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フルート

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フルートFlute)は木管楽器の一種。リードを使わないエアリード(無簧)楽器であり、唇から出る空気の束を楽器の吹き込み口の縁にあてることで発する気流の渦(エッジトーン)を発音源とする。

  • :flute
  • :Flöte (特に横笛をさす場合にはQuerflöte)
  • :flûte (特に横笛をさす場合にはflûte traversière)
  • :flauto (特に横笛をさす場合にはflauto traverso)

現在、一般にフルートというと、ここで述べる、数々のキー装置を備えた、オーケストラに用いられる横笛を指すが、古くは広く笛一般を指した。特にバッハなどバロック音楽の時代にあっては、単にフルートというと、現在一般にリコーダーと呼ばれる縦笛を指し、現在のフルートの直接の前身楽器である横笛を指すには、「横の」(トラヴェルソ)という形容詞を付けて「フルート・トラヴェルソ」呼ばれていた。(単に「トラヴェルソ」と略されることもあった。)

現代では、ごく少数の黒檀(グラナディラという、主にクラリネットに使用されている木材)などの木製楽器を除いて、通常は洋銀プラチナなどの金属で作られるが、歴史的、構造的に、金管楽器ではなく、無簧の木管楽器に分類される。

目次

[編集] 概要

一般的なフルートは、同属楽器と区別する場合、グランド・フルートまたはコンサート・フルートとも呼ばれ、通常C管である。19世紀にドイツ人フルート奏者・楽器製作者テオバルト・ベーム(1794~1881)によって大幅に改良され、正確な半音階と大きな音量、貴金属のボディーを持つようになった。この改良によって生まれたフルートは、ワーグナーに「その大砲をどけろ!」と言わしめた代物である。

フルートは発音にリードを用いないため、他の管楽器よりもタンギングの柔軟性は高い。また、運指が比較的容易なことから運動性能は管楽器の中で最も高く、かなり急速な楽句を奏することも可能である。管楽器の中で音量は小さい方であるが、音域が高いため耳につきやすい。フルートの音色はの鳴き声を想起させ、楽曲内で鳥の模倣として用いられることも多い。有名でわかりやすい例として、サン=サーンスの組曲「動物の謝肉祭」の大きな鳥籠、プロコフィエフの交響的物語「ピーターと狼」などがあげられる。

フルートは独奏室内楽で用いられるほか、オーケストラおよび吹奏楽においても定位置を確保しているが、ジャズでの使用頻度はサキソフォントランペットなど他の管楽器と比較して低い。また、ジャズ専門のフルート奏者は少なく、サキソフォンなどのジャズプレイヤーが持ち替えるか、フルート奏者がクラシックとジャズの両方で活動するというケースが多い。

アマチュアを含めたフルート人口は他の管楽器と比較して多く、フルートの同属楽器で構成したフルートアンサンブルやフルートオーケストラがある。

楽器はキーを右にして構え、下顎と左手の人さし指の付け根、右手の親指で支える。

昔は木で作られていた。バッハの時代に今のような形ができた

フルート
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フルート

[編集] 歴史

[編集] 古代~ルネサンス時代

フルートを広義に考えて「リードを用いず、管に息を吹き付けて発音する楽器」とするならば、その最も古いものとしては、4万年前のものと推定される熊の足の骨で作られた「笛」がスロヴェニアの洞窟で発見されている。また、それほど古いものでなくとも数千年前の骨で作られた笛は各地から出土しており、博物館などに収められている。これらの笛は当時の他の楽器同様、主に宗教的な儀式に用いられていたと考えられている。

世界各地で用いられていた原始的な笛は、縦笛かオカリナのような形状の石笛がほとんどであった。ギリシャ神話の牧神、パンが吹いたとされるのも縦笛である。一方、現在我々が使用しているフルートにつながる横に吹く方式の笛が、いつ、どこで最初に用いられたのかははっきりしていないが、一説には、紀元前後、あるいはそれ以前のインドに発祥したといわれており、これが中国に伝わり、さらに日本や、シルクロードを通ってヨーロッパに伝えられていったと考えられている。横笛の歴史は、西洋よりも日本を含めた東洋の方がずっと長いのは事実である。

ルネサンス時代のヨーロッパでは、横笛はあまり一般的な楽器ではなく、軍楽隊や旅芸人などが演奏するだけのものであった。構造は円筒形でトーンホールが6つ、キーはなく、楽器は分割できないようになっていた。大きさもさまざまで、ソプラノ、アルト、テナー、バスといった種類があり、これらで合奏 (コンソートと呼ばれる) も行なわれていた。現在では、このようなフルートを指してルネサンス・フルートと呼んでいる。

[編集] バロック時代

18世紀半ば頃までのバロック時代、単に「フルート」といえば縦笛 (リコーダー) を指し、現在のフルートの原型となった横笛は「フルート・トラヴェルソ (flute traverso, 「横に吹く」の意)」と呼ばれて区別された。この時代のフルート・トラヴェルソの多くは木製で、歌口と反対側の先端が細くなった円錐形、トーンホールは6つ、キーが右手小指にひとつ、最低音はD4、最高音は E6 (ト音記号で上加線3本の位置) までというものが一般的であった。楽器の構造としてはD管であるが、楽譜は実音で記譜されたため移調楽器ではない。また、現在のフルート (モダンフルート) のようにトーンホールをふさぐためのキーやタンポを用いず、穴を直接指でふさいでいたため必然的にトーンホールの大きさが限られ、小さな音量しか出すことができなかったが、多様な音色を持ち、繊細で豊かな表現が可能であった。また、この頃フルート・トラヴェルソを演奏することは王侯貴族のたしなみと考えられており、特にフリードリヒ2世はフルート・トラヴェルソの名手だったと伝えられている。

[編集] 古典派~ロマン派初期

18世紀半ばから19世紀前半にあたる古典派の時代になると、フルートの半音階や高音域を実現するためにキーメカニズムが付け加えられていき、最高では 17 ものキーがついた楽器があったといわれる。しかし、これらは必要に応じて付けられたもので、統一されていたわけではなく、運指も複雑であった。この頃一般的に使われていたのは6キーあるいは8キーのもので、管体はバロック時代と変わらず木製で円錐形、最高音はA6とされていた。このような楽器をバロック時代の1キーフルートと区別して、「クラシカル・フルート」と呼ぶことがある。

[編集] ベーム式フルート

1820年頃から活躍していたイギリス人フルート奏者 C. ニコルソン (1795~1837)は、その手の大きさと卓越した技術によって通常よりも大きなトーンホールの楽器を演奏していた。ドイツ人フルート奏者で製作者でもあったベームは、1831年にロンドンでニコルソンの演奏を聞き、その音量の大きさに影響を受け、本格的な楽器の改良を始めた。1832年に発表されたモデルは以下のようなものであった。

  • 個々のトーンホールを大きくして、大きな音を出すことを可能にした。
  • リングキーを採用して1本の指で複数のキーを動かすことを可能にした(ベーム式メカニズム)ことにより、クロスフィンガリングを用いることなく、半音階が演奏可能となり、均質な響きが得られるようになったが、ほとんどの運指が変更された。
  • それまでD管だった管体をC管にした。
  • 通常、全てのキーを開いた状態にしておくオープンキーの原則を採用した。(Gisオープン式)

これはGisオープンの機構を除いて、フランスで受け入れられた。ベームはその後も改良を続け、1847年に発表されたモデルは、

  • 円錐だった管体を円筒にし、音響学にもとづいてトーンホールの位置を決め直した。(同時に、高音域のピッチと発音しやすさのため、円筒だった頭部管を円錐にした。)
  • 管体を木製から金属に変更し、より輝かしい響きを得られるようにした。

という、現在のフルートとほぼ同じものであった。これ以後現在までに加えられた変更は、フラット系の調を演奏するのに便利なように、低音域及び中音域の変ロの運指を容易にするためのブリッチャルディ・キーが付け加えられたことと、フランスの人達がGisオープン式に馴染まなかったために、Gisクローズ式のものが多く用いられた程度である。

ベーム式フルートは、最初にフランスで、後にイギリスで使用されたが、発祥の地であるドイツでは20世紀に入るまで受け入れられなかった。ドイツの人達はこの新しい楽器を「全音域にわたって単調過ぎるほど均質で高音域では特に甲高い」とみなしたのである。さらに、この頃のドイツ音楽界に大きな影響を持っていたワーグナーがベーム式フルートの音色を激しく嫌ったことも、ドイツでの普及を妨げた大きな要因といわれている。

[編集] ロマン派中期以降

19世紀半ば以降ベーム式フルートは、演奏性能の可能性と群を抜いた作りの良さが認められ、パリ音楽院の公式楽器に指定され、アンリ・アルテ、ポール・タファネル、フィリップ・ゴーベールモイーズらフルート科教授によってその奏法の発展と確立がなされた。また、オーギュスト・ビュッフェ・ジュニア、クレール・ゴッドフロイ・シニア、ルイ・ロットらの楽器製作者がベーム式楽器の普及を助け、ドビュッシーフォーレをはじめとする作曲家たちも、多くの名曲を書くこととなった。こうして、フランスは一気にフルート先進国としての地位を確立したのである。

一方、ドイツオーストリアでは、金属製の音色を好ましく思わないながらも、ベーム式メカニズムの長所を認め、20世紀に入る頃には、メカニズムはベーム式で管体が木製の楽器が用いられるようになった。

第二次世界大戦後、レコードの普及や放送技術の発展と共に、ランパルがソリストとして活躍し、フルートの魅力を世界中に示すこととなった。また、モイーズがカリスマといえるほど、教育者としての影響を長い間持ち続けていたことと重なって、世界中でフルートの演奏スタイルといえば、フランス風のそれに大きく偏ったものとなっているといえる。楽器製作に関しては、現在、フランスはその地位をアメリカと日本に明け渡しており、特にバスフルートよりも大きな同属楽器は日本でしか製作されていない状況である。

[編集] 音域

コンサートフルートの音域
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コンサートフルートの音域

コンサートフルートの基本的な音域はC4(中央ハ)からC7であり、ほとんどの楽曲はこの範囲で作曲されている。ただし、最低音はH足部管を用いる場合、B3が可能である。また、最高音は、上に広げられる努力が重ねられており、F7までの運指が比較的広く知られている。チューニングする(他の楽器とピッチを合わせる)際には、オーケストラでA5を、吹奏楽ではB♭5を用いる。

最低音からC5までの音域は低音域、あるいは第1オクターブなどと呼ばれ、音量は大きくないが、幅広く柔らかい音色を特徴とする。特に最低音に近いいくつかの音は明瞭な発音が難しい。

C5からC6までの音域は中音域、あるいは第2オクターブなどと呼ばれ、表情豊かな音色を持ち、音量の変化が容易である。

C6からC7の音域は高音域、あるいは第3オクターブなどと呼ばれ、明るく輝かしい音色で、音量は比較的大きい。また運指は中低音域に比較してやや不規則である。

C7より上の音域は第4オクターブと呼ばれ、高い音ほど発音が難しい。発音に非常に速い呼気を要するため音量は必然的に大きくなる。また音色は鋭く、空気音の混じったものになりがちである。この音域が開発されたのは20世紀に入ってからであり、現代音楽で使用されることがある。この音域は、楽器によって発音の難易度やピッチのばらつきも大きく、運指法も一定していない。

ただし、音域に関する呼称は厳密なものではなくやや幅がある。例としてC6を中音域とするか高音域とするかは用語の使用者によって異なるため「チューニングA(吹奏楽ではB♭)の上のC」などと呼ぶのが確実である。

標準的な運指を用いた場合の音響学的な倍音モードは次の通りである。

  • C4(H足部管の場合はB3)~C#5 : 基音
  • D5~C#6 : 第2倍音
  • D6 : 第3倍音
  • D#6~B6 : 第4倍音(A6は第5倍音と考えることもできる)
  • C7 : 第6倍音

なお、フルートで演奏可能な最小限の音程半音であるが、現代曲のように微分音を用いる場合は作曲家が運指法も指示することがある(例:堀 悦子, 飛天の譜―フルート独奏のための―)。

[編集] 楽器の構造

フルートはかなり全長の長い楽器(約70cm)であるため、全体を三分割して保存・携帯する。 歌口(吹き込み口)がある部分を頭部管、一番長い部分を胴部管、一番短い部分を足部管と呼ぶ。 頭部管を挿入する長さを変化させることにより全体の音高が変わるため、楽器が分割構造になっていることは、他の楽器とピッチを合わせる(チューニング)場合にも重要である。

頭部管は、歌口の部分で内径17mm、胴部管と接続する部分で内径19mmの円錐形である。歌口に近い方の端がヘッドスクリューと呼ぶ部品によって塞がれている。管内の歌口に近い位置に反響板があり、ヘッドスクリューと連結されている。コンサートフルートでは反響板の位置は歌口の中央から17mmが適切であり、ここからずれているとピッチに支障がある。歌口は楕円形ないし小判形(角の丸い矩形)で、音源としてとしてエッジトーンを発するためにある程度の高さ(約4.5~7mm)を持っており、木製など管そのものに厚さがある場合は管厚を利用して、また金属製の場合にはライザーと呼ばれる短管を介してリッププレートを取り付けて歌口穴を形成する。歌口部分がある程度の外径を持つことは、吹奏にあたって下顎に当てた際の安定性の確保の点からも重要である。歌口の形状や大きさは音色、音量、発音性などに影響があり、楽器メーカーによって異なる。また同一メーカーでも、いくつかの歌口形状の頭部管を製作している場合がある。

胴部管は円筒形で、標準的なコンサートフルートの場合、頭部管に近い位置に比較的小さなトーンホールが3つと、それ以外に管の内径(19mm)とほぼ同じ大きさのトーンホールが10個、管体上面および側面にある。トーンホールが指で押さえられないほど大きく、またその数が指よりも多いため、一部が互いに連結されたキーシステムによってトーンホールの開閉を操作する。キーの裏側にはタンポと呼ばれるパッドがあり、トーンホールを閉じた際の気密性を確保している。

そもそものフルートはD管であり、その低音域を拡張する目的で後に足部管を継ぎ足した姿が標準的な現在の姿になったのであるが、現在は移調楽器としてみなされてはいないものの、古来の姿のまま足部管を持っていないピッコロやフラウト・トラヴェルソの最低音がD音であるのは、その名残である。

現代のフルートにおいては足部管が標準的に使用されているが、足部管は胴部管と同じ内径の円筒形で、3つないし4つのトーンホールを持つ。そのトーンホールが3つの場合はC足部管と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はC4である。トーンホールが4つの場合はH足部管(アメリカの楽器メーカーの場合はB footjointと表記)と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はB3である。H足部管を用いると全体の音色はやや太く強めになるといわれ、リングキーにする場合も多い。また、高音域が安定する(逆にいえば変化をつけにくい)ともいわれている。H足部管を用いることによって一部の運指※は影響を受ける。

※標準的なC7の運指、およびいくつかの替え指とトリルの運指がこれに該当する。

[編集] カバードキー / リングキー

「カバードキー」(クローズドキーともいう)の楽器では、キーに取り付けられたタンポでトーンホール全体をふさぐのに対して、リングキーの楽器ではトーンホール上に指が置かれる5つのキー(右手の人差指、中指、薬指、左手の中指、薬指)に穴があいており、通常はキーと共にその穴をふさいで演奏する。

「リングキー」の特徴は軽く明るい音色である。穴をふさぐ程度を変化させることによって、ポルタメントなどの技法が楽に演奏できるようになる他、ピッチ調節などのための替え指もクローズド・キーより多く利用できる利点があるが、穴を正確にふさがなければならないため、手が小さい場合には演奏が難しい場合もある。リングキーの楽器をフレンチモデル (フレンチスタイル)あるいはオープンホールシステムと呼ぶこともある。

リングキーという呼び方は本来クラリネットオーボエにあるような、細くてパッドを含んでいないキーのことを指し、フルートに使われているものは厳密には「パーフォレーテッド・キー perforated-key」と呼んで区別されるが、一般的にはフルートの場合もリングキーと呼ばれている。

[編集] インライン / オフセット

フルートの上側面には多くのキーが並んでるが、すべて一直線に並んでいるものを「インライン」、左手の薬指にあたるキーが外側(左腕に近い方)に少しずれているものを「オフセット」と呼ぶ。ベームが製作した楽器はすべてオフセットであり、より楽な手の形で操作することが可能である。オフセットは構造的にシンプルで、メンテナンスもインラインより容易となる。インラインの楽器はリングキーに多く、見た目は美しいが、正確にキーを押さえるために左手薬指をオフセットの場合より多く伸ばさす必要があるため、手が小さい奏者には向いていない。インラインの楽器の方が、製作する際の部品点数は少なくなるが、同一軸に配置されるキーの数が多いためメンテナンスはオフセットに比べ面倒である。

[編集] Eメカニズム

上:Eメカニズムあり(矢印)、下:Eメカニズムなし
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上:Eメカニズムあり(矢印)、下:Eメカニズムなし

「Eメカニズム」は、第3オクターブのホ音(E6)が楽器の音響学的構造から出しにくく、またピッチが高い場合が多いため、これを解消するために考案された機構である。一般的なEメカニズムは、キーシステムの追加によりE6の運指で閉じるキーを増やすもので、E6の発音およびピッチは改善されるが、特定の換え指およびトリル運指が使えなくなる。また、楽器がわずかに重くなるため、音色に影響するとする意見もある。

楽器メーカーによっては、同様の効果を得るためにキーシステムの追加ではなく特定のトーンホールを小さく(もしくは半円形に)する方法を採用している場合があり、これを「ニューEメカニズム」と呼んでいる。この方法では、使えない運指が発生することは概ねないものの、第1、第2オクターブのイ音(A4,A5)のピッチに影響する場合がある。

[編集] Gisオープン / Gisクローズ

左手小指にあたる、第1、第2オクターブの嬰ト音(Gis)を出すためのキーが、指を離した状態で開いているのが「Gisオープン式」、閉じているのが「Gis クローズ式」である。両者の運指は異なる。特に、替え指やトリル運指は一方にしか使えないものも多い。ベームが設計したフルートはGisオープン式であり、音色が良く運指も自然だとする意見もあるが、一般的に使われているのはGisクローズ式である。

[編集] ソルダードトーンホール / ドローントーンホール

金属製の楽器の場合、トーンホールが管体から立ち上がってキー (タンポ) と密着しているが、この立ち上がり部分をどのようにして製作するかによる分類である。「ソルダードトーンホール」は管体となるパイプに別の部品をはんだ付けすることによりトーンホールを作成するのに対して、「ドローントーンホール」はパイプそのものを引き上げ加工して、トーンホールを形成する。管厚やキーメカニズムなどが同じであれば、ソルダードトーンホールの方が重くなる。いずれの方法を用いるかによって音色が異なるとされる。比較的安価な楽器の多くはドローントーンホールである。

[編集] フルートの印象的な作品

フルートで演奏される曲目

[編集] フルートメーカー

表記は「呼称ないし略称(五十音順) / もしあればブランド名称 / 製作会社名 / 製作拠点国名」。

  • アキヤマ / AKIYAMA FLUTE / アキヤマフルート / 日本
  • アームストロング / Armstrong / アメリカ
  • アルタス / THE Altus FLUTE / 日本
  • アルテス
  • アルパイン / Alpine / 台湾
  • アルメーダ / Almeida / アメリカ
  • イワオ / IWAO FLUTE / イワオ楽器製作所 / 日本
  • エマーソン / Emerson / アメリカ
  • オリエント / ORIENT / 台湾
  • カワイ / Kawai Flutes / 株式会社河合楽器製作所 / 日本
  • カワイ・メーニッッヒ / ドイツ
  • グロリア / Gloria / 台湾
  • ゲマインハート / Gemeinhardt / アメリカ
  • ゴウ・ブラザース / Guo Brothers / 台湾
  • コタケ / KOTAKE FLUTE / 小竹管楽器製作所 / 日本
  • コタト&フクシマ / Kotato&Fukushima Flute / 古田土フルート工房 / 日本
  • サクライ / SAKURAI FLUTE / 桜井フルート製作所 / 日本
  • サバレイ / SAVALEY / 中国
  • サンキョウ / SANKYO FLUTE / 三響フルート製作所 / 日本
  • A.D.ジェフリー / 台湾
  • シェリダン / D.Sheridan / ドイツ
  • ジュピター / Jupiter Flute / 台湾
  • JOHN LUNN FLUTES / アメリカ
  • Straubinger Flutes / アメリカ ~ キー・パッドのメーカーとしても有名
  • スタッフォード・ウィンド / Stafford Wind / 中国
  • スプレンダー / 台湾
  • セレクション / Selection / 中国
  • A.セルマー / A.Selmer / アメリカ
  • ソナーレ / Sonare / アメリカ・台湾
  • ディメディチ / Dimedici / 台湾
  • ドルマー / DOLMER
  • トマジ / W.Tomasi / オーストリア
  • ナガハラ / NAGAHARA Flutes / アメリカ
  • ナツキ / ナツキフルート / 日本
  • ノマタ / Nomata
  • パウエル / VERNE Q.POWELL FLUTES / アメリカ
  • バーカート / Burkart-Phelan Inc. / アメリカ
  • パール / Pearl Flute / パール楽器製造株式会社 / 日本
  • A.R.ハンミッヒ / August Richard Hammig / ドイツ
  • H.ハンミッヒ / Helmuth Hammig / ドイツ
  • J.ハンミッヒ / Johannes Hammig / ドイツ
  • Ph.ハンミッヒ / Philipp Hammig / ドイツ
  • フォークト / Horst Voigt / ドイツ
  • フォリジイ / S.FAULISI / フランス
  • ビュッフェ・クランポン / Buffet&Crampon / フランス
  • ブラウン / Braun / ドイツ
  • ブランネン・ブラザース / Brannen Brothers - Flutemakers Inc. / アメリカ
  • FMCフルートマスターズ / MCA Flute Masters / 日本
  • ヘインズ / THE HAYNES FLUTE / Wm.S.HAYNES Co. / アメリカ
  • ヘルナルス
  • マックストーン / Maxtone / 台湾・中国
  • マルカート / The Marcato Flute / 台湾
  • マテキ / MATEKI FLUTE / 日本
  • J.マイケル / J.Michael / 中国
  • ミヤザワ / The Miyazawa Flute / 宮沢フルート販売株式会社 / 日本
  • ムラマツ / The Muramatsu Flute / 村松楽器販売株式会社 / 日本
  • メナート / F.Mehnert / ドイツ
  • ヤマダ / YAMADA / 山田フルート・ピッコロ工房 / 日本
  • ヤマハ / YAMAHA Flute / ヤマハ株式会社 / 日本
  • ラファン / J.R.Lafin / ドイツ ~ 頭部管のみ製作
  • ランデール / Jonathon A.Landell / Landell Flute / アメリカ
  • ルーダル・カート / Rudall & Carte / イギリス ~ 過去「ルーダル&ローズ」「ルーダル・ローズ&カート」などという名称だったことあり
  • ロバーツ / Roberts / ドイツ

[編集] 歴史的メーカー

ベーム式のメーカーを記載。

  • クエノン(ケノン)/ Couesnon.S.A / フランス
  • クランポン / Crampon / フランス
  • ゴッドフロワ / Godfroy / フランス
  • トーマス・プラウゼ / Thomas Prowse
  • ベルショー / Bercioux / フランス
  • ボンヴィル (ボンヌヴィル)/ Bonneville / フランス
  • リーヴ / Rieve
  • リッタースハウゼン / Rittershausen / ドイツ
  • ルイ・ロット (ルイ・ロー) / Louis Lot / フランス
  • ルブレ / フランス

[編集] 同属楽器

フルートの同属楽器には次のようなものがあるが、低音部楽器に関しては、まだ新しく珍しい楽器であるため、各国において一定の呼称が定着してはいない状態である。

和名 記音に対する実音 各国の呼称 特色 備考
ピッコロ 1オクターヴ Flauto piccolo (in Do)

(Ottavino)

最高音域を担当する。詳しくはピッコロ参照。 足部管を欠いているため、最低音は古来のフルートどおりD5である。稀にDes管もある。
Piccoloflöte (in C)

(kleine Flöte in C)

Petite flûte (en Ut)

(ottavino)

Piccolo (in C)
ソプラノ・フルート 完全4度 Flauto soprano in Fa 古楽器フラウト・トラヴェルソやリコーダー、和楽器篠笛に似た音で、特殊な効果を出す狙う場合に使用される。 G管もあるが、クラリネット属やサキソフォン属がB管とEs管とで整理されているのに対して、増えてきたフルート属をC管とF管とで揃えようという傾向が広まりつつある(アルト・フルート以外)。実際には“Flauto sopranino in Fa”が好ましいと提唱されている。
kleine Flöte in F
Flûte soprano en Fa
Treble flute in F
3度管フルート 短3度 Flauto in Mi♭ <特色> 実際には“Flauto sopranino in Mi♭”が好ましいと提唱されている。
Terzflöte (in Es)
Tierce flûte (en Mi♭)
Soprano flute in E♭
フラウト・トラヴェルソ 同度 Flauto traverso (in Do) <特色> 足部管を欠いているため、最低音は古来のフルートどおりD4である。
Flûte traversière (en Ut)
フルート

(コンサート・フルート)

(グランド・フルート)

同度 Flauto (in Do)

(Flauto grande)

<特色> H足部管を使用すると、最低音がC4からB3へと拡張される。実際には“Flauto soprano in Do”が好ましいと提唱されている。
Flöte (in C)

(große Flöte in C)

Flûte (en Ut)

(Grande flûte en Ut)

Flute (in C)

(Concert flute in C)

フルート・ダモーレ

(テノール・フルート)

長2度・短3度 Flauto tenore in Si♭ o La

(Flauto d'amore in Si♭ o La)

<特色> ごく稀にAs管もある。「テノール・フルート」との別名も持つが、実際には“Flauto mezzosoprano in Si♭ o La”が好ましいと提唱されている。
Liebesflöte in B oder A

(Tenorflöte in B oder A)

Flûte de l'amour en Si♭ ou La

(Flûte tenore en Si♭ ou La)

Flauto d'amore in H♭ or A

(Tenor flute in H♭ or A)

アルト・フルート 完全4度 Flauto contralto in Sol フルート奏者が持ち替えでよく演奏する。本来F管もあったが、G管のほうが音が優れていたため、F管は廃れてしまった。G管で、通常の最低音は中央ハの下のト(G3)だが、半音下の嬰ヘ(F#3)まで出せる楽器(フルートのH管楽器に相当)も稀に見られる。楽器の形態は2種類あり、ひとつはフルートと同様に直管だが、もうひとつは楽器の保持を容易にする目的でバスフルートと同様に頭部管がU字型の曲管となっている。ごく稀にバス・フルートと呼ばれることもあるが、より大型の楽器(フルートの1オクターブ下)の呼称がバス・フルートとして定着してしまっているため、これをバス・フルートと呼ぶのは避けなければ混乱を招いてしまう。

低音のくぐもった音色が非常に独特の魅力的である。近代以降の管弦楽曲では度々使われ、フルート奏者が持ち替えで演奏することが多い。また、ジャズではクラシック音楽に比べ使われる機会が比較的多く、フルートオーケストラでは、しばしば対旋律を受け持ち、管弦楽でのヴィオラのような役目を果たす。

<備考>
Altflöte in G
Flûte alto en Sol
Alto flute in G
バス・フルート 1オクターヴ Flauto basso in Do フルートよりも2倍の管長で、フルートより1オクターヴ低い音が出る。頭部管がU字状に曲がっているのが外見上の特徴である。また、重量が大きいため、胴部管の中央部に楽器を支えるための支持棒が取り付けられることが多い。近代以前のクラシック音楽にはほとんど使用例が無いが、戦後の現代音楽では比較的よく使われる。これはオーケストラの中よりもむしろ独奏曲や室内楽曲の方が多い。 実際には“Flauto tenore in Do”が好ましいと提唱されている。
Bassflöte in C
Flûte basse en Ut
Bass flute in C
F管 バス・フルート 1オクターヴ+完全4度 Flauto basso in Fa <特色> G管もあるが、クラリネット属やサキソフォン属がB管とEs管とで整理されているのに対して、増えてきたフルート属をC管とF管とで揃えようという傾向が広まりつつある(アルト・フルート以外)。実際には“Flauto baritono in Fa”や、アルトの1オクターヴ下のため“Flauto contra-alto in Fa”が好ましいと提唱されている。(contra-altoとは、単純なアルト=contraltoのオクターヴ下を意味する。例えば、コントラアルト・クラリネット=Clarinetto contra-altoアルト・クラリネット=Clarinetto contraltoの1オクターヴ下である。)
Bassflöte in F
Flûte basse en Fa
Contra-alto flute in F
C管 コントラバス・フルート

(C管オクトバス・フルート)

2オクターヴ Flauto contrabasso (in Do) 数字の4のような形をしており、キーは縦の部分に、リッププレートは横の部分に付いており、大きさは人の身長ほどもある。 実際には“Flauto basso in Do”が好ましいと提唱されている。「オクトバス」は、「バス」の8度下を意味する。
Kontrabassflöte (in C)
Flûte contrabasse (en Ut)
Contrabass flute (in C)

(Octobass flutein C)

F管 サブ・コントラバス・フルート

(F管ダブル・コントラアルト・フルート)

2オクターヴ+完全5度 Flauto subcontrabbasso in Fa <特色> 実際には“Flauto subbasso in Fa”や、アルトの2オクターヴ下のため“Flauto doppiocontra-alto in Fa”や“Flauto octocontra-alto in Fa”などが好ましいと提唱されている。
Subkontrabassflöte in F
Flûte subcontrabasse en Fa
Subcontrabass flute in F

(Double contra-alto flute in F)

C管 ダブル・コントラバス・フルート

(C管オクトコントラバス・フルート)

3オクターヴ Flauto iperbasso (in Do) まだたいへん新しい楽器で開発途上にあるものの、その表現力と新しい効果は非常に多くの期待を寄せられている。1994年、日本のコタトフルート工房が製作したものが世界初である。コントラバスフルートの縦の部分を、横から見てN字型にしたような形状になっている。

主に室内楽フルートオーケストラの中で合奏として使われる。個人で所有している奏者は少ない。楽器製法はまだ一定しておらず、製造者によってその構造も材質も外見も大幅に異なる。ただし作曲者が指定すればそれに見合う楽器を用意することは可能である。

実際には“Flauto contrabasso in Do”が好ましいと提唱されている。
Oktokontrabassflöte (in C)
Flûte octocontrabasse (en Ut)
Hyperbass flute (in C)

(Hyper-bass flute in C)

これらの楽器で、フルート属を構成する。なお、コンサート・フルートは実音楽器であるが、その他の派生楽器は、慣例的に、記譜上の音域及び運指がコンサートフルートと概ね合致するよう移調楽器としてト音記号を用いて記譜される。

現在、フルート属の名称については論議をかもし出しており、例えば、最低音域となる「オクトコントラバス・フルート」は、コントラバスのオクターヴ下の音域を担当するという名称となっているが、実際には弦楽器の「コントラバス」や「コントラバス・クラリネット」などの横に並ぶ音域となっており、名称が1オクターヴ低くずれている。また、現行の「コントラバス・フルート」の音域は、弦楽器の「コントラバス」や「コントラバス・クラリネット」などの音域よりも1オクターヴ高くなっており、本来なら単純に「バス・フルート」と呼ばれるところとなる。そもそも、現行の「バス・フルート」がバス音域に該当しておらず、そこから順番に名称がずれてきており、徐々に普及しつつある新しい低音部フルートの普及を前に、他楽器との整合性を保つため、同属楽器の整理が整然としているクラリネットサキソフォンに習って、フルート属においても呼称の再検討が世界的に提唱され始めている。参考リンク先[1][2]

[編集] アルトフルート使用曲

など

[編集] バスフルート使用曲

独奏曲

など

[編集] その他

フルートの管体に開けた横穴に薄い紙を貼って共振させ独特の音を出すビービーフルートと呼ばれる楽器も効果音的に使用される場合がある。(中国の横笛に類似のものがある) またスライドフルート(フライドホイッスル)と呼ばれる楽器もある。これはトロンボーンのように管の長さをスライドさせることが出来る。誰でも演奏することが出来るほど簡単な構造で、オーケストラの中では通常打楽器奏者が演奏を担当する。別名で海の妖精の淫靡な声を意味するシレーヌアクメとも呼ばれている。

フルートの長さは約70cmあるため、小学校低学年以下の子供が演奏することは困難であるが、教育用楽器として幼児用フルートが製造されており、頭部管をU字型に曲げる、足部管を除く、指が届き易いよう補助キーを設ける、などの方法で、体の小さな5歳程度の子供でも演奏できるよう配慮されている。幼児用フルートはヴァイオリンの分数楽器と同様に、早期音楽教育のために導入される場合があるが、呼吸器が未発達な段階では管楽器であるフルートは時期尚早として疑問視する声もある。

[編集] 歴史的・民族的なフルート

[編集] バロック・フルート(フルート・トラヴェルソ)

バロック期に用いられた古楽器。現在、単にフルート・トラヴェルソあるいはフラウト・トラヴェルソ(イタリア語読み)といえば、バロック・フルートのことを指す。(ただし、ドイツ語では現在でも"Querflöte"[クヴェーア・フレーテ]という言葉が、一般的にフルートを指して用いられることがある。フルート・トラヴェルソの訳語としては"Traversflöte"[トラヴァース・フレーテ]という言葉があるが、一般にはバロック・フルートを指す場合、"flauto traverso"が使われる)。

管体はツゲカエデ黒檀などが用いられるが、比較的軟らかい木材が好まれる。頭部や連結部分には象牙を用いる。現在でもフランス・ブリュッヘン古楽系の奏者によって復元楽器が盛んに演奏され、アマチュアにも広まりつつある。

詳細はページ内バロック時代の項目を参照。

[編集] アイリッシュ・フルート

アイルランド民族音楽(いわゆるケルト音楽)で用いられるフルート。といっても民族楽器といえるほど歴史あるものではなく、ベーム式フルートが普及する以前の19世紀頃にクラシック音楽で使われていた、古い形のフルートの生き残りといえるものである。

バロック・フルートと同じく木製でD管(ニ調)だが、6孔でキーなしかシンプルなキーのみで、半音を出すのは困難である。円錐管のものが多く、管体は黒檀などの硬い材質が好まれる。頭部や連結部分に金属をあてがうものもある。太く深みのある、ややかすれた感じの音色で、現在のC管フルートより調性は高い割には、比較的低音域を吹くことが多い。

アイルランド語fliúit (フルート), feadóg mhór (ファドーグ・ウォア;「大きなホイッスル」の意味)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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