管弦楽法
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管弦楽法(かんげんがくほう)とは、オーケストラ(管弦楽)の楽譜を書くための技法のことである。
オーケストラに限らずさまざまな楽器編成のアンサンブルの楽譜を書くことを「オーケストレーション(Orchestration)」という。管弦楽法とはそのための技法のことである。また、管弦楽法のことを「オーケストレーション」ということがある。「オーケストレーション」の語には管弦楽法の意味が含まれるからである。
オーケストレーションにあたっては、単に演奏できればいいというだけでなく、演奏や練習がなるべく容易でありながら作曲者や演奏者の意図が十分かつ効果的に伝えられることも求められる。
目次 |
[編集] 管弦楽法の要素
管弦楽法は主として、楽器法と編曲法に分けられる。また、それらを支える基礎技法が必要である。その他、様々な作曲家のスコアを分析することも推奨される。
[編集] 基礎技法
管弦楽法の基礎技法として、
が挙げられる。
[編集] 楽器法
オーケストラに使われる各楽器についての知識である。
[編集] 編曲法
旋律を複数の楽器がユニゾンやオクターブでなぞるときの効果について、また、和声学的にさまざまな声部を組み合わせるときの方法についての知識である。
- 楽器編成
- 楽器の組み合わせ
- セクションごとの合奏の特質
- 弦楽合奏
- 木管合奏
- 金管合奏
- それらの組み合わせ
- 旋律奏と伴奏
- オーケストラの様々な習慣についての知識 - オーケストラは多くの人間の集まりである。オーケストラを効率よく運営するための様々な習慣がある。そのことを無視してオーケストレーションは成り立たない。
- オーケストラの中の独唱・合唱について
[編集] 管弦楽法の歴史
[編集] バロック
管弦楽法の歴史は、オーケストラの歴史と同じだけ古いのであるが、初期のオーケストラの楽譜は、混声合唱の各パートの音を、適した高さのでる楽器に割り当てる、というような単純なものであった。
次第に、弦楽合奏で和声の声部(混声合唱の各パートに相当)を演奏し、管楽器は比較的自由に旋律を演奏するというようなことが始められる。ただし、初期古典派の時代までは弦楽合奏で必ずしも和声を十分に押さえていなかったので、チェンバロなどによって和声をしっかりと押さえることが行われていた。これを通奏低音という。
[編集] ドイツ古典
18世紀末、ハイドン・モーツァルトの時代になって、徐々に通奏低音の用いられない管弦楽が演奏されるようになってくる。また、クラリネットがオーケストラで定席を占めるようになり、現在の通常のオーケストラの最小編成である「二管編成」が整うことになる。この時代の金管楽器と打楽器(この時点ではティンパニ)はまだ音量の増幅に主眼があった。
ベートーヴェンは…stub
この書法はさらに、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームスによって受け継がれた。
20世紀初頭の新古典主義音楽では、この時代の初期の管弦楽法が模倣された。そのようなものとして、プロコフィエフの古典交響曲がよく知られている。
[編集] ベルリオーズ
最初の管弦楽法の大家は、19世紀初頭のベルリオーズである。ベルリオーズは楽器と楽器の組み合わせによって新しい音色を生み出すことに目を向けた。
[編集] ワーグナー
次にワーグナーが登場する。彼は、管弦楽を巨大に拡張した。特に金管楽器を4つのセクションに分け、それぞれのセクションが充実した和声を出すことができるようにした。
[編集] リムスキー=コルサコフ
リムスキー=コルサコフは、色彩的な管弦楽法の大家である。[1] その作品もさることながら、著書『管弦楽法原理』が後世の作曲家に与えた影響は多大であり、その中にはラヴェル、ドビュッシーなども含まれる。リムスキー=コルサコフによって、管弦楽の全ての楽器が対等な地位を得るに至ったとされる。
直弟子であったレスピーギやストラヴィンスキーも、それぞれが管弦楽法の大家として知られる。特に、ストラヴィンスキーはリムスキー=コルサコフの理論を受け継ぎつつも、『火の鳥』『ペトルーシュカ』などにおいてさらに色彩的な技法を開拓し、これらを『春の祭典』によって昇華させた。
[編集] ラヴェル
管弦楽法における最大の大家とされるのが、ラヴェルである。ラヴェルの管弦楽法は合理的であり、模範的な管弦楽法とされている。
ラヴェルは、『ボレロ』においては音色の組み合わせを徹底的に追求し、管弦楽から全く新しい音色を得ることに成功した。『展覧会の絵』においてはピアノ曲を見事に管弦楽曲へと翻訳した。
[編集] 近代
ドビュッシーはひとつひとつの楽器の特性を十分に生かすことに主眼を置き、新たな音響を作り出した。
[編集] 現代
シュトックハウゼンは、3つのオーケストラが同時に演奏する『グルッペン』を作曲した。 stub
[編集] 楽器
以下、管弦楽の各楽器に関する概説を述べる。詳細は各楽器の記事を参照のこと。
[編集] 弦楽器
管弦楽においては、ヴァイオリン属の弦五部(第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)が使用される。それぞれの人数は16・14・12・10・8が一般的と言われているが、各楽団や曲によって変化する。ヴァイオリン属の楽器で弦五部以外の編成が取られることは希である。リヒャルト・シュトラウスの『エレクトラ』は、ヴァイオリン3部、ヴィオラ3部(うち1つは第4ヴァイオリン持ち替え)、チェロ2部、コントラバスという編成である。ストラヴィンスキーの詩篇交響曲では、弦楽器はチェロとコントラバスのみが使用される。 stub
弦楽合奏も参照。
[編集] 木管楽器
木管楽器は、一般的に、2管編成ではフルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット各2本ずつ使用される。また1管編成では各1ずつ、3管・4管編成になるとそれぞれの楽器の数が増えたり、ピッコロ・コーラングレ・バスクラリネット・コントラファゴットなどが追加されたりすることが多い。stub
[編集] 金管楽器
金管楽器は、ホルン4・トランペット2・トロンボーン3(テナー2+バス1)・チューバ1が標準である。また1管編成では各1ずつ、3管・4管編成になるとそれぞれの楽器の数が増えたり様々な金管楽器が追加されたりすることが多い。 stub
[編集] 打楽器
ほぼ定席を得ているティンパニ以外に、曲によっては多くの種類の打楽器が使用される。しばしば使用されるものは、シンバル・トライアングル・タンバリン・カスタネット・スネアドラム・バスドラム・グロッケンシュピール・シロフォン・チューブラーベル・タムタムなど。10人近くの打楽器奏者を必要とする曲もある。stub
[編集] 鍵盤楽器
管弦楽において使用される鍵盤楽器は、主にピアノ・オルガン・チェレスタである。ピアノは、管弦楽においては当初ピアノ協奏曲における独奏楽器と位置づけられていたが、ストラヴィンスキーのバレエ音楽『ペトルーシュカ』で効果的に使用されて以来、管弦楽の1パートとしての地位も確立した。近年ではハープシコードも使用される。
[編集] 撥弦楽器
管弦楽において使用される撥弦楽器は、主にハープ、マンドリン、ギター、バンジョーである。このうち最も一般的な楽器はハープである。 stub
[編集] 声
管弦楽と声楽は、古くからオペラにおいて同時に使用されていたが、人の声が「楽器」の一種として管弦楽に取り入れられたのは、原則として近代以降である。クロード・ドビュッシーの『3つの夜想曲』ほか、ラヴェルの『ダフニスとクロエ』、ホルストの『惑星』などが知られる。
[編集] 電子楽器
管弦楽において使用される電子楽器・電気楽器は、主にオンド・マルトノである。 stub
[編集] 参考文献
- 管弦楽法の教本としては、以下のものが歴史的名著として知られる。
- ベルリオーズ/リヒャルト・シュトラウス『管弦楽法』(音楽之友社 2006年)
- リムスキー=コルサコフ『管弦楽法原理』(Alexander Books, ISBN 0939067730)(英語版)
- ケクラン『管弦楽法』
- 伊福部昭『管絃楽法 上・下』(音楽之友社)
- 日本では、現在以下の2冊が容易に入手できる。
- ウォルター・ピストン『管弦楽法』(音楽之友社)
- ゴードン・ヤコブ『管弦楽技法』(音楽之友社)
- 以下は、DTMの視点から管弦楽法について実践的に解説したものである。
- 原田宏美『DTMで学ぶオーケストレーション入門』(音楽之友社 2002年)
- 侘美秀俊『DTMによるオーケストレーション実践講座』(音楽之友社 2005年)
- その他、以下の書籍も参考になる。
- アラン・ルヴィエ『オーケストラ』(白水社 文庫クセジュ)
[編集] 外部リンク
[編集] 注釈
- ↑ しかし、彼は『管弦楽法原理』の序文で「オーケストレーションに上手下手は無い。それは作品の魂の一つだ。色彩的な曲を書く作曲家がオーケストレーションが上手いということになれば、ブラームスは下手な作曲家ということになってしまう。」というようなことを述べている。
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