、オプションとして頭部及び腕部に4連装ミサイルランチャーを装備し実戦に投入された機体が存在したという説もある。
[編集] 劇中での活躍
『機動戦士ガンダム』を始めアニメ本編には登場していない(29~31話に登場する為に設定された)が、短編小説集『ガンダムNOVELS 閃光となった戦士たち』に収録されているエピソード「ジャブローの大地に」ではウィル・ラバン曹長が新たに搭乗する機体としてアッグが登場。そのあまりにも奇抜なフォルムにたじろぐが、メカニックにそそのかされてジャブロー攻略にのぞむことになる。しかし、攻略戦から2日後に岩盤にドリルがつかえてオーバーヒートを起こし、頓挫したところを連邦軍に発見されている。
[編集] アッグガイ
アッグガイ (AGGUY) は、ジオン公国軍がジャブロー攻略のために開発した試作型モビルスーツ(型式番号:MSM-04N)。
[編集] 機体解説
アッガイの試作案のうち、最終案まで残ったものをジャブロー攻略用に再設計した機体。機体各所にシーリングがされているが主に湿地での使用を目的としている。 白兵戦用の機体であり、腕部に2本ずつヒートロッドが装備されている。昆虫の複眼のようにも見える巨大なモノアイが特徴であり、巨大化した頭部にはバルカン砲を2門装備する。また、腕部をアイアンネイルに換装した機体も存在しており、格闘戦には高い能力を持ち、水中能力は低い。とされるが、巨大な翼状の頭部や触手状のロッドを曲面主体のアッガイのボディに組み合せたシルエットは整流効果が高く、アッガイと同程度には水中での性能が出せたと思われる(ただし機体数が少なく実際に水中で稼動させた機体が存在したかは定かではない)。
[編集] 劇中での活躍
『機動戦士ガンダム』本編には登場しなかった(29~31話に登場する為に設定された)が、『機動戦士ガンダムΖΖ』においてスタンパ・ハロイ所有のモビルスーツとして登場。ヒートロッドを使うが電撃は使わなかった(元々コレクションであったため、四本のロッドを起動するだけの出力がなかったのかもしれない)、その巨大なモノアイにバズーカの攻撃を受け、破壊されている。
[編集] ジュアッグ
ジュアッグ (JUACG) は、ジオン公国軍がジャブロー攻略のために開発した試作型中距離支援用モビルスーツ(型式番号:MSM-04G)。
[編集] 機体解説
アッグによって切り開いた侵攻ルートを通じて砲撃を行い、 アッグガイ、ゾゴックの支援を行うことを目的とする。アッガイの試作案を転用して開発され、装甲が強化されたため重量が増加している。武装は両腕部の320mm 3連装ロケットランチャーのみである。胴体に4箇所ある開口部はどのような役割をするかは明らかにされていない。通常兵器の携行や単独での格闘戦に対応すべく、右腕をゾゴックと同様のマニピュレーターに換装した機体が存在したという説もある。しかし、砲戦用MSのため水中用に向かなかった、水中で稼動出来たとは思われるが、水密性がザクよりマシという程度だっただろう。
[編集] 劇中での活躍
『機動戦士ガンダム』を始めアニメ本編には登場していない(29~31話に登場する為に設定された)が、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』のオープニングムービーにて登場している。
コミックボンボンに掲載された、ストリームベース製作のジャブロー大ジオラマに本機とアッグガイ、アッグ、ゾゴックが各一機ずつ参戦している(テレビで確認出来なかった機体は他に旧ザクが参戦している、ジャブロー攻略戦に参加していないという設定は後年作られたものである)。
[編集] ゾゴック
ゾゴック (ZOGOK) は、アッグシリーズと共に開発された試作型水陸両用モビルスーツ (型式番号:MSM-08)。
[編集] 機体解説
一年戦争時、地球連邦軍の総司令部であったジャブローを攻略すべく製作されたアッグシリーズのMSと共同で戦う事を想定して開発された。水陸両用モビルスーツとしては異例の高い陸戦性能を示したズゴックをベースに更に陸戦を重視して設計された。 格闘性能を重視され、頭部に10基、および腹部にブーメラン状のワイドカッターと、アームパンチと呼ばれる伸縮式のアームを装備している。しかし、クロータイプのズゴックやアッガイなどと比べると水の抵抗による破壊力の低減などが問題になり、陸戦用としても水中戦用としても中途半端な機体になってしまった。腹部のワイドカッターは後年ダクトとして解釈され(ジオノグラフィのフィギュアなど)る事がある。これは腹部のカッター射出機構が使い物にならず、代わりにカッターに似たダクトのジェネレーターを積載したとも考えられる。
[編集] 劇中での活躍
『機動戦士ガンダム』本編には登場しなかった(29~31話に登場する為に設定された)が、『機動戦士ガンダムΖΖ』においてスタンパ・ハロイ所有のモビルスーツとして登場。その特徴的な武器を用いる間もなく踏み台にされている。
[編集] ゲームでの活躍
- プレイステーション用ゲーム「ギレンの野望 ジオンの系譜」において、アッグシリーズのみでジャブロー制圧を試みる「ジャブロー潜入作戦」を実行することが出来る。しかしゲーム中でのシリーズの性能が高いとは言えない上、シリーズ以外のモビルスーツ・戦艦などは一切作戦に参加できないため、難度はとても高い。
- Wii用ゲーム「SDガンダム スカッドハンマーズ」において、アッグのみが登場。更にはサイズもMA級の大きさで登場している。アッグの登場にアムロ・レイは「父親と同じ考えの人がジオン軍にもいるんだ」と感動していた。また、マ・クベがドムの手配が間に合わなかった為にランバ・ラルに左腕がロケットランチャーに変換され、青く塗装されたランバ・ラル専用アッグも登場する。ランバ・ラルはこれがドムだと思っている。
[編集] 関連項目
- モビルスーツバリエーション - アッグシリーズ、及びゾゴックが『機動戦士ガンダム』本編に未登場ながら設定として存在する理由については、こちらの記事を参照。
- ガンダムシリーズの登場機動兵器一覧