阪堺電気軌道上町線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
上町線(うえまちせん)は、大阪府大阪市阿倍野区の天王寺駅前駅から同市住吉区の住吉公園駅までを結ぶ阪堺電気軌道の路線である。
目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
天王寺駅前~住吉公園間の系統と、天王寺駅前~我孫子道間の系統が交互にそれぞれ昼間12分間隔(天王寺駅前~住吉間では両系統あわせて6分間隔)で運行されている。後者の系統は住吉駅から阪堺線に乗り入れる。
[編集] 歴史
上町線は馬車鉄道が始まりである。四天王寺と住吉大社への参詣客輸送を目的として、1900年に大阪馬車鉄道が天王寺西門前~東天下茶屋間を開業させた。南海鉄道合併後の1910年には電化して電車の運転を開始した。
大阪市では市営モンロー主義を打ち出し、市内中心部の交通は公営で行う方針をとっていたが、資金不足で着手できない大阪市電路線の建設資金を提供してもらうことで、市電への乗り入れを認めていた。これにより南海鉄道は大阪市と軌道共用契約を結び、1911年から大阪市電への直通運転を始めたが、翌年市電の運賃制度が変更され契約継続に困難が生じたため、直通運転は廃止されている。なお、大阪市は軌道共用契約を南海以外の私鉄とも結んでいたが、実施されたのは南海上町線だけである。 1921年には天王寺西門~天王寺駅前間が大阪市に譲渡され、大阪市電の路線網に組み込まれた。
その後、近畿日本鉄道、南海電気鉄道を経て1980年に阪堺線とともに阪堺電気軌道として分離された。
- 1900年9月20日 大阪馬車鉄道が天王寺西門前~東天下茶屋間を開業。
- 1900年11月29日 東天下茶屋~上住吉(現在の神ノ木)間が開業。
- 1902年12月27日 上住吉~下住吉(のちの住吉神社前、現在の住吉)間が開業。
- 1907年3月29日 大阪電車鉄道と改称、同年10月29日に浪速電車軌道と改称。
- 1908年2月1日 電化工事のため全線廃止。
- 1909年12月24日 南海鉄道が浪速電車軌道を合併。上町線となる。
- 1910年10月1日 天王寺西門前~住吉神社前間で電車の運転を開始。
- 1911年1月29日 大阪市電の天王寺西門前~谷町六丁目間へ直通運転開始。
- 1911年8月20日 大阪市電への直通運転区間を天満橋まで延長。
- 1912年1月12日 大阪市電への直通運転を廃止。
- 1913年7月2日 住吉神社前~住吉(現在の住吉公園)間が開業。
- 1921年12月24日 天王寺西門~天王寺駅前間を大阪市へ譲渡。
- 1944年6月1日 関西急行鉄道と南海鉄道が合併して近畿日本鉄道が成立。南大阪線と共に天王寺営業局の所属となる。
- 1947年6月1日 旧・南海鉄道の路線を南海電気鉄道に分離譲渡。同社大阪軌道線の一路線となる。
- 1980年12月1日 阪堺電気軌道に分離譲渡。
大阪市営地下鉄谷町線が天王寺以南に延伸される前頃に、交通渋滞が激しいあべの筋を走る併用軌道区間、天王寺駅前~松虫間の地下化計画が示されたことがあるが、その後立ち消えになっている。モ601形(旧モ121形の車体更新車)、モ701形(新造車)車両は、地下線走行も可能な構造になっているといわれている。大阪市が進めている「阿倍野再開発計画」の完成予想図からは、地下化されることを意味しているのか、あべの筋を走る阪堺電気軌道上町線が消えている。
[編集] 駅一覧
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
天王寺駅前駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:大阪環状線・関西本線(大和路線)・阪和線(天王寺駅) 近畿日本鉄道:南大阪線(大阪阿部野橋駅) 大阪市営地下鉄:御堂筋線・谷町線(天王寺駅) |
大阪府 | 大阪市阿倍野区 |
阿倍野駅 | 0.5 | 大阪市営地下鉄:谷町線 | ||
松虫駅 | 1.2 | |||
東天下茶屋駅 | 1.6 | |||
北畠駅 | 2.3 | |||
姫松駅 | 2.7 | |||
帝塚山三丁目駅 | 3.1 | 大阪市住吉区 | ||
帝塚山四丁目駅 | 3.4 | |||
神ノ木駅 | 3.8 | 南海電気鉄道:高野線(住吉東駅) | ||
住吉駅 | 4.4 | 阪堺電気軌道:阪堺線 | ||
住吉公園駅 | 4.6 | 南海電気鉄道:南海本線(住吉大社駅)※阪堺線住吉鳥居前駅と近接(徒歩1分)。ただし乗り換え指定駅とはなっていない。 |