工兵
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工兵(こうへい)は軍隊、主に陸軍の兵科の一種であり、歩兵、砲兵、騎兵に並ぶ四大兵科の一つである。陸上自衛隊におけるそれについては、施設科を参照。
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[編集] 概要
古来、工兵の任務は普通の兵士が工具類を持って行っていたが、やがて大工などの職人を雇うようになり、作業が専門化していき、16世紀頃には独立兵科となる。また戦車や飛行機などは元々工兵科に属しており、新兵器の実験も重要な任務だった。現在は専門の研究機関が設置されている場合が多い。 任務は戦闘陣地の建設から戦闘における歩兵の支援など多岐に渡り、「何でも屋」的な性質が強い存在であり、近代の軍隊にとって非常に重要な兵科である。 敵の地雷原や鉄条網の破壊のために誰よりも先に敵に攻撃を開始するため、ドイツ語の工兵 "Pionier" には「先鋒 (pioneer) 」と言う意味もある。
日本において、近代工兵制度を確立したのは上原勇作であり、主にフランス陸軍の工兵術の導入に努め、特に1901年(明治34年)工兵監就任後、一気呵成に改革を行い、日露戦争において貢献すること大であった。
[編集] 任務
工兵の主な任務は大まかにいって、敵前での工作を任務とする「戦闘工兵」(陸上自衛隊では「戦闘支援」)と作戦全般に寄与するより大規模な「建設工兵」(陸上自衛隊では「兵站支援」)の2つに分類される。
[編集] 戦闘工兵の任務
- 陣地の構築:地形を利用したり、人工的に手を加えて敵弾から味方部隊を防護するための掩蔽物を構築する。
- 各種障害物作成任務:木を切り倒したり、鉄条網・対戦車壕・地雷原・バリケードなどを設置して、敵の通行を妨げる。
- 地雷・地雷原の処理:携帯式の地雷探知機で探し出し爆薬で処理するほか、地雷処理専用の車両や地雷処理戦車を使うこともある。
- トーチカや鉄条網の破壊:トーチカに爆薬を貼り付け破壊したり、鉄条網に爆薬を押し込んで破壊する。遠隔操作できる爆薬運搬車を使うこともある。
- 上陸戦の支援:上陸作戦前に水中障害物を除去したり、揚陸用舟艇の運用を行う。
- 火炎放射器の使用:歩兵が制圧できない場合、トーチカや塹壕・建物・森林の陰に隠れる敵兵を携帯式の火炎放射器で直接攻撃する。
- 毒ガスの散布:風向きを慎重に測り(天気予報まで行う)、風上から毒ガスを流し込む。敵地に潜入して流し込む場合もある。この任務は後に化学科として独立した兵科となっていった。
[編集] 建設工兵の任務
- 橋や道路の建設:平時に橋や道路を整備しておく一方、戦場では架橋戦車で臨時に橋を作ったり、敵が退却時に爆破した橋の修理なども行う。不整地では、爆薬で道を開いてしまうこともある。
- 渡河作戦:敵兵が対岸にいる場合、(水陸両用戦車で簡単に制圧した例もあるが、通常は)砲兵や爆撃機の支援の下、煙幕を張り、渡河用ボートを膨らませて歩兵を対岸に送り込み、橋頭堡を確保。架橋戦車では渡れない川幅の場合、ボートや橋脚舟(ポンツーン)に橋げたを設け、上流から流し込み固定して繋げていき橋を作ってしまう(ポンツーン橋、浮橋)。
- 測量や地図作成:平時の工兵の重要任務。自国だけでなく、航空観測などで他国の測量も事前に行っておく。