大阪市営地下鉄谷町線
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谷町線(たにまちせん)は、大阪府守口市の大日駅から大阪市内を経て大阪府八尾市の八尾南駅までを結ぶ大阪市営地下鉄の路線。正式名称は高速電気軌道第2号線、大阪市交通局では大阪市高速鉄道第2号線と称し、鉄道要覧では2号線(谷町線)と記載されている。ただし、建設順では戦中に開通した3号四つ橋線、1960年代に開通した4号中央線に続いて4番目で、1960年代後半~1980年代前半に建設された。
大阪市中心部では、沿線に官庁街や寺院の多い谷町筋の地下を走る。地上区間は八尾南駅付近のみ。ラインカラーは高僧の袈裟の色に由来する京紫(紫、ロイヤルパープル)。
なお、東梅田駅と梅田駅・西梅田駅の間を同一駅による乗り換えとみなせば(運賃制度上は同一扱い。ただし乗り換え扱いは東京メトロと同様に30分以内とされ、それを超えると別途運賃が必要となる)、大阪市交通局の全ての地下鉄路線との乗り換えが可能である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(実キロ):28.1km(営業キロ(運賃計算キロ)では28.3km)
- 軌間:1435mm
- 駅数:26駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線電化(直流750V・第三軌条方式)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:70km/h
運賃計算には、東梅田~天王寺間のキロ数が御堂筋線梅田~天王寺間と同じになるよう調整された営業キロに対応する区数を用いる。
[編集] 運行形態
大日~八尾南間と都島~文の里間の2つの運転系統がある。朝夕ラッシュ時には喜連瓜破を発着する系統もある。都心を貫通し、また距離が長いことから急行を運転することが計画されたが、実現には至っていない。
[編集] 車両
合計編成246両が在籍する。
[編集] 歴史
- 1967年(昭和42年)3月24日 2号線 東梅田~谷町四丁目間(3.5km)が開業。
- 1968年(昭和43年)12月17日 谷町四丁目~天王寺間(3.8km)が開業。
- 1969年(昭和44年)12月6日 谷町線と愛称が決まる。
- 1970年(昭和45年)4月8日 大阪市北区の谷町線延伸工事現場でガス爆発(天六ガス爆発事故)。
- 1974年(昭和49年)5月29日 都島~東梅田間(3.1km)が開業。
- 1977年(昭和52年)4月6日 守口~都島間(5.4km)が開業。
- 1980年(昭和55年)11月27日 天王寺~八尾南間(10.5km)が開業。
- 1983年(昭和58年)2月8日 大日~守口間(1.8km)が開業し全通。
- 1997年(平成9年)8月29日 関目駅を関目高殿駅に、四天王寺前駅を四天王寺前夕陽ヶ丘駅に改称。
- 2003年(平成15年)12月15日 平日ダイヤの始発から9時まで女性専用車両導入。
- 2004年(平成16年)1月 かつてベルが鳴っていた駅に発車メロディ採用。
- 2004年(平成16年)8月28日 駅構内放送を更新。全駅に発車メロディ採用。
※上記のキロ数は実キロ
[編集] 延伸計画
大日駅から北へ府道13号京守線の地下を通りJR京都線高槻駅・阪急京都線高槻市駅付近まで、また八尾南駅から南へ羽曳野・富田林方面まで延伸する計画があったが、1989年に運輸政策審議会答申第10号で示されて以来、全く建設の目途はたっていない。この計画を実現しようとするならば、市外区間が長くなることから大阪府や現地の各自治体の協力が必要となる。また、御堂筋線江坂駅以北の北大阪急行電鉄の事例のように、新たに第三セクターの鉄道会社を設立するなどの措置も必要となってくる可能性もある。
[編集] その他
- 1927年に立てられた当初の計画では東梅田駅は御堂筋線梅田駅構内に乗り入れる予定であった。大国町駅の御堂筋線と四つ橋線の関係のように、御堂筋線との連絡を便利にする予定であった。梅田駅には谷町線用のトンネルも掘られたが、後に現行ルートに計画が変更されたため長らく放置され、1989年に梅田駅の混雑解消のため同駅南行きホームに転用された。
- 当路線のトンネル工事で大阪の地下水脈は大きく変化し、多くの大阪の名水が枯れてしまうという影響を及ぼした。また1970年に天神橋筋六丁目で地下鉄工事で大規模なガス爆発事故(天六ガス爆発事故)が発生し、多数の死傷者を出したために、工事が大幅に遅れていた。
- 大日から八尾南の手前までトンネルが連続しており、八尾南開業から長い間日本の地下鉄トンネルとしては最長であった(八尾南開業当時は世界的に見ても上位)。都営地下鉄大江戸線が全通してその座を譲り、その後埼玉高速鉄道線+東京メトロ南北線(浦和美園と東川口の間~目黒と不動前の間)と名古屋市営地下鉄名城線+名港線(全線)にも抜かれて現在は日本では第4位である。
- 関目高殿駅、四天王寺前夕陽ヶ丘駅、喜連瓜破駅などと他線区に比べ複合駅名が多い。特に、後で開業した大日~都島間と天王寺~八尾南間では顕著である。これは駅の立地が複数の町の境目にあり、四天王寺前夕陽ヶ丘駅では深刻な対立になったためである。なお前者の2つの駅に関しては1997年になって今の駅名に改称されたが、改称される前でも自動放送では「四天王寺前(夕陽ヶ丘)」や「関目(高殿)」と案内されていた。
- 東梅田駅を御堂筋線梅田駅と同一とみなせば、梅田~天王寺間は、御堂筋線のバイパスにもなるものの、やはり東梅田駅は梅田駅と離れていること、また谷町線と御堂筋線の天王寺駅同士も離れているため、四つ橋線西梅田~大国町間とは異なりバイパスの役割を担っているとは言い難い。御堂筋線の混雑緩和のために谷町線での急行運転が検討されたこともあったが、通過となる地元からの反対を恐れて検討中止となった。
- 工場検査や管理班も御堂筋線・四つ橋線とは異なるグループであり、どちらかといえば車両面などでは中央線との結び付きが強い。
- 利用者数は、御堂筋線の半数以下であるものの、中央区東部にある官庁街を通ることや天王寺付近などで学校が多いこともあり、大阪市営地下鉄で2番目に多い。
- 1976年からは全列車が6両編成で運行されている。御堂筋線ほどではないが昼間でも混雑しやすい。ホームは全駅8両編成に対応している。
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
T11 | 大日駅 | - | 0.0 | 大阪高速鉄道:大阪モノレール線 | 守口市 | |
T12 | 守口駅 | 1.8 | 1.8 | |||
T13 | 太子橋今市駅 | 1.2 | 3.0 | 大阪市営地下鉄:■今里筋線(I14)(2006年12月24日開業予定) | 大阪市 | 旭区 |
T14 | 千林大宮駅 | 1.0 | 4.0 | |||
T15 | 関目高殿駅 | 1.1 | 5.1 | |||
T16 | 野江内代駅 | 0.8 | 5.9 | 西日本旅客鉄道:大阪外環状線(野江駅・2012年春開業予定) | 都島区 | |
T17 | 都島駅 | 1.3 | 7.2 | |||
T18 | 天神橋筋六丁目駅 | 1.3 | 8.5 | 大阪市営地下鉄:■堺筋線(K11) 阪急電鉄:千里線 |
北区 | |
T19 | 中崎町駅 | 0.8 | 9.3 | |||
T20 | 東梅田駅 | 1.0 | 10.3 | 大阪市営地下鉄:■御堂筋線(梅田駅:M16)、■四つ橋線(西梅田駅:Y11) 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR京都線・JR神戸線・JR宝塚線)・大阪環状線(大阪駅)、JR東西線(北新地駅※) 阪神電気鉄道:本線(梅田駅) 阪急電鉄:神戸本線・宝塚本線・京都本線(梅田駅) |
||
T21 | 南森町駅 | 1.2 | 11.5 | 大阪市営地下鉄:■堺筋線(K13) 西日本旅客鉄道:JR東西線(大阪天満宮駅) |
||
T22 | 天満橋駅 | 1.8 | 13.3 | 京阪電気鉄道:京阪本線・中之島線(2008年度末開業予定) | 中央区 | |
T23 | 谷町四丁目駅 | 0.9 | 14.2 | 大阪市営地下鉄:■中央線(C18) | ||
T24 | 谷町六丁目駅 | 1.0 | 15.2 | 大阪市営地下鉄:■長堀鶴見緑地線(N18) | ||
T25 | 谷町九丁目駅 | 0.9 | 16.1 | 大阪市営地下鉄:■千日前線(S18) 近畿日本鉄道:大阪線・難波線(上本町駅) |
天王寺区 | |
T26 | 四天王寺前夕陽ヶ丘駅 | 0.8 | 16.9 | |||
T27 | 天王寺駅 | 0.9 | 17.8 | 大阪市営地下鉄:■御堂筋線(M23) 西日本旅客鉄道:大阪環状線・関西本線(大和路線)・阪和線 近畿日本鉄道:南大阪線(大阪阿部野橋駅) 阪堺電気軌道:上町線(天王寺駅前駅) |
||
T28 | 阿倍野駅 | 1.5 | 18.4 | 阪堺電気軌道:上町線 | 阿倍野区 | |
T29 | 文の里駅 | 1.1 | 19.5 | |||
T30 | 田辺駅 | 1.0 | 20.5 | 東住吉区 | ||
T31 | 駒川中野駅 | 1.0 | 21.5 | |||
T32 | 平野駅 | 0.7 | 23.2 | 平野区 | ||
T33 | 喜連瓜破駅 | 1.4 | 24.6 | |||
T34 | 出戸駅 | 1.3 | 25.9 | |||
T35 | 長原駅 | 1.2 | 27.1 | |||
T36 | 八尾南駅 | 1.2 | 28.3 | 八尾市 |
※東梅田駅ではJR東西線北新地駅との乗り換えには12分程度かかる。JR東西線との乗り換えは南森町駅の方が便利。